012便 職場の嫌な人間から解放される未来 行き(番外編 気持ちを楽にする言葉たち)
こんにちは。元客室乗務員の夏果です。
今日の行き先は、職場の嫌な人間関係から解放される未来の番外編です!
私がパワハラを受けていた当時、挫けそうになる心を支え、気持ちを強くしてくれた、ある友人の言葉をご紹介します。
では今日も、離陸〜
●エマという友人
航空会社に入る前、新卒で入った外資系企業で一年弱、働いたことがあります。その時の同僚のエマという女の子の話をします。
エマはカナダ系香港人で、当時25歳。あっけらかんとした性格の女の子でした。新入社員だった私は、年の近いエマに教育係をしてもらい、隣で色んなことを学び、いつしか私たちは、良い友人になっていました。
●分かり合えない日もある。分かり合える日と同じくらいに。
ある日エマのもとにクライアントからクレームの電話がかかってきたときのことです。
〜電話中〜
エ「それは気の毒ですね」
エ「ええ、それは分かります。でも、〇〇という点に関してはあなたの論理はおかしいです」
エ「落ち着いてください。私はあなたと言い争いがしたいわけじゃないの」
こんな感じでエマが会話をしているので、隣のデスクにいた私は気になっていました。
電話を切ったエマに
私「エマ、大丈夫?お客さんから何か嫌なことを言われたの?」
エ「言われたわ。でも彼もヒートアップしているだけだし、顔を合わせて話をすればきっと友達になれるわ、私たち」
私「え、顔を合わせて話すの?」
エ「ええ、納得いかないから、今からそっちへ行くって言われたわ」
この時点で、私がエマだったら、もうソワソワドキドキして、「こっちに来る」というのがただの脅し文句ですように、本当に来ませんように・・・と祈り続けるところですが
エマは鼻歌なんて歌って、全然別の業務をしてる。
そしてその後、本当にやって来たクライアントのインド人男性。
ムスッとして、明らかに怒った顔の彼に対し、エマは
「ハロー。外は暑かった?」
などと、笑顔で手を差し出したのです。
しかもその握手をかわされたエマ。
「やれやれ」みたいなポーズを私に向かって送ってくる。なんだその余裕は。二十代前半の若い娘にしては、肝が座りすぎている。
応接室に消えた二人。ほどなくして、激しく怒鳴り散らすインド人男性の声が聞こえてくる。
私は今にもエマが泣きながら応接室から出てくるのではないかとハラハラしていました。
結局、クライアントの男性は、エマの説明には納得しなかったようで、「上司を呼べ」とキレまくり、最終的には上司とエマに対して色々と捲し立てながら、オフィスを出て行きました。
エマはさぞかし怖い思いをしただろうと想像した私。何か励ます言葉をかけねば。
しかし
上司と一緒に応接室から出てきたエマは、なぜか笑顔。
私「エマ、大丈夫だった?」
エ「彼、かなり興奮してたわ」
私「うん、聞こえたよ。落ち込まないでね」
エ「落ち込む?私が?なぜ?」
私「え・・だって、あんなに怒鳴られてたから」
エ「彼とは今日は分かり合えなかっただけよ。誰とだって、分かり合えない日はあるわ。分かり合える日と同じくらいにね。いつか彼とも分かり合えるわ。それに、彼には申し訳なく思う気持ちもあるけれど、責任の全てが私にあるなんて思わないし、こういう時のためにボスがいるんでしょ?」
エマ、全く凹んでいない。
●今日は相性が悪かったというだけのこと
私「うーん、なるほど。エマはすごいね、そうやって、色々と割り切って考えられるあなたは、バランスが取れていてすごく素敵だし羨ましい」
エ「羨ましい?私みたいな人間はたくさんいるわ。夏果は色々責任を感じすぎなのよ。そんなんじゃ早く死ぬわよ?オフィスを訪れた赤ん坊が突然泣き出しても、あなたのせいだと感じる?そんなことないでしょ?考えたって無駄なことは考えないほうが良い。今日はそういう日だったってだけよ。」
エ「彼が悪いんじゃなくて、私たちの相性が悪かっただけ。ねえ、そんなナーバスな顔しないでよ。スマイルスマイル♫」
この流れで、逆に私が励まされるという展開は意味不明だったけれど、エマの考え方を、良いとか悪いとか考える前に、「好きだ」と思ってしまった私。
私だったら、自分の責任はとりあえず置いておいて、
「自分よりも一回り以上年下の女性に対して声を荒げるおじさん、サイテー!!」
と、悪態をつきたいところ。
それなのにエマは
「彼が悪いんじゃない。彼だって、悪気があってあんな事を言ったわけじゃないと思う。ただ単に、私たちの相性が今日は悪かったというだけ」
そう言えるエマの器の大きさは単純に素晴らしいと思ったし、その、罪を憎んで人を憎まず的な発想は、何よりまず、自分の心を救うんだと知りました。
エマは、無理をして、強がってこんなことを言っているわけではなく、常にこの調子。
いつもあっけらかんとして、陽気で、彼女の心の引き出しには、周りの人を、「好き」「嫌い」とか、自分より「上」「下」などとカテゴライズするための、細かい仕切りが一切ない。全ての人はフラットで、違いがあるとすれば、それぞれのその時その時の「気分」くらいなもの。
そんな調子だから、時には空気の読めない奴という見られ方をする時もあったけれど、彼女を深く知れば知るほど、「空気を読む」って、一体誰のためにしているんだろう、という気持ちにさせられました。
自分がコミュニティの中で生きやすくなるために読む「空気」ならば分かるけれど、
空気を読むばかりに、自分を苦しめている人は、なんて多いんだろう。もちろん、私も含めて。
ときに誰かに疎まれても、
空気を読むって、なあに?
とばかりに笑っている彼女は、当時の私にはすごーく眩しく見えました。
そして実際、オフィスのみんながエマを好きでした。
●あなたはあなたのままで幸せになりなさい
私は仕事で失敗してとても落ち込んだ時など、エマに弱音を吐くことがありました。
「エマのようになれたら良いのに」
そんな風に言う私に、いつになく厳しい口調でエマはこう言いました。
「夏果、誰かを羨むのも結構だけど、そう言うことは言わない方が良い。私は毎日ハッピーだけれど、あなたが私になったら幸せだなんて、そんなこと絶対にないわよ。あなたはあなたのままで幸せにならないと」
この言葉は、パワハラを受けていた当時の私を支えてくれた言葉の最たるものでした。
私の人生は私のもの。私が私のまま、幸せになれる道を探さなきゃ。そんな風に思えばこそ、心を強く持って前に進めたのだと思います。
●スマイルスマイル
エマは件のインド人男性事件以降も、クライアントから強いクレームを受けたことがあります。そんな時、クライアントに対して
「スマイルスマイル♫」
を炸裂させて
「スマイルできる状況にあるか確認してから発言しろ」
とキレられたりもしていましたが(笑)
それでも、
私が落ち込んでいる時などにも言ってくれた、あの
「スマイルスマイル♫」
は、私の心に今でも一塵の風を吹かせてくれる魔法の言葉で、思い出すたびに、心のモヤモヤを、ほんの少し取り去ってくれるのです。
エマは結婚してカナダに行ってしまい、連絡を取らなくなって久しいですが
私がパワハラで辛かった当時、泣くもんか、と、エマの「スマイルスマイル」を、何度も思い出していたと言ったら、エマはなんて言うかな。
「スマイル」って心で唱えないとスマイルできないの?日本人って面倒ね。
と言って笑うかな。
そんな風に考えるだけで、ほんの少しスマイルできるから、やっぱりエマのパワーはすごい。そんな風に思ってしまうのです。
さて、今日のところはこの辺りで着陸!
いかがでしたか?誰かが少しでもスマイルできる未来にたどり着いていますように。
それではまた、次のフライトで。