サンダカン八番娼館
こちらは2012年05月15日の日記です。
友人からの紹介で読んだ、「サンダカン八番娼館」という本。
昭和初期の最貧困の中で生きた、「からゆきさん」の話です。
貧困により、過酷な人生を強いられた海外売春婦、いわゆる「からゆきさん」。
彼女たちの悲惨な運命を伝えるこの本は、実はその中の主人公であるおサキさんの、豊かな人間性が綴られた本でした。
立ち去る間際、初めて素性を明らかにした著者。そしてその時に発したおサキさんの言葉「人にはその人その人の都合ちゅうもんがある。話して良かことなら、わざわざ訊かんでも自分から話しとるじゃろうし、当人が話さんのは、話せんわけがあるからじゃ。おまえが何も話さんものを、どうして他人のうちが訊いてよかもんかね。」
読み書きなどできず、貧困の中でひとり、生きてきたこの女性の心の大きさ、慈愛に満ちたこの言葉は、いったいどこで育まれてきたのか。
日本の恥部である、底辺社会を掘り起こすべく書かれた本であると同時に、
その中で必死に生きてきた、一人の女性の話を綴った本でもありました。
勧められるまま、「峠」「永遠の0(ゼロ)」「サンダカン八番館」と、連続で幕末、戦中戦後の物語りを読みました。
浮き上がってきたのは日本人の悪い気質。
今も昔も全く変わっていないことに気づきます。
その中にあって、傑出した人物が必ず出てくるのが日本史の面白いところ。
これからの日本、舵取りを任せられる人物がきっと現れる、と期待したい。