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三角比と三角関数

米国の女子高校生2人「ピタゴラスの定理」を新証明 しかも5通り 査読済みで権威ある学術誌に登場

これはこれですごいことなんだけど、えふすくの目についたのはこちら

論文では、高校生が三角関数を学ぶ際に感じる混乱や不安の原因についても言及している。それは、同じ三角関数の用語に対して2つの異なる定義方法が存在することである。教科書などではこの2つの方法を下図のように調和させて説明しているが、この図がかえって理解を妨げている可能性がある。

https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2410/31/news062.html

私が高校の時に受けた数学の授業では三角比の授業でいきなり三角関数の定義から始めるというちょっと変わった導入だった。結果としてsin、cos、tanなどの理解は一意的に固定されている。その反動として、三角比でやる正弦定理、余弦定理などの理解があまり進まなかったが

図形としての三角比と関数としての三角関数は確かに定義は違うかもしれないが、出る値が同じである以上一つの概念であって、数学はそういうものを一つとみなして解釈する。抽象化である。この点が理解できるかどうかが数学を理解できるかどうかの分かれ道になるだろう

この混乱を避けるための最も合理的な方法は、それぞれの手法の背後にある異なる考え方を反映させて、異なる名称を与えることである。実は、これらの方法のうち本当の意味で「三角法的」なのは1つだけであり、この本来の方法に焦点を当てる(誤って名付けられた方法を無視する)ことで、ピタゴラスの定理の新しい証明方法を数多く見いだせるのである。

https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2410/31/news062.html

sin、cos、tanを幾何的に利用するのは数Ⅰだけであり、のちの微積分などでは一貫して関数として扱われることを鑑みれば、三角比としてのsin、cos、tanを別の名称にするのが合理的であろう。幸い日本には正弦、余弦、正接という和名もあるので、そういう使い分けをすることは可能である

数学を数学として志すのであれば抽象化は避けて通れない(大学の数学なんてそんなもんだし)が、単なる理解という意味では、あえて同じものの名称を使い分けるということも必要なのかもしれない

私も一応教職を志したことはあるが、授業をするならやはり三角比は理解の妨げであるので、三角関数のみを教えたいと思っていた。当時のあの教師は人としてはあまり見習いたくなかった人ではあったが、このことだけは理解もするし、感謝している

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