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0095:公務員の作り方(5)

 規制行政を担う部門で適正な事務処理が行われず事件化することが時折ある。例えば昔北海道でふたつの事件が起きた。ひとつはミートホープ牛肉ミンチ偽装事件、牛肉と偽って豚・鳥ミンチを販売し不当な利益を得ていた事実が内部告発されたのに行政が適正に調査を行わず、後日国機関(農政事務所)と道庁の間で責任の押し付け合いが起きた。もうひとつは障害者手帳集団不正取得事件、医師が健常者に難聴の診断書を乱発し障害年金不正受給をさせていた問題では、役場窓口から「耳が聞こえている筈なのに名前を呼ぶと返事をする」などの情報が道庁に多数寄せられたが、道庁は「医師の診断書があるから」と数年間放置。後に事件が明らかとなり規制行政所管部局の怠慢が指弾され、道知事が議会で頭を下げる事態となった。

wikipedia「ミートホープ」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%97

wikipedia「身体障害者手帳集団不正取得事件」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BA%AB%E4%BD%93%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E8%80%85%E6%89%8B%E5%B8%B3%E9%9B%86%E5%9B%A3%E4%B8%8D%E6%AD%A3%E5%8F%96%E5%BE%97%E4%BA%8B%E4%BB%B6

 障害手帳事件が表面化したきっかけは、ある道庁職員が「さすがにこれはおかしい」と究明に乗り出したことだった。「医師の診断書があるのだから疑えない」という形式主義的判断は役所の中で普遍的にみられ、そこには一定の理(役所担当者の恣意性の排除)もあるのだけれど、明らかな矛盾を放置して良いということではない筈だ。「診断書と矛盾する事実が明らかにあるのは何故か」と当たり前の疑問をもって事態に臨んだその職員の行動を、私は公務組織の職員の模範として評価している。

 話を戻そう。規制行政の只中にいた当時、私の目の前で起きた出来事について、ここに具体的に書くことはできない。性質として小さな瑕疵なのか、北海道のふたつの事件に匹敵するくらい大きな構造的問題なのかも、書かない。ただ、この問題を巡って、是正を訴える私は是正しない組織と大喧嘩をした。中央の担当部門の力を借りて一度は是正がなされたかに思えたが、後に負けた。以来、私の昇進は止まった。続く。

 本日のヘッダ画像は東京都渋谷区・109周辺の夜景。

■本日摂取したオタク成分
『当確師』、あまり期待せずに観たのだけれど予想を遥かに超える硬派な造りのドラマだった。いっちばん最後の「実は……」はまあありがちでなくても良かったけど、最後に現市長を追い詰めるのがどうして出土品隠蔽なんて地味なネタなのかと思ったら○○を逃したという展開にはやられた感。いろいろ面白がらせる工夫がある展開だったな。原作小説は真山仁、ハゲタカの人だ。

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