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0083:公務員の不祥事

 どの役所でも不祥事は起きる。二十数年間勤務していると、知人が懲戒処分を受ける事例もいくつか見聞きしている(さすがにリアルタイム同僚の事例は経験がない)。特に逮捕・免職にまで至ると衝撃は大きい。

 昔の話になる。どの役所のどの業務の話かは言わない。その人は懲戒免職となり、今はあるNPOで真面目に務めているようだ。その平穏を乱したくないから、かなり話をぼかす。

 舞台は民間事業者を監査し不利益処分を下す部門だ。その人は厳格な監査官として有名だった。私も困難事案に際してその人に相談し、見事な馬力で道を作ってもらったことがある。仕事の上で本当に信頼できる人だった。

 やがて私は異動でその職を離れた。数年後、その人は汚職で逮捕された。報道によれば、私生活でお金にだらしないところがあり、監査対象である民間事業者から賄賂をもらって目こぼしをしていたという。の知る人物像からは想像もつかない事件だった。汚職が始まったのが私が職を離れた後であり、私が頼っていた時期に不正が及んでいなかったのが唯一の救いのように思えた。彼の所属していた組織では大騒ぎとなり、調査委員会が設けられた。原因が探索され、再発防止の方策が模索された──その年は。それ以降、だんだんと忘れられて行った(ように外からは見える)。

 事件はそもそも、当人同士以外にはバレない筈の不正だった。しかし、民間事業者がまったく別件で逮捕され、捜査の過程でメールログから不正が発覚した。

「天網恢々疎にして漏らさず」という言葉がある。世の中そうしたものだ。もちろん、永遠にバレない不正も、世の中にはある。どのような組織もブラックボックスだ。外部の目が届かないという意味で、不正の温床はある。とはいえ、私の経験上、内部の複数の目を通ることでコンプライアンスは基本的に維持されている。基本的には、だ。複数の職員が不正を見逃せば簡単に瓦解する。コンプライアンスの確保のために、個々の職員はどう振る舞うべきか。いろいろ考えるところだ。

 今日のヘッダ画像は、大阪府吹田市の万博公園・太陽の塔の背中側。

■本日摂取したオタク成分
『一人之下』第8~9話、相変わらずおもろい(語彙力)。『水曜どうでしょう』ダブリン編の何回目かな。これもおもろい(語彙力)。

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