見出し画像

0153:消費者に味方する行政

 行政の中立・公正──それは公務員の行動の基礎だ。恣意的な贔屓をせずバランスのとれたサービスを提供する意味でそれは美点となり、「多くの人に同じ事を求められてもできないから」という理由で目の前の困っている人に簡単なサービスすら提供しないとしたらそれは欠点となる。

 民民の争いに対して、中立であるべき行政は基本的に距離を置き、手を出さない。顕著な例外のひとつが消費者行政だ。国民生活センターや各自治体の消費生活センターは、消費者と事業者のトラブルに際して、消費者を支援し時には消費者に変わって事業者と交渉をする。民民関係なのに、中立ではなく、一方に肩入れをするわけだ。

 その理由は消費者基本法第一条を読むと分かる。

第一条 この法律は、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力等の格差にかんがみ、消費者の利益の擁護及び増進に関し、消費者の権利の尊重及びその自立の支援その他の基本理念を定め、国、地方公共団体及び事業者の責務等を明らかにするとともに、その施策の基本となる事項を定めることにより、消費者の利益の擁護及び増進に関する総合的な施策の推進を図り、もつて国民の消費生活の安定及び向上を確保することを目的とする。

 鍵は「消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力等の格差」だ。消費者と事業者にはそもそも格差がある、故に行政は消費者の味方たれ──これが消費者法の基本精神になる。

 そもそも消費者法に含まれる民事規定は民法の特別法に当たる。民法は、人の自由意志を尊重し、どのような不公平な契約も当事者間の合意による成立を認める。強迫や詐欺などによる取消規定があるのは「自由意志」を強く阻害するからだ。一方、消費者と事業者の間で起きる消費者トラブルは、自由に任せるだけでは社会を不安定なものにしてしまう。自由に対する一定の働きかけによって社会の安定を高め、その安定の上に消費経済社会を確立する。その公共性こそが、行政に中立を越えた消費者の味方としての役割を与える。

 本日のヘッダ画像は大阪府吹田市・太陽の塔のお腹にある「太陽の顔」アップ。

■本日摂取したオタク成分
『ひぐらしのなく頃に 業』第18~20話、郷壊し編は察せられたとおり沙都子が壊れていく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?