0922:(GaWatch映像編015)「若者を狙う“闇の錬金術” 〜調査報告 借金投資の罠(わな)〜」
「若者を狙う“闇の錬金術” 〜調査報告 借金投資の罠(わな)〜」
(令和5年4月22日放送、29日22時49分までNHK+でネット視聴可能)
書庫でやくみん(51)の推敲作業をしながら、ふとテレビを点けたのが21時57分。番組表を確認するとこの番組が目に付いた。慌ててリビングのテレビで録画予約(後で家族に見せるため)をし、書庫で頭から視聴。
三人の若者の親として、元消費者行政担当者として、身につまされながら観た。序盤は投資詐欺の話がメイン、中盤からの「モノなしマルチ」は何年も前から消費者行政関係者にはよく知られていて、若い人の被害が後を絶たないことが問題視されていた。騙された人、他人の被害に荷担してしまった人、22歳の娘を自殺で喪った親御さん。インタビューとナレーション解説を組み合わせた、調査報道の名にふさわしい迫真のルポだ。
特に、被害回復業者(いわゆる回収屋)について短い時間ながら触れていたのは凄いと思った。詐欺被害者から依頼を受けて犯人を追い詰め金を取り立てる人々の存在(非弁行為の可能性がある)は、Twitterで以前から目にしていた。番組では割と穏やかな交渉をしているように見えたが、Twitterから窺える内容は相当に暴力的だ。一昨年まで目立っていた人物は、殺人事件で昨年逮捕され、暴力団員であることが判明した(文春が記事にしていてネットで読めるがリンクは貼らない)。悪人を追い詰めることが別の反社会的勢力のビジネスになっているのだ。クロサギやギャングースなどフィクションの世界ではお馴染みの構図も、現実のそれは陰惨さがつきまとう。一部の追い詰められた詐欺被害者にとって彼らがヒーローのように受けとめられている状況。この闇に深く踏み込むことはできなかったとしても、若者に対して継承を鳴らす番組の趣旨に照らして、少しでも言及したことは高く評価したい。
番組では被害にあった時の相談先など丁寧に知らせていた。現に被害に悩んでいる人に対してはとても効果的だろう。ただ予防という観点からすると、こうした番組を観ようとする人はそもそも意識が高く、逆に投資詐欺やマルチなどへの警戒心が低く被害者予備軍といえる人たちは観ようとしない傾向が想定される。番組でも東京都消費生活センターの課長さんがおっしゃっていたが、弱者から金をむしり取る点が心底悪質なのだ。
その意味で、フィクションは強い。先年二度目のドラマ化を果たしたクロサギを筆頭に、詐欺の実情をエンターテインメントで描くことで、ルポルタージュには見向きもしない層に情報を届けることに一定の成功を収めている。私は消費者行政担当者時代、フィクションを用いた啓発の重要性を幾度か口にしており、「やくみん! お役所民族誌」の構想はその頃から十年近く温めてきた。この作品の主目的は啓発にはない(本旨は架空の「民族誌」として役所の力学を描くこと)けれども、その一助となるよう、様々な悪質商法の手口とその解決のモチーフを第二話以降も盛り込むことにしている。
--------以下noteの平常日記要素
■本日のやくみん進捗
第一話本編最終回(51)を公開。ゼミの卒論構想報告会で「消費生活センターのフィールドワークをする!」とぶち上げる、第一話の着地点。ドラフトはここで終わった。カクヨム版はあと1回、最後にエピローグが入る。プロローグ、インターミッションに続く日記3。これはまだ白紙なのでこれから書き下ろすことになる。まあ、そんなに長くはならないよ。
■本日の司法書士試験勉強ラーニングログ
【累積327h35m/合格目安3,000時間まであと2,673時間】
講義動画流し聴き、勉強時間に含めず。
■本日摂取したオタク成分
『NieR:Automata Ver1.1a』第5話、どうもニーアは面白いんだけど家族と話をしながらでちゃんと観れてない。『推しの子』第2話、冒頭は「前回までの粗筋」ぽいね。中盤まで地味目な展開が続くが終盤盛り上がった。『雪国』、ほとんど画面を見ることができずラジオドラマのように視聴。原作は未読。筋立ては好みとは言い難いが、やっぱり細かなところが妙に魅力ある。これはちゃんと観るべきだな。『どうする家康』第14話、大河オタクの妻によれば、小豆のエピソードを具体的な人物に仮託した点が新しいとのこと。過去の回想がクライマックスで畳みかけられるのは善し悪し。