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山小屋に泊まったのは、15年くらい前の富士登山以来だった。

記憶では富士山の山小屋は小さくて、部屋というよりは雑魚寝できるスペースがどーんとあるというイメージ。だから、2階建でしっかり個室があって、部屋数もたくさん、屋内に広いトイレもあって食堂もあるその山荘は、山小屋の中では設備が整った施設だと感じた。

ただ、快適を求める姫モードになってしまうと、重くて古くてちょっと汚れの目立つお布団や、下水道なのかなんなのかわからない独特の匂いが気になって、すぐに居心地が悪くなりそうだった。
そこでモードを切り替え、女山伏になったような気持ちになって、淡々と過ごした。モードさえ切り替われば、シャワーがなくても、顔が洗える水道や水が流せるトイレがあるだけでありがたいと思えた。

東京では猛暑の7月後半に入っても、山小屋の夜は凍えるように寒く、手がかじかんでブルブル震えた。
部屋は2階だったが、1階に1つだけストーブが設置されていたので、時々降りて行って指先を温めた。相部屋のお2人のアイデアで、敷き布団も掛け布団も2枚重ねにして寝た。寒くて寝付くのに時間がかかったが、いつの間にか眠っていて、途中夜中に目覚めた時には、布団の中はぽっかぽかになっていた。

次の日は、山荘の朝ごはんをお弁当にしてもらって、朝5時に起きて雄山の頂上を目指した。
登山ルートは、はっきりした道という道はなく、ほとんど岩に足をかけて登っていくような感じだった。
その日は霧が立ち込める中、うっすらと霧雨も降っていて、登って行くほどに、全身がじんわりと濡れて重くなっていった。
1日目はなんとかみんなについていけていた私だったが、雄山の岩だらけの急斜面に心拍数が急上昇し、息が上がって、気分も悪くなってしまった。

一瞬ここでギブアップかとも思ったが、チームのメンバーで、山に慣れたTさんという方が一緒についてくださって、他のメンバーには先に行ってもらうことにした。
Tさんが「慌てないでゆっくりゆっくり」と優しく声をかけ、「休憩しながらゆっくり行こう」と誘導してくださり、頻繁に休憩を入れながら先に進んだ。Tさんの優しい言葉に励まされ、みんなを待たせてはいけないという気持ちの焦りもなくなって、体調も落ち着いていった。

時々、チーム全体の見守り役のFさんが気にかけて待っていて「しんどくても休まずちょっとずつ進んだ方がいいよ」とアドバイスしてくださったが、御2人のアドバイスが真逆だったため、私はFさんの助言を無視した(泣笑)
状況によってどちらも正解になり得たと思うが、この時はのんびりと、ゆっくりとしたペースをつくって誘導してくださったTさんの存在がありがたかった。

もちろん、声をかけてくださったFさんにも感謝している。アドバイスには従えなかったが、その後も時々待っていて、上の状況やチームの動向を伝えて、気遣ってくださった。

TさんやFさんのおかげでなんとか無事雄山の頂上に到着。
お弁当を食べ始めていたチームの方々と合流することができた。
チームの中で、数名の健脚の方が、別行動でさらに上を目指して先に進んでいた。今ならまだ間に合う!ということで、私についていてくださったTさんも健脚チームを追いかけた。

後で無事に合流されたと聞いて、私のせいでTさんが上に行く機会を逃すことにならずに良かったと心底ホッとした。

その後の下山ルートでは、美しい景色を堪能しながら山下りを楽しんだ。

山頂で記念撮影!右から2番目が私。ホッとした瞬間。
下山ルート

途中、池のそばにある、みくりが池温泉に寄って、ひとっぷろ!写真がミクリが池。

帰りはロープーウェイで黒部ダムに向かった。

ロープーウェイからの景色

ダムは虹が美しかった。

帰宅ルートに入る前に、長野の松本に寄って懇親会。同業者の方々に混じり、同伴者として参加したのは、ご夫婦で参加された奥様と私の2人。

色んな方からよく参加しましたね、勇気ありますね、などと感心された。私の勇気もすごいのかもしれないが笑、飛び入りの私に親切にしてくださった皆さんに感謝したい。

結局、当初感じていた、迷惑をかけてしまわないかという不安は取り越し苦労では終わらず、実際に、まぁまぁのご迷惑をかけてしまった。
しかし、次回もまた!とお声がけいただけて嬉しかった。

みなさんのおかげで、素晴らしい体験をすることができた。1人では決してできない貴重な経験だった。
また同じようなレベルを目指したいかと言われると、はい!とは言えない。だからこそ貴重な機会だったのだと思う。

今回支えてくれた皆さんと、なんとか頑張って貴重な体験をさせてくれた自分にも、感謝したいと思う。

以上、私の旅行記でした。ここまで読んでくださってありがとうございました!

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