低周波鍼通電について知っておきたい3つのことスポーツ現場での鍼電極低周波治療器(ピコリナ)の使い方
みなさんこんにちは。
【考えながら臨床をすれば鍼灸治療は上手くなる】
スポーツ医科学と鍼灸を考えるF Lab です。
低周波鍼通電について知っておきたいことの3つ目は、ピコリナの使い方です。
特にスポーツ選手に鍼をする際に低周波鍼通電をよく用いますが、
ピコリナの使い方は必須だと思います。
どのように活用していけば良いのでしょうか?
ピコリナとは
鍼電極低周波治療器のことで、これまでの機器と違い多彩なモードを搭載していて電気を流す方法にも色々な種類があります。そして定電流出力方式で安定した電流を流すことができます。
ピコリナのモードは4種類
1)従来用いられているコンスタントモード
筋パルスや神経パルスの時は1Hzで電気を流します。筋緊張の緩和や血流の増加が期待できます。また、神経症状には神経血流の改善が期待でき、症状の緩和につながります。そして、筋、神経の支配領域の筋が電気を流した時に動いていることが重要です。
→ 筋緊張・血流増加
腱付着部、腱、靭帯、関節部を対象にした低周波鍼通電は50〜100Hz で電気流していきます。この時は筋の収縮はなく電気が流れている感覚はあります。
→ 疼痛閾値の上昇、消炎
これらはともに、パルス幅は250μsecに設定します。
2)疼痛緩和を目的としたバーストモード
バーストモードは疼痛・筋緊張緩和を目的とした施術に用います。筋・筋膜性疼痛、筋痛、筋損傷の時に用います。鍼を刺入するポイントは筋パルスの時と同じです。これも、筋が収縮していることが重要です。また、腱付着部、腱、靭帯、関節部の痛みに対してもバーストモードは用いる事ができます(この時は筋は収縮しません)。刺激頻度はいろいろ試してみましたが、2Hzが良いと思います。バーストモードは筋の強縮が起きて鍼が曲がる心配がないので良いですね。EMSでいうHi-Voltage と同じ波形のようですね。
→ 疼痛閾値の上昇、筋緊張緩和
この時、パルス幅は250μsecに設定します。
3)同じく疼痛に対して行うスウィープモード
スウィープモードは上記の1-2)の治療があまり効果を示さなかった時や慢性的な疼痛がある場合に用いるようにしています。基本的には疼痛や筋の過緊張に対して行います。鍼を刺入するポイントは上記の1-2)と同様になります。腱付着部、腱、靭帯、関節部の痛みに対してもスウィープモードは用いる事ができます(この時は筋は収縮しません)。これも刺激頻度をいろいろ試してみましたが、周波数下2Hz、上15Hzが良いと思います。
その理由は、鍼鎮痛のメカニズムとして鍼通電の周波数により出現する内因性オピオイドが異なるからです。低頻度2Hzの時はβエンドルフィン、2-15Hzはエンケファリンが鎮痛に関与していると言われています。これを応用して設定しています。この時は、鎮痛のメカニズムとして、出来るだけ電気を流す時間を長くした方が良いと思います(最低でも15分間)。
→ 疼痛閾値の上昇、筋緊張緩和
この時、パルス幅は200μsecに設定します。
4)神経ー筋の促通を促すモジュレーションモード
筋の萎縮や神経-筋の促通を促す場合はモジュレーションを使います。モジュレーションの特徴はランプアップ、ホールド、ランプダウン、オフの刺激の入る4段階で時間を選べる事です。刺激頻度は50Hzで設定します。ランプアップ1.0s、ホールド2.0s、ランプダウン1.0s、オフ1.0sが良いと思います。筋萎縮がみられる場合やリハビリと併用する時がおすすめです。鍼治療をやった後、動いたり、アスレティックリハビリテーションを行う時に使用しています。その他、モジュレーションはリズミカルな刺激感が特徴で全身をリラックスさせる際にも用いられますね。
→ 神経ー筋の促通
この時、パルス幅は250μsecに設定します。
この他にもピコリナ設定についてや治療について書きたかったのですが、別の機会に書いていきたいと思います。また、ピコリナは、従来持ちられている鍼通電の機器より刺激感がマイルドですね。
今日はスポーツ分野でのピコロナによる鍼通電のお話でした。
また、一緒に勉強しましょう。