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人間中心設計を取り入れることについて

人間中心設計(Human Centered Design)プロセスとは何か。

利用する人の状況を理解把握し、関係者で共有しながら設計していこう。という製品サービスの開発プロセスです。

ISOと日本語ではJISで定義されています。
1999年(ISO13407 / JIS Z 8530:2000)
2010年(ISO9241-210 / JIS Z 8530:2019)
2010年の方でUXと言う表現も取り入れられています。

ところで、なぜこの記事を書こうと思ったかと言うと、数年前まで私は長くこのプロセスで開発する環境にいたので、それが当たり前だと思うようになっていました。しかし、数年前ポツっと一旦そこから出て、様々なお客様とお話をするようになってみると、それまで考えていたよりも浸透していないと感じるようになりました。(視野が狭かったことを反省)

UXデザイン(様々な解釈はありますが)と言う言葉が広がりを見せてきたように、類似思想である人間中心設計プロセスの認知、重要度の理解、実践の拡大に少しでも貢献できれば良いなと考えています。

営業活動時も「UXデザイン」というワードは出てきても、「人間中心設計(またはHCD)」は出てこないのです。言葉はどうでも良いと思いつつ、色々なかたちで色々な層の人に届くようになると良いなと。

noteで試しに検索してみました。

ご提案内容をプレゼンをすると、必要そうだし、言っている事もわかるといったご評価はいただけるものの、すでに予算やスケジュールが決まっていて中々入れ込むのが難しいといったことになることも少なくない感覚があります。

であれば、予算やスケジュールを決める時点でユーザーを理解するというプロセスが常態化すれば良い。少なくともそのような状況を増やせれば、企業もユーザーもみんなが嬉しいことになる!

予算とスケジュールがないと言っても、間違った方向性の製品を作る可能性が残ったまま進行して予算とスケジュールを消費するのも勿体ないです。

プロセスの初めにある利用状況を把握する必要性については、下記の表現が非常に分かりやすいと思います。(どこで見聞きしたか思い出せないのですが、心に刻まれています)

ユーザー調査などで利用状況の情報を取得するのは、料理の出汁と同じで、
取らないと、まずい製品/サービスになってしまう

出汁のない料理。。。

また、社内では下記の会話を聞きました。

良い花を咲かすには土台が重要なのと同じで、アプリ/サービスも土台を固めることが重要だ

根っこの部分で方向性を間違えると不要なものを作ってしまいかねません。ユーザーの利用状況を理解して要求事項を理解することは重要なポイントになります。それらの情報を取得するには様々な手法があり、専門的なスキルも必要になるので専門家に依頼するのが良いですが、何もやらないよりは自分たちでやってみるのも良いと思います。(反復活動)

また、開発現場でよくあることとして、どのような製品やサービスなのか、関係者が各々に少しづつ異なるイメージを持っていたりして議論が空中戦になり、中々結論を出せなかったり、声の大きさで決まることがあります。開発の終盤に行けば行くほど認識の齟齬が与える影響範囲は大きくなってきます。

人間中心設計のプロセスでは、利用状況をペルソナやシナリオなどの手法を用いてモデリングを行い、ステークホルダー間での認識のズレを解消し、生産的な議論に集中できるようになります。

すでに設計が進んでいるものは、ユーザビリティテストなどでユーザビリティを改善し、品質を向上することもできます。事前のユーザー理解が低いまま進んできても、ユーザビリティテストを実施することにより、ユーザーフローが想定と異なっていたことに気づくことも可能です。まだ、間に合うものもあるかもしれません。

人間中心設計プロセスは各々のプロジェクトにあったフェーズで取り入れることが可能です。課題が見つかれば適切なフェーズに立ち戻ります。

実施すると

ユーザー:
・やりたいことが実現できる
・「イラッ」となることが減る
作る側:
・仕様決定がスムーズ
・手戻りが減る
・コスト減
・本質的にユーザーが必要なものを作れる
・ユーザーに喜ばれる
・使ってもらえる
・会社のイメージもよくなる

などの結果が得られるようになります。

上記の状況を望まない人はいないと思います。
どのフェーズでも取り入れられるので、まずは初めてみませんか?

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ご参考として、人間中心設計プロセスと似た考えのデザイン思考について株式会社ビビビットさんの調査結果で以下のようなデータがあります。

https://vivivit.co.jp/wordpress/wp-content/uploads/2018/11/2018.11.15_%E5%A0%B1%E9%81%93%E7%94%A8PR.pdf

デザイン思考も認知度はそこまで高くなく、導入には、認知や理解に加えて、人材や効果が課題になっていそうです。
ただし、同じアンケート内の結果で、取り入れている企業では導入効果が出ていることが示されていますので、一歩踏み出すキッカケになるのではないでしょうか。

補足1:
ユーザビリティもISOとJISで定義されています。

1998年(ISO9241-11 / JIS Z 8521:1999)

使用性(usability)とは
ある製品が、指定された利用者によって、指定された利用の状況下で、指定された目的を達成するために用いられる際の、有効さ効率及び利用者の満足度の度合い。

使用性の尺度
- 有効さ(effectiveness)
 利用者が、指定された目標を達成する上での正確さ及び完全さ。
- 効率(efficiency)
 利用者が、目標を達成する際に正確さと完全さに関連して費やした資源。
- 満足度(satisfaction)
 不快さのないこと、及び製品使用に対しての肯定的な態度。

補足2:
直近の自主調査(n=300)にて、2/3程度の人がアプリのダウンロードや利用継続を判断する際に、「操作しやすさや分かりやすさ」を重視すると回答していました。

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