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2024年のポケモンユナイトは、神がシナリオを書いていた説

こんにちは、eスポーツキャスターの水上です。
2024年、いかがお過ごしでしたでしょうか。振り返ってみると中々濃い年だったなと思っております。
というのも、先日行われた「ポケモンユナイト The K4sen」皆さんご覧になりましたでしょうか。
大手ストリーマーの方々が「ポケモンユナイト」を遊ぶ夢のようなイベントでしたが、僕はこのイベントを同じユナイトキャスターのRefuさんとウォチパさせて頂いていました。その最中、Refuさんがこう言ったのです。

「今年のユナイト、誰かがシナリオ書いてるんじゃないかってくらい凄い事が色々起こりましたね」

そう、色々あったのです。「ポケモンユナイト」の競技シーンは初年度から大会数も多く毎年色々起きているのですが、今年は特に凄い事が無数に起こり、その多くが界隈を良い方向へ進ませる事だったと思います。
解りやすく言えば、めっちゃ盛り上がりました。シーンが。日本目線だと特に。

実際は全て選手が努力で掴んだ結果なので、誰かがシナリオを~みたいな話は勿論ちゃんちゃらありませんし、選手の努力を軽んじる意図はありません。
ただ、それでもそう思えてしまうくらい凄い事が起きたこの年。実際何が起こったか、流石に残しておこうと思いこれを書いています。
是非普段ユナイトを追い続けてる訳では無い、という方もこれを見て何が起きたか知ってほしい。10年後くらいにこの記事をみながら「2024年、ヤバかったねwww」と笑うのが目標です。よろしくお願い致します。


2月:かびちゃんず、アジアを制する

まずは2024年2月です。年の頭から行われていたアジアリーグこと「PUACL2024」で日本のチーム「かびちゃんず(現ZETA DIVISION)」が優勝しました。
この「かびちゃんず」というチームは当時新星も新星、2023年の10月に初出場した公式トーナメントで数多のベテランチームを破り無敗で優勝。
BO3を一本も落とさず、16連勝を決めて大きな話題となったチームでした。

そしてPUACLというのは、2023年から続いているユナイトの大会シリーズの1つです。
日本だけでは無く、東南アジア、インド等各アジア地域から予選を行い、勝ち抜いたチームがFinalsへと進出。オフラインでアジアの頂点を競う、というコンセプトです。初年度となる「PUACL2023」では台湾の「Hi5」というチームが優勝しています。

日本のチームはキャスターの贔屓目無しにみてもかなり強いと思っているのですが、「WCS」や「PUACL」等の国際大会では3位~4位の決着が多く、ファンの間にも悔しい空気がありました。「日本のチームが世界で勝てるように、大会を開こう!」と言う動機でコミュニティ大会が開かれる程です。
そんな中でアジアリーグを「かびちゃんず」が制した事はコミュニティにも大きな盛り上がりを呼びました。所謂「MOBA」ジャンルのゲームで日本が国際大会を制する事は快挙に値する事みたいで、タイトルを超えてその活躍は広まったと聞きます。

このかびちゃんずの優勝により、2024年の日本ユナイトシーンは、かなり「アツイ」形で始まったと言って良いでしょう。

4月:日本チーム、ロンドンに招待され大健闘

2024年4月、「EUIC」という大会がロンドンで開かれました。これは毎年ある大会で、スカーレット・バイオレットを用いたゲーム部門やポケモンカード部門等、ポケモンゲーム合同で行われる大会です。
優勝すればWCSの出場権を手に入れられる事もあり、ポケモンの競技プレイヤーにとっては重要な大会。
そのEUICのユナイト部門に、日本からアジアリーグで活躍した「かびちゃんず」「Unite Holic」の2チームが招待されました。

ポケモンの公式大会において、予選等を介さず別地域のチームが大会に招待される、と言うのは僕の認識している限りかなり稀です。日本チームの活躍を期待してコミュニティも盛り上がりましたし、公式でもウォッチパーティが開催されました。

そして結果は「かびちゃんず」が堂々の2位。Day2はルーザーズからスタートしたものの決勝戦まで駆け上がる戦いぶりで、日本から応援する視聴者をずっと楽しませてくれました。「Unite Holic」もDay1で敗れてしまったものの、アツい戦いを見せてくれました。
この2チームの活躍をウォチパとして見守るのは、これまでの公式大会ともまた違った空気で、より「選手を応援する」事に特化した雰囲気を視聴者さんと共有できた機会だったと思います。ユナイトに「ウォッチパーティ」って文化が広がり出したのもこの辺からだった気がしますね。

5-6月:プロチーム「REJECT」誕生。背水の陣でWCS進出

Let's gooooooooo
2024年5/27日、プロゲーミングチーム「REJECT」にユナイト部門が設立しました。ポケモンユナイトの「プロ」が生まれた瞬間です。
所属した6人は「JSV no Title」という名前で活動していたチームで、この時始まっていた大会シリーズでもいちはやく結果を出していた強豪チーム。納得の人選に、コミュニティも大きく盛り上がりました。
ただこのチームの凄い事は、この「5/27日」にプロ化を発表した事です。

この発表があった週の末、6/1日から「PJCS」という大会が予定されていました。
これは世界大会「WCS」の切符を掴むための大会で、このPJCSで3位以上になればWCS進出、晴れて日本代表になる事が出来ます。が、REJECTがユナイト部門の設立を発表したのは、この代表を賭けた戦いの5日前でした。

PJCSは予選を勝ち抜いた8チームの中から上位3枠を争うめちゃレベルの高い大会でどのチームも実力は拮抗していたので、正直プロにはなったもののPJCS勝ち切れませんでした、は全然あり得る話でした。チームとしてもPJCSの結果を見てから発表するといった選択肢はあったはずですし、その方が選手のプレッシャーも軽かったはずです。

それでもあえて前に発表し、「プロ」の看板を唯一背負ってPJCSに挑んだREJECTは、見事日本代表の座を掴み取りました。

勿論どのチームが勝っても盛り上がったでしょう。しかし、大会前に発表したというストーリーも込みで、ユナイトシーン初のプロチームが日本代表になった事は、タイトルを超えて大きな話題を呼んだのは間違い無いと思います。道中の試合がずっとギリギリだったのもめちゃ盛り上がった。

ちょっと話は逸れますが、このPJCSは有観客のオフラインイベントで、「お客さんの盛り上がりも凄まじかった」のが印象的でしたね。会場中にユナイトを観戦する人の歓声が届いていたらしい。

ラスト20秒前まで同点で進む神試合もありました

6-7月:日本代表チーム、全チーム「プロ」へ

Let's gooooooooo
それぞれ6月と7月、更に2チームのユナイト部門結成が発表されました。
上記でも紹介し、2024年は常に話題の中心にいた新星「かびちゃんず」が「ZETA DIVISION」に。
ユナイトリリース時からの上位プレイヤーを擁し、国内最強とも名高かった「Champion Lord」が「FENNEL」に。
この2チームはそれぞれ「PJCS」で日本代表権利を掴んでおり、代表3チーム全てがプロチームになりました。

7月はWCSが絡んだ公式大会等が無い期間になるのですが、その分コミュニティ大会も活発に開かれ、プロを背負って世界で戦う彼らを応援しよう!という空気も常にあったと感じています。

8月:FENNEL、WCS優勝。日本が世界を制する

そうして迎えたWCS2024、ハワイ・ホノルルでの戦い。
どのチームも非常に高い仕上がりを見せる中、その全てを飲み込む圧倒的な強さでFENNELが優勝しました。
WCSでの日本チームの成績は、2022年が最高4位、2023年が最高3位と「もう少し」が続いてきた中で3年目のWCSで遂に日本が優勝。
2月の欄にも書きましたが、2023年のWCSが終わってからは「2024年こそは日本が優勝できるように経験の場を多く作りたい」と言う動機でコミュニティの大会がどんどん開催されていました。そしてどんな大会でも、選手を応援する視聴者が沢山いました。

2024年は選手は勿論、大会主催者や視聴者、プレイヤーも「WCSで日本が優勝する所が見たい」という意思がある程度共有され続けて走ってきた雰囲気があり、FENNELが優勝した事は、日本のユナイトシーンにとっては最高の着地だったと言えるでしょう。

8~10月:プロチーム、続々発足

WCS後から10月にかけて、多くのプロチームにユナイト部門が誕生しました。長年のベテラン選手や、2024年のシーズンで活躍した選手が多く選ばれています。
この辺りからプロチームによる「ファンミーティング」も開かれるようになり、選手と、これまで選手を応援してきたファンの方により交流の機会も生まれる様になったと思ってます。

11月:プロリーグ、開幕

そしてWCSの戦いから3ヶ月、3年目となるアジアリーグこと「PUACL2025」が、開催されました。今年は完全招待制のプロリーグで、上記でも紹介した8チームによるリーグ戦が現在も続いています。

日本リーグだけではなく、東南アジア、インドリーグでも同じくプロリーグが開催されていて、アジア全域で約30に近いプロチームが戦っている世界となりました。3年でこれは本当に凄い。

とりわけ凄いのは、リーグでの試合が本当にハイレベルな事です。
始まる前こそFENNELが強さの面では抜けている雰囲気があり、Day2までは実際FENNELが立て続けに優勝しましたが、短い期間で何度も戦うリーグの性質に選手達が完全に食らいつき、同じ環境、同じ対戦カードでも毎回違った展開が起こっています。
多くのチームがプロとしては初陣となった今回のリーグですが、既にそういった固さは無く、どのチームも常に進化し続けています。

FENNELも総合順位で現在1位ではあるものの、リーグ間で何度か敗戦も経験しており、どのチームも1位となる可能性がある、と言い切れる互角のリーグ戦が続いています。めちゃくちゃ面白い。

まだリーグは続いており、次は年明け1/11日です。興味ある方も無い方も是非。

12月:【The k4sen】

12/10に発表された特大イベント「The K4sen」
有名ストリーマーのK4senさんが主催するイベントで、これまで様々なタイトルで開催されてきたこの催しが「ポケモンユナイト」で開催される事になりました。
これはK4senさんを始めとした有名ストリーマーの方々、とりわけあまりユナイトの経験が無い方々でチームを組み、2日間の練習を得て「ポケモンユナイト」で対戦するイベントです。
出演者はストリーマーの第一線で活躍する方々ばかりで、普段ユナイトを知らない人にユナイトの面白さが届くチャンスだと僕も楽しみにしていました。

ただ「初心者同士で戦う」というのは少しリスクもあり、というのも「視聴者が見てて面白い試合を行う」って結構大変な事なんですよね。
どちらかが一方的になっても面白くないし、セオリー度外視でわちゃわちゃするだけになっても味気ない。実際1日目の練習風景ではまだ「何をすれば良いんだろう」という空気が両チーム漂っており、本番がどうなるのか少し不安もあったのですが…

杞憂!

杞憂!

杞憂~~~~~~!!

マジで全試合神試合でした。失礼かもしれませんが、1日目と同じプレイヤーとは思えないくらいの戦略、レベルの高さでめちゃくちゃ面白い試合が続きました。人は3日でここまで上手くなれるんだ、と僕も感動した。出演者の方々が本当に凄い。
合計6試合して、もし3-3だったら幻の7戦目が生まれる、というルールでしたが、取って取られてを繰り返してしっかり7戦目に突入。イベントとしての盛り上がりも最高潮。
練習日も配信されていたので、上手くなっていく過程や話合って戦略を詰めていく様子がダイレクトに見られたのも良かったです。3日通して「ポケモンユナイト最高に面白いな」と感じられる時間でした。

The K4senからユナイトを始めた!というお声も沢山耳に届いており(マジでありがとうございます)色々盛り上がりのあった2024年の最後、最高のイベントになったと思います。

来年もまだまだ続きます

以上が、ざっと振り返る2024年のポケモンユナイトでした。マジで色々ありましたし、そんな中で「一個サイコロの目が違えばこうはならなかった」とでも言えるような、全てがアツい方向に転がった1年だったと振り返っていても感じました。
今でも京王線全車両にユナイトの広告が中吊りされていたりと、本当に凄い世界線に来たなと感じています。

とはいえ来年もまだまだ続きます。1月からはアジアリーグもあります。2月にはオープン大会の「Winter Tournament」もあります。FINALにはWCSを2度制した「Luminosity」が招待されアジアリーグに参戦します。
その後にはWCSも控えています。その間にもきっと僕らの思いもよらぬイベントが開かれめちゃ楽しい思いが出来ると良いなと期待しています。

2024年は本当にアツイ年になったと思うので、まずはこの1年を喜びつつ、この年がピークにはならないよう、もっともっと盛りって行ける様、自分も引き続き出来る事を頑張りたいと思います。

それでは来年も何卒!


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