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29. あいつのことを、よろしく頼む。 Skyliner('65)

今回は、個人的なことを書かせていただきました。
時計と合わせて、この記事を親友に贈ります。


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自分の親友の一人が、
昨年12月、諸々の事情で早期退職をした。
そして、今月末、彼の奥さんの田舎の方に移住する。


あいつと出会ったのは、40年ちかく前。
今は無い会社の新入社員同士、同期入社ってやつ。
偶然、お気に入りの洋楽の楽曲が一致し、意気投合してからの仲。

その会社の頃は、毎晩のように一緒に飲み歩いた。
それから十数年の年月が経ち、お互いに会社も変わり、
なかなか、会えなくなるのだが、
少なくとも年1回は会い、お酒とともに近況を交換、
その場は、6時間以上の長丁場になるのが恒例だった。

それが30年以上続いて、今に至っている。
どんなことを話しているのか、思い出せないのだが、
時間が経つのが、異常に早いなあと、いつも思う。

昨年暮れに会ったのは、1年ぶり。
その時に、退職と移住の話を聞いた。
先々、奥さんの田舎に行くことは聞いていたのだが、
いきなりの今月で、けっこう驚いた自分である。


まあ、今生の別れでは無いので、そう感傷的になることも無いのだが、
結構、遠い地になるので、年一のようには会えなくなるだろう。
それより、
新しい地で、第二第三の人生を楽しんで欲しい気持ちが強い。



先日の年始休み、
コレクションBOX から、
数年前に修理した、SEIKO Skyliner を取り出した。

1965年6月製、
あいつの、生まれ年、生まれ月に産声を上げた、Skyliner だ。

ある意味、門出の祝いだ。
あいつに贈ろうと思う。


自分の時計修理趣味と目標を、よくわかってくれていて、
いろいろとアドバイスもくれた。
機会があれば、ビンテージ時計をしてみたいとも、言っていた。
デザインの好き嫌いはあるが、
ちょうどいい機会、無駄になることもないだろう。


ブライトリングやオメガを持つ野郎であるが、
こんな時計も、新天地で話のネタにはなるんじゃなかろうか。

TPOをわきまえている野郎なので、
この先、こういう時計をする場もあるんじゃなかろうか。

どんな境遇でも、乗りきる力を持っている野郎であるが、
なにかの時に、励みになるんじゃなかろうか。

もしかしたら、自分がこれからやることを、向こうで宣伝して
くれるんじゃなかろうか。( 冗談、^^ )

そんなことを考えながら、もう一度、丁寧に分解清掃をした。


組み立てが終わって、リューズを巻く。
テンプが、「後は任せろ」と言わんが如く、元気よく動き始めた。

よしっ!
おまえも、第二第三の時計人生を楽しんで来い。

そして、


あいつのことを、よろしく頼む。

FLH