待ってください! 「粋」過ぎじゃあ、ござんせんか?
こんにちは、
時計の話は置きましての、月イチのいっぷく記事です。
野暮な前置きは抜きにいたしましょう。
師走も近くお忙しいかと、こんな話で心和めましたらと思います。
○前口上
江戸の町を、艶やかな着物を着た町女が歩いています。
そんな姿を見たら、色男衆が黙っているはずが、ございません。
町男、
「よっ! そこ行く、姉さん、歩く姿が 粋 だねえ!」
町女、
「なに言ってるんだい、わたしゃ、今、帰りだよ。」
昔、なにかの落語の前口上で、聞いたセリフです。
軽快な掛け合いが、「粋」ですねえ。
と、いうことで、
自分が、にんまりして、うっとりしました、
「粋」な掛け合いの人情噺し、おば、おひとつ。
○小田急線の車内にて
座る席は埋まって、適度に混んでいる電車の中。
途中駅で、
見た目お若い、熟年のおばあさんが乗ってきました。
おばあさん、
姿勢も良く、座りたいという仕草も無く、
立っている自分のとなり、
眠っている学生のような青年の前に、自然に立たれました。
電車が駅を出たあたりで、
青年が目覚め、目の前のおばあさんに気がついたよう、
サッ!と、急いで席を立ちました。
青年、
「すいません、どうぞ。」
そして、苦笑いしての、ひとこと。
「へんな寝顔を見せてしまい、すいません。」
このお兄さんの、
サッ!と立ち上がる振る舞いと、
ふたことめの、
気がつくのが遅くなってしまった気恥ずかしさを含んだ、
ひねりが効いたセリフ。
この兄さん、なかなか「粋」なこと言うなあ。
と、横で聞いて、にんまりましたねえ(笑)。
なかなかの、好青年でした。
この話だけで、
「粋」さ加減は、十分なのですが、
そのあとの、
おばあさんの、お返しが、輪をかけてお見事でした。
おばあさん、
「ありがとうございます。」
そして、笑顔での、ひとこと。
「とても、やさしい、お寝顔でしたよ。」
なんと、見事な、お礼!
席を譲るという直接の"やさしさ"のお礼に加えて、
その人の内面の"やさしさ"まで、褒めているようなお礼のことば。
なんて、「粋」な、おばあさん。
にんまりした後での、
この返事に、あたしゃもう、うっとりです(笑)。
意を汲んだ、青年は微笑み、
おばあさんを間に、自分と反対側に立っていた、
可愛らしい女性が、クスリと笑顔を見せる。
周りの誰もが、笑顔になった、ひと幕でした。
○人生の経験者
どうしたら、こんな言葉が、さらっと言えるのだろうか。
と、思ったことがあります。
人生の経験値なのかもしれないですね。
皆が笑顔になる言葉を、さらっと言えるようになるには、
自分、まだまだ、人生の経験値不足です。
言えぬなら、
人生の経験者様から学ぼうじゃあ、ありませんか!
ということで、
こんな「粋」に、出会ったお話し、
また、
ふたつ、みっつ、書きたいと思います。^^/
○後口上
では、
〆の口上で、もうおひとつ。
江戸の町を、艶やかな着物を着た町女が歩いています。
そんな姿を見たら、色男衆が黙っているはずが、ございません。
町男、
「よっ! そこ行く、姉さん、歩く姿に 華 があるねえ!」
町女、
「あら、そう。 それだったら兄さんにも、あるじゃないか。」
「ほら、お顔の真ん中に!」
そう簡単には、そそのかされない町女の、「粋」な、お返し。
鼻であしらう・・
このような返しを「鼻 あしらい」と呼びました。
いや、今回は、
「華 あしらい」と、呼ばせていただきましょう(笑)。
おあとが、よろしいようで。 m(_ _)m
「粋」な、週末をお迎えください。
FLH