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30. ゼンマイ時計のシンクロニシティ・・

こんにちは。
おやじの左手です。
趣味のひとつとして、1960年代の国産手巻き実用腕時計を集めて
こつこつと修理をしています。
記事の趣旨は、「自己紹介」をお読みいただければと思います。


今回は、自分が、常々想っている徒然話しです。



飲み会や会食などで人様に聞く、時計のお話しで、

たとえば、
『じいさんを思い出して、じいさんの時計を出してみたら、
止まっていた針が動き出したんだよ。』
『不思議だよねえ。』
のような話を、たまに聞きます。


この不思議、
たいていが、時計の入っている引き出しを開けたり、
時計を手に取った時の振動で、
ゼンマイが緩み、針が動いたような理由だと思います。

全てのゼンマイが、とは言えませんが、
ゼンマイは、ほどけ終わっても、僅かに余力が残ります。
これに、直接の振動や、
重力の向きで動くテンプやローターからの力が かかり、
余力でゼンマイが動き出す。
より、このような不思議は、
ゼンマイ式の手巻きや自動巻きが、多いように思います。

クオーツは、
電池が放電し切ったら余力も無いし、
重力も関係しないので、動くことは無いかと。


けど、不思議に思っている方に、
これを、言い切ってしまうのは、野暮というものですね。



自分、
『じいさんを思い出して、じいさんの時計を出してみたら、
止まっていた針が動き出したんだよ。』
こんな事象、
ある意味、心理用語でいう、”シンクロニシティ” だと思っています。


~ シンクロニシティ ~
シンクロニシティ(英語:synchronicity)とは、ユングが提唱した概念で「意味のある偶然の一致」を指し、日本語では主に「共時性」と訳され、他にも「同時性」もしくは「同時発生」と訳される場合もある。例えば、虫の知らせのようなもので因果関係がない2つの事象が、類似性と近接性を持つこと。ユングはこれを「非因果的連関の原理」と呼んだ。

Wikipedia引用


スピリチュアル的なことは、知らないですし、経験も無いので、
『不思議だよねえ。』と、お話しされる方と、
スピリチュアル系の話は、できないのですが、
「思い出してくれたことの、お礼かも知れないですね。」
くらいの会話をしています。

ここで、
自分が大事にしたいのは、
先のたとえで言うと、”おじいさんを思い出したこと”。
忙しい日常の中で、ふと、いにしえの方を思い出されること、
と思っています。
ご先祖様のお墓参りみたいなことですね。

ふと、思い出す。
これだけでも精神衛生上、とても良いことだと思います。



そこで、機械式ゼンマイ時計の出番です。^^

先の理由とおり、振動で針が動くのは必然。
ですので、時計からしたら、なにも偶然ではありません。

ですが、
思い出して、手に取った人からすると、
必然に動いた針を見て、
思い出した人と、”シンクロニシティ” を、感じられる。



ゼンマイ時計って、
なんて、素敵な気遣いをしてくれるんでしょう。^^/

力尽きて止まっても、そういう余力を残してくれている。
なんて、粋な計らいをしてくれるんでしょう。^^/

機械式時計をいじっていて、
その歴史、仕組み、技術、芸術、それに携わる人々・・
そのすべてに、リスペクトを持たずにはいられませんが、
自分、
ゼンマイ時計自体にも、こんなリスペクトを持っています。


左上:10円玉と香箱、そんなに小さくありません。
右下:香箱の中身、35㎝くらいの鋼がゼンマイとして巻かれ入っています。
(写真はNG品です)


ゼンマイがほどけ終わり、時を刻む使命が終わっても、
いにしえを想う時は止めていない、ゼンマイ時計。

『不思議だよねえ。』と、
話す方々の時計を見ることはありませんが、
それら、時計たちに、
心から、「ありがとう。」を、 伝えたいです。

FLH