4. 日常の風景・・ Skyliner calendar(‘66)
こんにちは。
おやじの左手(略してFLH)です。
趣味のひとつとして、1960年代の国産手巻き実用腕時計を集めてはこつこつと修理をしています。
記事の趣旨は、「自己紹介」をお読みいただければと思います。
GWも終盤、いかがお過ごしでしょうか。
自分は嫁さんと近場をぶらぶら、ネトフリ観たり、本を読んだりと、のんびりした連休を過ごしています。
① SEIKO Skyliner calendar
型番:6222-8000 Cal:6222 21石 5振動(毎時18,000振動)
ケース径:35.5mm(リューズ含まず) ラグ幅:18mm
1966年4月製造(S/Nより推測)
1961年にデビューしたスカイライナーは、65年くらいからCal62系になりました。
ケースもその薄型は継承され、
・薄型ラウンドタイプの型番9970、ちょっと小さい9000。
・少し横広になった型番8000、8010。
・トノータイプに近い型番5010。
・ワンピースケースの型番7030。
など、バリエーションが大きく増えました、当時の人気がうかがえます。
② 正面
若干おとなしめになったようなデザインとケースです。
ケースの左右の厚みはリューズガードを意識したのでしょうか、この形状のためリューズもちょっと小さいようです。
3針が型番8010、カレンダ付きが型番8000。
ともに厚みは10mm弱、見た目同じケースに見えるのですが、3針とカレンダではリューズの穴位置が合いません。
より、ケースをごっちゃにすると識別にムーブメントを入れねばわからず、苦労します(笑)。
写真の時計は風防を研磨して流用。
ケースも洗浄、研磨して完成です、ラグなどにキズは残っていますが、輝きを取り戻しました。
文字盤と針は、ゴールドインデックスと金針に交換、金銀のコンビにしてみました。
③ 左右側面
仕入れ時計の中に、時々、とてもリューズが巻き難いモノがあります。
その中でも、特にこの62系の8010、8000に巻き難いモノが多く、各々でその巻き難さが違うことから、
・リューズとケースに微妙な誤差の相性がある。
・長年の使用でリューズ自体のギザギザが擦り減っている。
・リューズの径が少し小さくなったことで回し難くなっている。
などの解釈をしていました。
ですが、どうやら誤解で、原因はリューズの防水パッキンのようです。
リューズに入れる小さいゴムパッキンが経年劣化でペースト状になりリューズ内部に固着。
それがリューズとケースの摩擦になり回し難くなっている様子です。
対策として、細い尖った工具でリューズの内側をひっかき、できる限りゴムを取り除き。
ケースのリューズガイドに油を塗り、何度もリューズを抜き差ししさらに内部の汚れを取り除きます。
綺麗になったら、リューズガイドにやすりをかけ微量の油を付け滑りやすくします。
これが、回し難さの真の理由でその対策方法が正しいかわかりませんが、だいぶん改善されました。
溶剤に漬けて落とせれば楽なのですが、リューズから巻き芯が抜けてしまう恐れがあるので要注意です。
(この経験、ベンジンでも抜けました。。)
こんな試行錯誤でも、修理の楽しさを見出している自分です(笑)。
④ 背面
1966年までは写真のようなタツノオトシゴが君臨し、67年から消えてしまいます。
スポーツマンも同じ時期、コストダウンだったのでしょうか、なんか残念です。
⑤ ムーブメント
初期のムーブメントから62系までテンプ含め大方の部品が流用できるため、いじる者としては非常に助かっています。
この後の61系は大幅更新で別物と言っていいかと、より、自分のスカイライナーは62系までとして切りをつけています。
写真のムーブメントは、部品洗浄、注油、組み直しで完成です。
⑥ 日常の風景
古い日本のモノクロ映画で、しかめっ面したサラリーマンが、なにげに腕時計を見ると針が止まっている。
腕を振っても針が動かないので、右手のタバコを口にくわえなおし、時計のネジを巻く。
こんなシーンを観た思い出があります。
また、手巻き腕時計の時代は、毎朝、旦那様が仕事で家を出る前に、奥様が旦那様の腕時計のネジを巻き、ハンカチと一緒に 「いってらっしゃい」 と腕時計を渡していたそうです。
両方とも、今では、絶対に見ることができない日常の風景ですね。
時が進むことでモノが消えるだけでなく、消えてゆくモノを優しく包む風景まで消えて行きます。
せめて記憶だけでも、その風景をアーカイブできたなら。
自分のしていることはほんの小さなことですが、
それがいつか、手にした人にとって忘れられない郷愁になり、かけがえのない風景になればと、心から思います。
*****
⑦ うれしい出来事
今週、とても嬉しくなるお話しをいただきました。
チャンピオン860復活のお話しです。
スキルはもとより、あきらめないご姿勢、それに860が応えました。
「モノには魂が宿る」という言葉を思い出しました。
その魂を吹き込むことができるのは、私たちなんですよね。
それが、とてもよくわかる記事です。
ケーモティックさん、お疲れ様でした。
魂を吹き込んだ860、是非、大事に、ガンガン使って、ください!
⑧ 1966年(S41)の出来事、流行(ネットより抜粋)
・ビートルズ来日
・日本テレビ「笑点」放送開始
・ウルトラマン放送開始
・カローラ、サニー発売
・東京都北区に初のコインランドリー開店
・流行歌
函館の女(北島三郎)、悲しい酒(美空ひばり)
・映画
007サンダーボール作戦、網走番外地、メリーポピンズ
・ヒット商品
ママレモン、サッポロ一番、ポッキー、新三種の神器(カラーTV、クーラー、自動車)
・おおよその大学卒初任給 21,600円
・物価
映画:400円、ラーメン70円、週刊誌:50円、牛乳:20円、かけそば:50円
FLH