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22. ほっこり、腕時計が織りなした親子模様に、乾杯!

こんにちは。
おやじの左手です。
趣味のひとつとして、1960年代の国産手巻き実用腕時計を集めて
こつこつと修理をしています。
記事の趣旨は、「自己紹介」をお読みいただければと思います。


『19.  紳士の素敵すぎる腕時計の話・・』

に引き続き、
今回も、自分が、とっても気に入っている、
人様の腕時計の思い出のエピソード。

ちょっと、エピソードが続きますが、
出し惜しみせず、書くことにしました。^o^/




○ネタ探し

自分、お酒の席などがあると、ネタ探しを兼ねて、
好んで、人様の左手にある腕時計の話を聞いています。


皆が、話してくれるお話、

腕時計の機能やデザイン、ブランドが好きとか。
メーカーや、そのヒストリーが好きだとか。
こんな話が、多いです。

なんか、車の語り口に似ているなあ、って、思います。
腕時計って、どなたにも、思い入れがあるんですね、
けっこう、熱く語ってくれます。(暑く、語る人もいます:笑)


そこで、ときどき聞けるのが、思い出話。

奥さんや、お子さんに買ってもらったんだ、とか、
昇進や、転職した時に買ったんだ、とか。
これらのお話しは、今後の記事にできれば、と思っています。


○ある方の思い出話をひとつ

と、いうことで、
今回は、寄合の席で聞きました、ある方の思い出話をひとつ。

昭和の時代を感じる、ほっこりしたお話です。


話し手は、自分より、10くらい上、
今、70に近い、10年ほど前からの飲み友の、ある店のご主人。
談笑の中で、時計の話を振ったとき、
懐かしく思い出されたようで、気持ちよさげにお話しくれました。


~~~ 

 ・ご主人が小学生のとき

ご主人が、小学生のとき。
というと、60年くらい前でしょうか。

ご主人、
ご主人のお父さんの持っていた腕時計に、とても憧れたそうです。

当時は、どんな腕時計も高級品。
憧れといっても、おいそれと小学生の子供が持てるモノではありません。
お父さんの目の前で、左手につけるくらいまででした。


その息子の姿が、可愛かったのか、
お父さんから、
毎朝、お父さんが仕事に行く前に、

 ・腕時計のネジ(ゼンマイ)を巻くこと
 ・朝7時の、ラジオの時報に合わせ、針(時刻)を合わせること

を、頼まれたそうです。

『どのくらい、やりました?』と、聞きましたら、
「中学になるまでの、3年くらいかな。」とのこと。
習慣化して、それほど、苦にもならなかったそうです。

お父さんとしては、手間が省け、してやったりだったでしょうね(笑)。
子供の早起きにもちょうどいい、と思ったかもしれません。
ナイスアイデアです!


ですが、この後、
お父さんが、困ったことになります。


 ・ご主人が中学生になりましたとき

ご主人が、中学生になりましたとき。
お父さんが、腕時計を買い替えたそうです。


ご主人、
「なんか、巻かなくて、よくなった時計なんだよね。」
「自動巻き、って、やつ?」と、話します。

『リューズが、隠れているやつですか?』と、聞くと、
「そんな、だったかも。」

(スポマチ(※)だな)、ニヤリとする自分(笑)。
それはそれは、新機能が付いた性能アップ腕時計!
NAエンジンに、ターボが付いたようなもんです(笑)。

きっと、お父さん。
手にして、とても、嬉しかったことでしょう。


 ・ご主人の妹さんが登場

ここで、ご主人の妹さんが登場します。

どうも、妹さん。
お兄ちゃんが、お父さんの時計のネジを巻くのが、うらやましかったらしく、
お兄ちゃんが、中学生になったら、次は自分の番と思っていたようです。


お父さんの、お手伝いを、したかったのかも。
お兄ちゃんが、妹さんに、
「これは、俺の仕事だ! お前は、まだ早い。」とか、言って(笑)、
触らせても、くれなかったかもしれません。

妹さん。
お兄ちゃんが、中学生になり、
「やった! 私が、ネジを巻ける!」と、思っていたところ、

お父さんが、ネジを巻かないでいい、腕時計を購入。


それを知った、妹さん、
がっかりして、泣いたとか、
「お父さんなんて、大きらい!」と、スネたとか、

口もきいて、くれなくなったとか。
(これは、自分の想像:笑)


お父さん、娘さんがそんなになっちゃって、大困り。


そんなことで、お父さん。

仕事には、新しい腕時計をして行くことができず、
今までの時計で、行かざるを得なかったとのことです(笑)。


~~~

<お話しの補足>
ご主人、なぜ、このような話を憶えていたかと言うと、
中学生になったし、父親が新しい腕時計を買ったので、
手伝った腕時計がもらえると、ワクワクしていたからだそうで、

「妹のおかげで、もらえなくなっちゃったんだよ!」
と、笑いました。


○腕時計が織りなした親子模様に、乾杯!

このお話し、なんか、ほっこり。

ラジオの時報に針を合わせるなんてことが、日常にあったり。
父親の仕事の朝準備を、お子さんが手伝ったり。
この後、ご家族全員揃って、朝ごはんを食べたのでしょうね。

そして、
腕時計という、精密機械への、息子さんの憧れ。
自動巻きという、新しい機能を持てた、お父さんの喜び。
早く、お父さんのお手伝いをしたい、妹さんの気持ち。
・・・

昭和の時代の人々ならではの、
生活や想いが、この話の中にあるような気がします。


なんか、微笑み顔になり、
『いい話を、聞けたなあ。』って、思いながら、ビールをゴクリ。

昭和の腕時計が織りなした親子模様に、乾杯!



昭和の時代でも、
娘さんに嫌われたくない父親って、いたんですね(笑)。

あっ、
これは、いつの時代も、変わってないか!

平成、令和ですが、
自分も、今でも娘には、嫌われたくないもんな(笑)。


~~~

○時計話は、続きます。^^/

ご主人の話を、一緒に横で聞いていた、
そのご主人より、10くらい年上、80前の、元気なじいさん
(この方も飲み友)が、この後に続いて、話し始めました。

「ラジオの時報で、針を合わせるなんて、あったねえ。」

「俺のときは、・・・・ 」

『おお! これも懐かしい!』


この話は、またの記事にしたいと思います。^^/


○セイコー ファイブ スポーツマチック

※スポマチ   →セイコー ファイブ スポーツマチック
 この当時の自動巻きは、手巻き機能が付いていないのがありました。

 WATCH COLLE様のサイトの写真を引用させていただきます。
 お父さんが、買った時計、
 こんな感じの時計だったんじゃないかな、と思います。

リューズがケースの下に隠れてます。

FLH