ムクドリのつぶやき
~アキレスと亀からの連想⇒「神と宇宙」について~
ムクドリが大量に飛び回る動画を見て、私はなぜ世界のフレームレートが下がらないのか不思議に思った。
それをSNSに投稿したところ、「アキレスと亀を思い出すね」とコメントを頂いた。
「アキレスと亀」。
「アキレスと亀」だ。
これは昔聞いたことがあって調べたがよく理解できなかった話だ。
気になったのでもう一度調べてみたところ、ああ、なるほどと思った。
このアキレスと亀は詐欺師の話であり要は屁理屈である。
重要なのはその寓話の詐欺師の話術や話の持って行き方なのに「君、アキレスと亀を知ってるかい?」と訳知り顔をしたい人によって、アキレスが亀に追いつけないという結果だけ抜き出され紹介されているために、その概念を理解するための前提条件が失われて紹介されることが多い。
ここでもアキレスと亀について紹介したいところであるが、話の本筋ではないため割愛する。
アキレスと亀の概念を理解するために新しく私が考えたのは、「全知全能の神と宇宙」という話だ。
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――この世界には全知全能の神が存在していた。
ただ、どちらが上で下かが分からなかったため、神は天と地を作った。
―これで神は全知全能となった。
「光あれ!」
世界はまだ闇の中だったため、神は全知全能になるべくあたりを照らす光を作った。
―これで神は全知全能となった。
明るくはなったものの、下と上がどちらか間違ってしまいそうだったため、神は天に空を、地に大地を作った。
―これで神は全知全能となった。
光はあったものの、光源としては不十分だったため、神は世界をよく見渡せるよう昼には太陽を、夜には月と星を作った。
―これで神は全知全能となった。
もたらされた明かりによって、広大な範囲を見渡せるようになったが、広大すぎるため世界の隅々までを同時に見ることが出来ない。
そこで神は空に鳥を、海には魚を、大地には獣を作って神の目と共有することにした。
―これで神は全知全能となった。
作った鳥や魚や獣は自分自身を見ることができないため、鳥や魚や獣を見ることができるよう動物からは監視するための動物が生まれるようにした。
その生まれた動物をまた監視するため、動物は無限に増殖するようプログラムした。
―これで神は全知全能となった。
すると今度はあまりに数が増えすぎてしまったため、神は動物たちを監視するのにも疲れてきてしまった。
私の分身がいれば忙しくなくてすむのに。と思い神は人間を作った。
もちろん人間を監視する人間が生まれるよう、人間も無限に増殖するようにプログラムをした。
―これで神は全知全能となった。
そこで、ふと、神は全知全能の力によって宇宙の果てはどうなっているかを探ってみた。
神が天と地を創ってから宇宙は無限に、爆発的に大きくなり続けている。
神がすべてを知ったとしても、気づいた刹那には既に宇宙は神が全てを知ったときよりも大きくなり続けているのだ。
神がどんなにがんばって広がり続ける宇宙を知ろうとしても知った瞬間には常に未知の宇宙が生まれる。
空や海や地には動物や生き物、人間たちがあふれかえり無限の増殖を続けている。
神がすべてを知り続けるためには全てを増やし続けるしかもう道はなくなってしまった。
神は自身のしてしまったことの愚かしさを知り、
最後には寝込んでしまった。
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以下解説である。
アキレスと亀は普通に考えればアキレスは亀を走りすぎてしまうためピンと来ない人も多いのではないかと思う。
ただ、この「全知全能の神と宇宙」においては、宇宙の増殖、と、知るという無限のいたちごっこを概念的に分かりやすく説明できるのではと考えた。
宇宙の広がる速度がどんなに速かったとしても、神の全知全能の速度は文字通り神速であり刹那以上の瞬間に察知することが出来る。
それでも神は全世界を知りえることが出来ないパラドックスである。
また、副産物的に「なぜ生物は存在するのか」という昔からの疑問と、「何故大量のムクドリが飛んでいても世界のフレームレートが落ちないのか」についての仮説をここから導き出せる、ということに気づいた。
・「なぜ生物は存在するのか」
これについては昔から疑問だったのだが、暫定的な答えとしては「生物自身の自己保存のため」というものを考えていたが、それだけだと片手落ち感があった。
なぜなら世界が存在する理由として生物の存在は必須ではないからである。なんだったら生物が存在しないほうが省エネルギーなので効率が良い。
なぜ世界にそんな大量の生物が存在しなければならないか甚だ疑問であった。
ただ、この「全知全能の神と宇宙」から考えてみると解決の糸口があるように思われる。
なぜ生物が世界に存在しているか、ひいては人間がこの世に生きているか。
その答えは、「自己保存の無限増殖プログラムを持った生物が生まれてきてしまったから」であり、「神が世界を監視するため」言い換えれば、「世界が存在するための観測者を存在させるため」に生物を作り始めてしまったら、無限増殖バグによってここまできてしまったというのが正しいのではないだろうか?
という仮説が成り立つのではないかと考えている。
・「何故大量のムクドリが飛んでいても世界のフレームレートが落ちないのか」
これが今回の「全知全能の神と宇宙」を考えることになった元になった部分である。
何故世界のフレームレートが落ちないかは、「大量のムクドリ1つ1つに計算機構(脳)が搭載されているから」である。
当たり前の話なのは分かるのだが、ゲームなどのコンピュータプログラム的に考えるとなるほどと納得して頂けると思う。
つまり、出来うる限り大量のモデルを表示したい場合、処理落ちしないようにするにはモデル1つ1つに計算機構を持たせ、各自の計算を行う。
神は群体シミュレーションの方向性(規則性やゆらぎ)を指定するだけで済む。
これは近年注目を浴びている、量子コンピュータの使われ方にも似たようなものがあるし、最終的に遠い未来のコンピュータでも似たような機構が提唱されるのではと考える。
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