ねぇ?知ってる

これからだね。
そう言われて頷く
目や鼻から真っ赤な血飛沫を滴しながら
彼は
優しく微笑みながら

これからだね(^^)

そんな顔で私をみないで
誰だかわかってる?

薬で痛みを飛ばし
記憶が混乱しグルグルに

「そこのボルト取って」
「締めるからそこのマフラー支えてて」

「ハイハイ!これね」
「押さえておくからどうぞ!」

白いベッドの上で胡座をかき彼の目の前にある愛車750ccのバイクを整備中
彼だけが見える
スズキGXR750J

いつからだろう
いつまでだろう

彼がここに来て
記憶のかわりに手に入れたもの

「ステージ4の癌です」
「今回の治療で消滅しました」
あれからどのくらい

ううん、ううん、違う
つい最近の話しだよね

「これからだね」
そう彼は優しい顔で微笑んでくれた

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