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自作キーボード【TheEndpoint】制作記録

この度、念願の自作キーボードを組み立てました!

元々キーボードというアイテムにちょっとときめきを感じるタイプの人間だったので、好き放題カスタマイズできるキーボードの世界があると知り躁が発動。

ど素人のキーボード作りがどんなものか、ここに書き留めておきます。

長~~~い記事になっちゃったので、制作で苦労したポイントだけ知りたい方は目次より「制作」をご覧くださいませ。


作りたいものを作る前に

「電子工作」という単語にすら馴染みがないレベルのど素人なので、いきなりイメージ通りのキーボードを作るのは無謀だと早々に判断。

そこで、遊舎工房さんの「体験イベント!マクロパッドPolePole6をつくろう!」に参加してみました。


遊舎工房さんの体験イベント

参加上限4名で、がっつりサポートを受けられるうえに、自作キーボードで最低限必要なスキルを破格で試せる素晴らしいイベントです。

結果としては、意外とすんなり完成してしまいました。
でもこういうのって、「これで合っているか」を都度確認しながら進められるところが、とっってもありがたいんですよね。
ひとりで進めていたら、「合ってるっぽい気がするけど、本当にこれで良いのかわからない」状態のまま進めることになってしまうので。

しっぽ作 PolePole6

お陰様で「半田ごてって自分に扱えるのかな?」「手順書は熟読したけど、本当にこれで完成するものなの?(謎の懐疑心)」みたいな不安が一掃でき、自信がつきました。

満を持して、自分にとっての至高の逸品作りに取り掛かるぞ!


自作キーボードキット選び

キーボードキット、見ているだけでわくわくしちゃいますよね。

選んだキットによって制作難易度も変わってくるので、初心者にとってはキット選びもかなり重要かと思います。


要件定義

「理想を全部叶えてくれそうなキット」を求めて、ガッッッチガチに要件を固めました。

するとあら不思議、遊舎工房さんのHPを見ていた時は「キーボードキットの種類がありすぎて選べない!」と思っていたのに、候補が0になりました。

そんなわたしのワガママ要件はこちら↓

  • 左右分割

  • キー数:40~60%

  • キーレイアウト:カラムスタッガード

  • 左手親指エリアにアローキー(↑/↓/←/→)が設置できる

    • 分割だと親指エリアのキー数は2~3が非常に多く、これで選択肢がめちゃめちゃ狭まった

  • ホットスワップ対応

  • ロータリーエンコーダー取り付け可能

    • 最初は全く不要!と思っていたけれど、体験イベントで作成したPolePole6で実際に使ったら病みつきになってしまった

    • これも結構選択肢が狭まる

  • ReMAP対応

    • とりあえずReMAPが断トツで初心者に優しいらしいので

  • トッププレートのデータが公開されている

    • 書斎に馴染むデザインを追求したいが、ケースを自作する技術はないため

  • その他、あると嬉しいが必須ではないもの

    • トラックボール


候補に挙がったキーボードキット

上記の要件から候補に挙がったのは、3つのキーボードでした。

①ErgoDash

親指4キーを満たしてくれる数少ないキットです。

しかも遊舎工房さんに積層アクリルケースがあって、基盤の色を出さずにカラーコーディネートできるところも最高に魅力的!

しかし、ファームウェアがQMKだったために断念。

断念する前に、QMKのことを頑張って勉強しようとしたけれど、一日頑張ってQMKの理解も断念。


②KillerWhale

バッキバキでめちゃめちゃかっこいいキットです。
マクロパッドとしても使えて、片手ずつの販売。

ホイール縦、ホイール横、ジョイスティック、トラックボールを選択して取り付け可能で、カスタマイズ好きとしてはたまらないですね。

最初から角度がついているところも素敵です。
遊舎工房さんにアクリルプレートもあります。

しかし、実際に遊舎工房さんでサンプルを触ってみたところ、わたしの手には大きすぎて断念。
ジョイスティックなどのユニットが配置される親指エリアを使おうとすると、すぐに腱鞘炎になってしまいそうなくらい指を伸ばさなければなりませんでした。


③The End Custom

ここまで遊舎工房さんでしかキットを探してきましたが、理想を叶えてくれるキーボードがない…!と絶望。

そこでReMAPを開き「キーボードを探す>絞り込み検索」で気になったキーボードを一件ずつ開く、という荒業で探し方をしてみたところ、こちらに出会いました。

親指エリアが6キーずつで、ロータリーエンコーダーも付けられるキーボード。
BOOTHで販売されていますが、アクリルプレートデータも同梱されているとのこと。

もう絶対にこれ!これを作る!!と意気込んでキーマップを考え始めたところで、「欠品と書いてあるけれど、もしかして再販されないかも」と思い始めて問い合わせてみました。

結果、再販予定なし。
しかし、後継品のTheEndpointでもほぼ同じ構成が可能とご教示いただき、TheEndpointで決定しました。

制作者のYMG WORKS様はメッセージのやり取りも丁寧で、完成までひたすらお世話になりました!


余談

少し話は逸れますが、キットの検討中にHHKBを少しだけ触らせていただく機会がありました。

HHKBとリアフォの存在は以前から知っていたものの、デザイン重視派としてはあまりそそられず、触ったことがなかったのですが…。

指に吸い付く感覚、キーボードと一体化するような押し心地。あまりにも、あまりにも気持ちよくて即返却しました。
あと10秒ほど触り続けたら、もう自作キーボードには戻れなくなりそうで…。


わたしが選んだ自作キーボードキット

というわけで…キットは「TheEndpoint」に決定!

こちらの特徴は、上記の制作者様の記事をご覧いただくほうがわかりやすいかと思いますが、個人的に惹かれたポイントを改めて。

  • 左右分割・60%・カラムスタッガード・親指エリア充実

    • キー数はやや多めですが、縦4キーなので理想としていた50%に近い構成

  • ロータリーエンコーダーとトラックボール対応

    • それぞれ最大で左右1つずつ取り付け可能

    • 有志の方がトラックボールケースを自作し、3Dデータまで公開されていた(神)

  • ホットスワップ対応

  • ReMAP対応

  • トッププレートのアクリルデータ公開予定

    • 公開前でしたが、問い合わせたところ快くご対応いただけました

  • 光る


こだわりのアイテム集め

率直に申し上げて…びっっっっっくりするくらいお金が飛んでいきました。

皆さま、ひとつのキーボードを完成させるまでに平均どのくらいかかっているのでしょうか?

わたしは17.7万円飛びました(笑) バカなの?
デザインにこだわらなければ、似た構成でも4万円程度におさまると思います。

購入品内訳

というわけで、デザインにこだわりまくったパーツをここでご紹介させてください。


キーキャップ

17.7万円のうち12万を占める今回の戦犯。

「どれが理想のキーボードに近いかわからないから、可愛いの一旦全部買っちゃえ」精神で、必要数の7倍ほど購入しています。
しかもこのドドドドド円安のなか、カナダのメーカーに発注。関税もしっかり取られました。

12万円分のキーキャップの山

届くまでドキドキでしたが、期待通りめちゃめちゃ可愛いキーキャップばかりです!
こだわり激強なので、いくらかかろうともお金を出せば手に入るだけありがたい。


アルチザンキーキャップも、同メーカーのメタルアルチザンをチョイス。
アクセントにキラッと1粒添えるとキーボードの魅力が7割増(当社比)ですよね。

メタルアルチザン

こちらの輝かしいおばけちゃん、一粒で35ドルでした。
現在のレートだと5,500円くらいですね。高級チョコかな? このキャップ1つでそこらのワイヤレスキーボード余裕で買えちゃうぞ。

そんなわけで、今回キーキャップはすべてカナダのメーカー「osume」で揃えました。


ロータリーエンコーダーノブ

こんなにキーキャップを可愛くしたのに、ロータリーエンコーダーはそのまま黒いツマミなんてありえない!

というわけで色々探した結果、遊舎工房さんでちょうどzoom65用のロータリーエンコーダーノブがグループバイで販売中でした。

これも嵌めてみなければどれが似合うかわからない!ということで、写真で惹かれた3種×両手分、計6個購入。ほぼ1万円。

上から肉球、クマ、ピンク

使わないノブはどうする気なの? 散財お疲れ!


アクリルプレート

TheEndpointのキット購入時は未公開でしたが、YMG様に問い合わせたところ、アクリルプレート用のデータを公開してくださりました!神

遊舎工房さんのレーザーカットサービスを利用し、マット乳半の3mmで発注。
ホワイト系で可愛らしくしたかったのですが、あえてやや基盤の黒が透ける乳半にしたのもこだわりです。

アクリルプレートを換装


トラックボールケース

TheEndpointに決めた時点で、既にけぺお様が3Dデータを公開されていました。神

3Dプリントに縁がなかったので、「3Dプリントサービス」で調べたら、素材の多さに圧倒。
頑張って素材の説明を読んでみても、「これなら大丈夫」「これはスペック不足」なんて工作初心者にわかるはずもなく…。

一週間くらい色々調べながら悩んだ末、意を決して制作者のけぺお様に質問したところ、とても親切にご対応くださりました。

こちらのリプライをなめまわすように熟読し、JLCPCBに発注。
なんと、送料も込みで723円。

本当に届くの…?と不安でしたが、目立つ部分には積層跡ひとつない素敵なケースが届きました。

届いたパーツ
組み立てたトラックボールケース


制作

手順はYMG WORKS様のビルドガイドがありますので、ここではあくまでもわたしがビルドで苦戦したポイントなどを書き留めるのみです。
また、制作キットやビルドガイドもわたしの制作後にアップデートされている可能性がございますのでご了承ください。

  • ねじやナットの種類が多くて違いがわからない

    • 事前に画像解説ページを参考にしつつ、長さやサイズ別に分けてパッキングしておくとスムーズかも

  • ProMicroの補強、これで良いのかわからない

    • 取れる時はポロッと取れそう。ProMicroは安いし交換しやすいしと思い、気にするのをやめた
      →後日あっさり取れたので追加購入しました

  • ファームウェアの書き込みで手間取る

    • ビルドガイドでは「Aruduino Micro」と表示されるという解説だったが、別の名前で表示された(何だったか忘れたけど、「Aruduino ナントカ」だった)

      • USBを抜き差しして「Aruduino ナントカ」で間違いないことを確認し、書き込み

    • 「FLASH」をクリックしても90%で止まってしまう

      • 何度試しても、数分待っても結果が変わらず焦った

      • 改めてUSBを抜き差ししたらあっさり100%になった

  • ダイオードの字が読み取れない

    • ビルドガイドにはくっきりと「A2」と読める写真が載っていたが、光を当てても角度を変えてもiPhoneカメラで撮影しても文字が読めない

      • めげずに目を凝らしてよくよく見ると、黒字にグレーのインクで「T4」と書いてあるようだった

      • 62個分もこの字を読み取らなければいけないの果てしなく大変だった…

  • 導通確認、ProMicroと重なる部分は無理じゃない?

    • 左右計4キー、ProMicroの隙間から差し込めるような道具もなく困った

    • 幸い、他の58キーで失敗が皆無だったので、ProMicroと重なる4キーも大丈夫だと信じて進めた

  • スイッチソケット用の予備はんだ、あまりにも綺麗に乗ってくれて感動

    • その後のソケットの取り付け作業も含め、はんだづけの中で一番楽しかった

  • 黒いゴム足の取り付けタイミングミスった

    • ビルドガイド通りだとトラックボールの取り付け時に邪魔かもと思い、一旦スルー

    • その後すべてのはんだづけが終わり組み立てる段階でゴム足の取り付けを忘れ、キースイッチを嵌めてもキーが反応しなくて焦った

  • LEDの取り付け

    • 壊れやすいとのことでビクビクしていたが、意外と熱を当てすぎた気がした時も問題なくノーミスで20個取り付け完了

    • 導通確認時はすべて綺麗に光ってくれたのに、最終組み立て後に片方のLED9~10が光らなくなった

    • 後日LED9のみ溶かして取り替えたが、既存LEDのはんだが小さすぎて吸い取り線でうまく吸えず打つ手なし。LEDが溶けてぐちゃぐちゃになるまで熱を与えた挙句、最終的にピンセットで剥ぎ取った

  • トラックボール反応しないが原因がわからない

    • 最初からけぺお様のトラックボールケースを使っていたので、純正品で組みなおしてみる→直らない

    • 肉眼ではんだづけ確認→問題ないように見える

    • 6ピンSHコネクターが小さすぎて見えないので写真でも撮ってみる→問題ないように見える

    • 一晩寝かせ、翌朝再度6ピンSHコネクターの写真を見る→下から2番目がくっついていないようにも見えてきた→ビンゴ

一晩寝かせたSHコネクターの写真

わかるかこんなの!!!!!


というわけでSHコネクターで手間取りましたが、ど素人のわたしでも約一日で無事に動作する状態まで持っていくことができました!


終わらないキーボード作り

こんな記事を書いておきながら、実はまだキーボードは完成していません。

あれだけ大量購入したキーキャップもまだどこにどれを使うか悩み中で、キーマップも絶賛お悩み中でございます。
ReMAPを使いつつちょこちょこ試してはいるのですが、なにせ初めての自作キーボード、初めての分割キーボード。すぐに容易く使いこなせるわけもなく…。

まだまだまだまだ不慣れですが、これから長いお付き合いができるようじっくり練り回して絶対にわたしにとってベストなキーボードにしますし、己の手をスパルタ教育して絶対にこのキーボードにとってベストなわたしになります!

一応、キーボードの現在の姿はサムネの通りです。

もしすべてがいい感じに仕上がりましたらまた記事を書くかと思いますので、その際はどうぞよろしくお願いいたします!


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