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Photo by
shiekasai
29歳
29歳になって、色々なことに諦めがついた。
「若さ」と「可愛さ」は素晴らしい、という狭い目で世の中を見始めたのは中学生の頃。
他人をその2軸で勝手に評価していたことへの弊害として、
高校2年生を過ぎた頃から歳を重ねることへの抵抗が増していった。
18歳の誕生日を迎えて「18歳未満」から外れるとき
高校を卒業して「女子高生」を名乗れなくなるとき
大学を卒業して「学生」という身分を失うとき
「新卒」の範疇を抜け出すとき
20代前半が終わるとき
20代後半の前半が終わるとき
わたしにとって最後の砦は27歳だった。
「若い女性は素晴らしい」と思うのと同時に、「27歳は若さと大人の魅力が最も調和する年齢」だと、根拠もなく思って生きてきたからだ。
27歳が終わったとき、自分の価値を見失ったような気分だった。
もちろん、誕生日を迎えるその一瞬で何かが変わることはないと、頭ではわかっている。
他人に対して「28歳以上だから魅力が無いね」とも思っていない。
ただ自分だけが、自分に対して、価値を感じられなくなってしまった。
この先も誕生日を迎えるごとに憂鬱になるのかと思っていたが、翌年、29歳になったときは特に何も感じなかった。
28歳の一年間はまだ若さにしがみつきたい気持ちがあったのに、29歳になった途端にそれが消えたのだ。
初めて「自分はもう若くない」ということを認められたし、受け入れて生きていける気がした。
若さは素晴らしい。
それだけで認められること、許されることがたくさんある。
だけどこれからの人生は若くない。
それでも、若かった年月で培ってきたものはこれからのわたしの武器になる。
そう思えば、30代だって、楽しみに見えてくる。