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[本格ミステリ・感想] invertⅡ 覗き窓の死角/相沢沙呼

本格ミステリの探偵役としての城塚翡翠の魅力が爆発している!

一作目のmediumから二作目のinvertでガラッと作風を変えたので、三作目もまた作風を変えてくるのかなと思っていたが、二作目を踏襲した、倒叙ミステリになっていて、ひとまず嬉しかった。

生者の言伝の方は、普通の人では見逃してしまうような日常の風景から、違和感を感じ取り、仮説を組み立てて、真実を暴いていくという流れは翡翠の真骨頂がでているような作品だと思う。探偵の城塚翡翠が存分に現れていて面白かったです。

また、若き犯罪者(中学生男子)vs 城塚翡翠(お姉さんモード)のやり取りは今までにない組み合わせで、翡翠の新たな一面を見た気がして、そういったところでも今までになかった新しい作品と感じました。

一方、タイトルにもなっている覗き窓の死角は、今までの城塚翡翠シリーズの中でも最高傑作に仕上がっていると思います。犯人が本格ミステリファンということもあり、本格ミステリのお約束みたいなセリフをたくさん言ってくれるのは嬉しいポイントです。

緻密に練られているトリックももちろん良いのだが、探偵の城塚翡翠としてのありかたや信念というところが、今までの作品より深く書かれているのが個人的には好きなところ。翡翠と真ちゃんの信頼関係も見れたし、真ちゃんのわたしのホームズ発言は本当にしびれます。

今回の作品でようやく物語としては動き始めたし、まだまだ続いていくようで安心しました。倒叙ミステリでシリーズ化しているのはあまり読んだことがないため、このままの作風で進んでいってくれると嬉しいと思います。
いつか、翡翠の口からわたしのワトソンって聞けたらいいな…

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