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こもごも/酔っ払い雑記


近所の飲み屋でひとり呑み。

普段は頼まない白子やら何やらを注文
(夫が食べないから)。

持ち込んだ文庫本を片手に生ビールをのむ。

久しぶりの、この快楽。
忘れていた。

アジフライ。
ポテトサラダ。
塩キャベツ。
そして鮭の白子ポン酢。

多分厨房は忙しいのだ。
出鱈目な順に届くツマミを
もぐもぐちみちみしながら読み進める。

昼間買った吉本ばななのエッセイだ。

エッセイの吉本ばななは、とくべついい人でもなくて、あたりまえに偏っていて、でも大事なところが真剣勝負っぽい。だからなんだか体温を感じて、生きている血脈を感じる。

私がもう少し若い頃は、作者を「善良」な人に仕立てあげたくて、勝手にご本人の姿を疎んじていたかもしれない。

私は偉くも無いし、誰に対してであれ、あれこれ評価するすじにはそもそもないって、やっと最近分かり始めたのかもしれない。


私の暮らしには「血脈」を感じる事があまりない。生ぐさい関わりを無意識にも避けて来たのかもしれない。
それに安堵するような、劣等感があるような。


最後はうにチャーハンでしめて、たらふくで退店。

私は何故か酔っ払うと、甘い菓子ぱんみたいなものを買い込む癖がある。

夫と飲みに入っても、出来上がって帰る時には
普段余り行かないようにしているコンビニエンスストアに立ち寄って、これまた買わないようにしているテキトーな甘いぱんを、嬉しくなってカゴに放り込んでしまう。

そして家に帰り、どれも食べずに寝る。
買えばそれで気が済んで、腹も一杯だから忘れて寝るんである。

それでも夫がいる夜は互いに牽制もするので買わずに帰ることも多いのだけど、今夜はひとりで出かけたのでタガがはずれた。

フリーダムとばかりに、飲み屋の隣店の(立地もワルいよな)ミスタードーナツの敷居を跨いでしまった。

またワルい食べものを買ってしまった。
食べないのに・・
いや明日食べるけど・・

いつもは「小麦製品は出来るだけ食べないように」とか「食べるなら国産の」とかいうクセにこれよ。そうしてちゃらになっていくのよ。

うん、しあわせだ、うん。


仕事を辞めて3ヶ月余り過ぎた。
その間、何もやる気が出なかったり
自信喪失したり逃げ越しになったり
虚ろになったり恥じたり後悔したりした。

目覚ましい余暇の過ごし方なんて出来なくて
自室に寝そべってひたすら床を温めたり
近隣の公園までの道をぽちぽち歩いたりを繰り返している。

各方面から「嫌なことは今すぐやめて、やりたい事をやりましょう!」と言われるが、そう言われても、何も無くて焦った。ごくささやかなやりたい事に、まず気がつくことからだった。

ひとり呑み。
エッセイ本。
ながら読み。
酔っ払って甘いもの買うの。

忘れていたけど、
これも、私のやりたい事。

小さい希望を叶える日々だ。

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