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○ 詩音

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からだの奥から来たことばを連ねてみています。
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2022年2月の記事一覧

○20190112

○20190112

しずかな雨だ

あたたかい雨だ

灰色だが、空はあかるい

枝えだは黒く硬いが、やがて濡れ、膨らむだろう

窓についた荒い滴の痕跡は

これは今日のものではない

やがて洗い流され、光るだろう

光るだろう

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○20210304-2

○20210304-2

ねぎらいの日々を
皆がくれた

集まるひとたちは
うつくしくも
いびつであり
あたたかだった

誰のためでもない
自分のためだけのおんがくを

いつか
耳そばだてて
熱心に聞いてくれたのだ

歌ってもよく
寝そべっていてもよく
うららかなじかんが
わたしを包んでいた

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○20210304-1

○20210304-1

自身をさいなむほどに
詰め寄るように
刻々と削ってゆく

その深奥に眠る
やわらかな無垢を
抱きしめるために

ひとつの結実になるために



真実は誰もが知っている
真実は私も知っている

真実は誰も知らない
真実は私が知っている

やわらかな仁のように
生き抜いた甲殻のなかに

私は、居るだろうか

平、凡として
莞爾しているだろうか

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