シェア
f34
2021年10月24日 15:41
深い海の底、また底しろくかがやく糸をひきあげている結晶は歌い、珊瑚虫の手足ははらはらと散るほんの小さな契機かもしれない針の穴ほどのさかい目が瞬いた確かなものがそこにあると私の名は、冬20191015_f34
2021年10月17日 14:08
雨はあがり、薄曇りこの歪ましくもなお「標準」であるくらしのなかである朝コウモリが死んでいたコウモリはこちらにつるりとした背中をみせ灰色で黒い細い背骨が浮き出した背中アスファルトが濡れた朝彼は死んだ、死んだのだ私が望んだこと私がおそれていることその表裏、細い脊椎彼は技術であり、及第点だ。望んで殺した来るべき時がきた否が応でもここにある日々の中で、彼は死に、始まり
2021年10月3日 18:25
ことさらにせまいへやにとじこもって黒い粒のような文字を念写しているだれも、彼じしんもが永劫にかえりみることのないそれはかなしい紋様だ彼はそれを免罪符のようにおしいただき、値と値のあいだにうずくまる者をわらうそんなところにおるのが飲み込めず その呼吸の根をすら埒外という彼がこそその鉛の肺で絶え絶えでもあるがその重さでもって辛うじてこの日々にむすびついてもいるもとめておくれち