廃棄前提おじさんで話題になった万座亭に実際に行って検証してみた。
Go Toでちょっと高い旅館に泊まったら、大失敗。出てきた夕食がこれ。さらに天麩羅とごはん、お吸い物。多すぎて到底食べきれない。シニア層がメインターゲットのはずなので、つまり廃棄前提(としか思えないし、実際にかなりの廃棄が出ているはず)。不味くはないけど、体験価値としては……
-よりかね けいいち @k_yorikane-
多くの方が一度は目にしたであろうこのツイート。もっと言えば、某オンライン大学 学長の「○○大学で請け負った万座温泉の炎上マーケティング」発言なども。
炎上するべくしてしたと言っても過言ではない一連の流れですが、万座亭さんからすればいい迷惑ですよね。
ということで、はるばる群馬県と長野県の県境にある万座亭に宿泊してきました。二代目の平山一夫さんにインタビューさせていただき、率直な今の気持ちや万座亭の料理へのこだわりなどをお伺いしてきましたので、今回はそのレポートをお届けします。
【前書き】宿泊のきっかけ
今回、万座亭に宿泊することになったきっかけがこのツイート。
悪評の一人歩きだけではなく、実際に不利益や迷惑がかかっていることをこのツイートで知りました。
冒頭では多少にごした表現をしていましたが、アフロさん(@afro_three)のツイートに完全同意だったため、応募して宿泊することに。
せっかく宿泊するのならと、温泉や大浴場を含む館内の撮影と平山さんへのインタビューをご依頼させていただき、快諾をいただけました。
お忙しい中、ご快諾ありがとうございます。
なお、本noteで掲載している温泉や大浴場の写真は、上記のご承諾をいただいた上で一般のお客様がチェックアウトされた後に撮影しております。一般的に、温泉内や大浴場の撮影は禁止されておりますので、もし撮影される際はフロントにご確認ください。
万座亭へのアクセス
万座亭は、群馬県と長野県の県境付近にあり、Google マップだとここ。すぐ近くには草津温泉もあります。
正直、めちゃくちゃ秘境です。11時前に川崎の自宅を車で出発して、1時間ほどの休憩を含め到着したのは16時半。東京近辺から1人で運転していくのはあまりおすすめできません。(ただ、運転に慣れている方であれば、休憩を挟めば無理な距離でもないかと思います)
なお、高速道路(碓氷軽井沢IC)から降りた後には、現金支払いのみの一般有料道路が3箇所あります。最近はもっぱらキャッシュレス派で財布の中にあまり現金を入れていなかったのですが、まさかの帰り道分の有料道路の現金が足りないことが判明。
たまたま草津方面の通行止めが解除されたタイミングだったので助かりましたが、通行止めのままだと長野方面に2時間ほど回り道しなければいけないので要注意です……
万座亭の近辺は標高が高いということもあり、霧で通行止めが割と高い頻度で起きているようです。また、白根山が活火山ということで、活発化している時も通行止めになることがあるようです。
草津運動茶屋公園道の駅(@932michinoeki)が交通情報を毎日ツイートされていますので、車で万座温泉や草津温泉に行かれる方はフォローして最新情報を知っておくと安心です。
電車の場合は、『軽井沢駅』もしくは『万座・鹿沢口駅』から出ているバスで万座亭の近くのバスターミナルまで向かい、そこから10分ほど歩くと到着です。バスの到着地の『万座プリンスホテル前』(冬季は『万座バスターミナル』)に到着後、万座亭に電話をすると送迎もお願いできるそうです。
ちなみに、標高1800mにある高原ホテルのため、10分間歩くとそれなりに疲れます。ツアーガイドの方が言うには、万座亭の近辺はアスリートが高地トレーニングとしても利用しているようなので、バス停に到着したら、遠慮せず旅館に電話して迎えにきてもらうのがおすすめです。
白鐵の湯 万座亭
〒377-1528
群馬県吾妻郡嬬恋村干俣万座温泉2401番地
公式ホームページ
万座亭に到着 エントランスとラウンジ
イニシャルDの舞台になっているのでは?と思うほど曲がりくねった峠道を超安全運転で進み、硫黄の匂いが漂うなかようやく万座亭に到着。思っていたよりも大きな旅館。
エントランスでは、除菌用のアルコールとマスク着用のお願い、スタッフによる検温もおこなわれていました。ロビーでは、チェックイン・チェックアウト時のソーシャルディスタンスを保つためにフロアサイン(足跡マーク)もしっかりと設置。
なお、出迎えやお部屋の案内などは、感染防止の観点から現在は行っていないとのことです。
ロビーも広々としています。コーヒーや紅茶、アルコール類などが飲めるラウンジもあるので、湯上りの一杯を楽しむことも。
この他にも、卓球場やカラオケルーム(当日予約・有料)、マッサージルーム等、様々な楽しみ方ができるようになっています。
半露天風呂と広い客間が魅力の"山吹"
今回予約した"山吹"という客室は、「万座亭で一番広くて贅沢なお部屋(ホームページ参照)」とのこと。大きな客間と、外を見ると自然が広がる半露天風呂が特徴のお部屋です。
部屋には笹まんじゅうが置いてあって、客室内の撮影で部屋を回っていたら息子が勝手に食べていました。これには最近離乳食デビューした下の子もガン見です。
居間と寝室が分かれているゆったり空間。広縁にはゆり椅子(ロッキングチェア)もしっかり準備されていて、これ以上ないリラックス空間でゆっくりとした時間が過ごせることでしょう。なお、我が家にはリトルモンスターがいるので、この日の山吹の時間は都会と同じスピードで流れていました。
いざ、渦中の夕食。はたして万座亭の食事は廃棄前提なのか
到着してチェックインしたのが17時前だったので、一息ついたところですぐに夕食。そう、問題の夕食です。
そもそも、今回はあくまで"万座亭を応援するため"の旅行なので、たとえ量が多かったとしても食べきって、ちょうど良さをお伝えしなければいけません。
が、約5時間も一人で運転するなかで口が寂しいと眠くなってしまうのです。東京からの道中でモグモグと間食をし、コーラを飲んでいました。しかも、なるべく元気なうちに距離を稼ぎたかったのでお昼ご飯も13時すぎ。そんな"絶妙にお腹は減っていない"状況で迎えた19時の夕食。
「さーーーーーーて、フードファイトになっても食べきるぞ〜〜〜〜」
と覚悟して、3階の食事会場に到着して目に飛び込んできたのがこの料理。
僕「これが炎上した万座亭の料理か……おじさんのツイートの写真とほとんど同じだけど……」
妻「旅館のご飯ってこのくらいの量が普通じゃないの?」
そう、普通。いたって普通なんです。
お品書きの品数は多く感じますが、一つひとつの量自体は多くないので、次々と胃袋へ消えていきます。
どれも美味しかったのですが、1番を決めるとするなら"鱚(キス)の天ぷら"とコース特典の"上州牛のすき焼き鍋"。あと"鰈(カレイ)の漬焼き"も柔らかくて美味しかったし、"もち豚と野菜の陶板焼き"もジュージーで美味しかった。茶碗蒸しもサラダも美味しかった。1番ってなんだろう。
というわけで完食。
誰も食べ終わりの写真なんか見たくないとは思うんですが、今回だけはご容赦ください。その代わりといってはなんですが、明るくしてなるべく白飛びさせておきました。
とっても美味しく、空腹状態ではなかった僕でも完食できたので、これは"廃棄前提ではない"と言ってもいいのではないでしょうか?
少なくとも僕はこの食事を見て、そして食べてみて、廃棄前提とは感じませんでした。
ただ、僕は間食をとっていたこともあって、もう何もしたくないと思うくらいにはお腹いっぱいになりました。
でも旅館の食事って、
「あ〜〜〜もう何も食べられない!!何もしない!!風呂入って寝る!!」
くらいに思えるのが、ちょうど良くて最高ですよね。せっかくの旅行でせっかくの旅館のおもてなしですし。
名湯"白鐵の湯(はくてつのゆ)"は硫黄臭とツルツル感が特徴
子供たちを寝かせてからでないとゆっくり温泉には入れないので、遅めの23時に予約をしていた貸切温泉。パンパンだったお腹が落ち着いたころに、名湯10選などに選ばれることも珍しくない万座温泉を堪能してきました。
万座亭には"笹の湯"と"白樺の湯"の2つの貸切温泉があり、宿泊料金にプラス2000円で予約ができます(当日予約制)。なお、予約時のコースによっては貸切温泉がついてくるお得なコースもありますので、予約時にはキャンペーン情報などを要チェックです。
今回ご案内いただいたのは、白樺の湯。脱衣所に入った瞬間の強烈な硫黄臭にびっくりするはずです。
脱衣所にはこんな案内が。東京では30度近くあった日でも、万座の夜は14度ほどしかありませんでしたので、夏場でも湯冷めしないようにご注意ください。
乳白色の硫黄温泉は、とろっとした湯質で若干のピリつきもあります。向かって右側の木の箱から80度の源泉が流れ出ているため、木の板で湯もみをしてから入ると均一になります。
なお、僕と妻は慣れないこともあってあまり湯もみせずに入ったので、右側は熱め左側はぬるめといった感じでしたが、のぼせないように調整できるのでこれはこれでいいのでは?と会話していました。
手前の黄色の粉っぽいものが硫黄です。源泉を引いているため、このようになってしまうんですね。管理が大変そう。
万座亭には、貸切温泉の他にも内湯(大浴場)とログ露天風呂もあります(どちらも無料、予約不要)。こちらも貸切温泉と同じ源泉を引いており、乳白色の硫黄温泉が楽しめます。
宿泊日はあいにくの天気でしたが、天気が良いとこんな景色を目の前にして温泉に入ることができます。(公式ホームページから引用)
【チラ裏】
露天風呂の奥に見えるゲレンデは現在は開いていませんが、オーナーの平山さんがスノーボーダーということもあって、どこかのタイミングで再オープンしたいと目論んでいるそうです。フカフカのパウダースノーが最高らしいので、スノーボーダーは全力待機……!
言うまでもなく、温泉も最高でした。
魅力は料理と温泉だけじゃない!山遊びツアーが最高すぎた
ここまでで100%の満足度ではあるのですが、万座亭での体験をより良いものにしてくれるのが、"山遊びツアー"です。万座亭とは違う会社が運営しているのですが、立地を活かしたガイドツアーが8種類用意されています。
万座亭のレビュー記事で、山遊びツアーに参加されている方はあまりいません。でもこのツアーが本当に最高です。
万座亭にいるあいだはずっと曇りか雨だったんですが、ツアー中の10分ほどだけかかっていたモヤが晴れて雲海が……圧巻の景色で語彙力なくなりました。
煙が出ているのは白根山が活火山だからとのことで、火口湖からではなく山からも湧き出ているようです。
雲海の他にも、エーデルワイスをはじめとした高山植物が咲いていたり、標高が高く空気が薄いので草木も生えなくなっています。森林限界って呼ぶらしいです。
(どっちも咲いてない……)
山遊びツアーは、万座亭のみではなく万座温泉の旅館であれば申し込みができますので、旅行に行かれた際はぜひ参加してみてください。
万座亭二代目の平山さんにお話をお伺いしました
他のお客さんのチェックアウト後、万座亭二代目オーナーの平山さんにインタビューでお話をお伺いしました。
平山さん、お忙しいところお時間をいただきましてありがとうございました。
「万座亭の特徴や魅力はどんなところにありますか?」
平山さん「万座亭は大きさ的には中規模、ミドルサイズの旅館となりますので、隅々まで目を行き届かせた細やかなサービスをご提供し、ゆっくりとおくつろぎいただける旅館となっております。
食事も、バイキングスタイルではなく、席ごとお客様ごとにご用意させていただくスタイルを一貫してきています。」
「万座亭の食事へのこだわりはどこにありますか?」
平山さん「私の父である先代が料理人だったこともあり、開業当時からお食事には強いこだわりを持ってご提供してきました。今も先代のこだわりをしっかりと継承し、すべてのお客様にご満足いただけるように日々努力しております。
万座亭は、群馬県と長野県の県境にある旅館で、今は交通の便も発達しておりますので、それぞれの名産やその季節にあった食材を取り入れております。」
「テレビで"食べきれないからキャンセルさせてもらう"といった予約キャンセルがあったと拝見しましたが、その他にこれまではなかったようなトラブルなどはありましたか?」
平山さん「テレビで放映があった直後は、予約数が増えた反面でキャンセル数も同時に増えてしまいました。私がお受けしたお電話でも、"あの量の食事はとても食べきれないから"ということで一方的にキャンセルされてしまうことも何度かありました……。
また、キャンセル後のご連絡以外でも、"食事の量を減らして欲しい"といったご連絡は以前よりも多くいただくようになりました。」
「旅館の食事の量が多いのは正直"旅館のおもてなしのひとつ"かと思いますが、事前にお伝えすれば調整はできる物なのでしょうか?」
平山さん「もちろん可能でございます。万座亭に限らず、どこの旅館でも事前にご相談いただけましたら調整いたしますので、ぜひおっしゃっていただければと思います。
また、今回の一連の騒動やご紹介いただく記事で、みなさまに万座亭のお食事のイメージをお持ちいただけたかと思いますので、よりお客様のお好みに合わせたお食事がご提供できるのではないかと考えています。
ただし、先代から継承してきたお食事へのこだわりを未来へ残していくためにも、現在はベースとなるお食事の量を減らすことは考えておりません。
そのため、まずはご相談いただけますと幸いです。」
「騒動後、口コミサイトなどでは応援の口コミや"ちょうどよかったです"といった口コミが多くありましたが、実際にTwitterやテレビを見てから宿泊されるお客さんは多くいらっしゃいますか?」
平山さん「軽井沢や万座は元々避暑地のため、夏場にも多くのお客様にもご宿泊いただいていますので、「テレビで見たよ、大変だね」とリピーターの方には直接お声がけいただくこともありました。
また、直接お声がけいただくことはなくても、お食事の写真を撮られている方が以前よりも増えましたので、Twitterやテレビをご覧いただいてからお越しいただいた方も多くいるのではないかと思います。」
「検温やアルコール消毒液の設置以外では、どのようなコロナウイルスの感染防止対策をされていますか?」
平山さん「お食事会場や大浴場と、お客様同士に同じ施設をご利用いただく旅館のため、予約数を通常の7割程度まで減らして密にならないようにしております。
お食事会場でも向かい合わせになるのはグループ・団体のお客様のみ、大広間の宴会場でも四方八方に席を配置する通常では少し珍しいような工夫をしております。
ただし、万座は冬場マイナス17度まで気温が下がって常時換気というのは現実的に難しいため、お客様がお食事に集中できるように衝立(ついたて)やアクリル板などの設置も考えております。
また、お部屋でお食事をお召し上がりいただけるように、お弁当のプランを作ることも考えております。」
「では最後に、これから来館を考えている方に一言お願いします。」
平山さん「いい意味でも悪い意味でも、この件を通じて多くの方に万座亭、および万座温泉を知っていただく機会になったと思っております。このコロナ禍でマイナス状態なので、一連の流れで万座亭を知ってお越しいただいた方には、より一層満足していただけるように努力してまいります。
また、現在は安全で安心して宿泊できるというのが非常に重要な時世ですので、安全対策にも今後さらに注力していきたいと思っております。
みなさまのご来館を、心よりお待ちしております。」
終わりに
最後までお読みいただいたみなさま、ありがとうございます。
本当に魅力が詰まった旅館のため、あえてここまで料金については触れてきませんでしたが、最後に今回の宿泊費をまとめておきます
2020年9/12(土)〜9/13(日)、大人2人/子供2人
宿泊料(夕食・朝食付き) × 2名 × 27,500円 = 55,000円
子供宿泊料(食事のみ) × 1名 × 4,400円 = 4,400円
子供宿泊料(宿泊のみ) × 1名 × 2,200円 = 2,200円
入湯料 × 2名 × 150円 = 300円
飲み物(食事)= 1,870円
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計:63,770円(税込)
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Go Toキャンペーン適用時
63,770円 - 21,560円 = 42,210円(税込)
都内から高速道路に乗っても、交通費は往復1万円程度。4万円〜5万円が決して安い金額というわけではありませんが、客室のグレードと夕朝の2食付きということを踏まえると"かなりリーズナブル"と言えるのではないでしょうか。
10月から東京もGo Toキャンペーンの対象に加わります。もちろん都民以外の方も、そして田端大学の学生さんたちも万座亭に足を運んでみてください。価格を超える体験価値が万座にはあります。ぜひ。
白鐵の湯 万座亭
〒377-1528
群馬県吾妻郡嬬恋村干俣万座温泉2401番地
公式ホームページ(予約もこちらから)
万座亭の魅力をより多くの方へ伝えるため、万座亭を応援するためにも、ぜひ以下のツイートの拡散にご協力いただけますと幸いです。