KIKIAU KOTONO ENERUGII #31

　　　　　　妊婦になった４歳児

骨髄移植を無事に終えた後
娘は小児病棟に戻ってきました。
しかし、めでたしめでたし・・・
とはなりませんでした。

娘は血液型がA型からO型に変わり
頂いた骨髄で、新しい血液が作られていきます。
臓器は、その影響を避けられません。
娘も例外なく、臓器にダメージを伴い腹水が溜まりました。

娘は、私の両親から贈られた
ポポちゃんとそのベビーカーを押しながら
腹水が溜まり大きくなったお腹で
小児病棟の廊下をズシズシと歩いていました。

「あら、奥さんお出かけですか？」と私が声をかけると
娘　「はい、ちょっとそこまで」
私　「お腹は苦しくないですか〜？」
娘　「はい、７ヶ月になるんですよ」
私　「？？」そういうことか〜（笑）

娘は腹水の溜まったお腹を利用して
妊娠している、お母さんになっていたのでした。

なんと素晴らしい発想！
こんなユニークな娘に、日々私は励まされ
失いそうになる希望を取り戻しながら
闘病を支え続けたのでした。
私にとって娘は、同志のような存在でした。