現実の世界と死後の世界
娘が亡くなって、悲しみと同時に
娘は自分が亡くなったことに気付いているだろうか
そんな気持ちが湧きました。
娘を連れて病院を後にするときに
なんとなく後ろが気になり、振り返って見ました。
娘は何が起きたか理解できずに
亡骸だけを私は連れて帰り、魂は病室に置いてきてはいないか
心配になりました。
でも、確かめようがなかったので
心の中で「家に帰るから、ちゃんとついて来てね」
そう言ったのでした。
娘は亡くなった後、いったい誰が迎えに来るのだろうか
まだ、祖父母は全員生きている
娘を知っている人で先立った人はいただろうか・・・
と考えてみたけれど思いつかず
ますます心配になていました。
娘が亡くなった後の私の思考は
私が生きてきた間に刷り込まされた死後の世界に過ぎません
それでも、死んでも魂が残っていると考えた方が
私にとっては都合が良かったのだと思います。
なくなって一ヶ月ほど経った頃に
病院に付き添っている、あるお母さんから連絡が来ました。
「昨日の夜に、病室のドアが開いたんだけどさ
その様子が〇〇ちゃんじゃないかって思って
〇〇ちゃんかい?って声かけたんだよね〜
そうしたらさ、ドアがそーっと閉まってさ
足音が聞こえなかったもんだから、看護師じゃあないなって
やっぱり、〇〇ちゃんが会いに来たんだと思うよ」ということでした。
娘が病院をうろうろしてる!? 私は思わず絶句してしまいました。
1歳から6歳まで、殆どを病院で過ごした娘にとって
病院が自宅のようなものだったと思います。
それでも、母心は複雑で娘が幽霊になって欲しくはなかったし
できれば、私の枕元に現れて欲しかったというのが
正直な気持ちでした。
もしも、娘に会うことがあったら聞きたい事がありました。
「生まれてきてよかった?ママの子どもで幸せだった?」
それは一度も叶わぬまま、17年が過ぎました。
今、娘に伝えたいことは
「ママの子どもになってくれて、ありがとう」かな。
まあ、結局どちらも伝えることは出来ませんが。
納骨の時に、写真を整理していたら額縁の裏に娘からの手紙を見つけました。
そこには「また、あそんでね」と書かれてありました。
なんだか、久しぶりに泣きたくなりました。