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【2020優勝】AZKi先生の開拓者全滅デッキ&世界再創造デッキ徹底解説


みなさん最近デュエル(広義)してますか?

2020年7月25日に開催された公式大会「AZKi 5th LIVE R.I.P AZHOOD」にてAZKi先生が使用したデッキ、通称「開拓者全滅デッキ」の運用の仕方が非常に興味深かったのと、実際にAZKi先生がこのデッキで優勝したので、今回このデッキの解説記事を書いていこうかと思います。何でデッキ使った本人じゃなく赤の他人がデッキの解説するんだという突っ込みは、まあ大目に見てください。

開催!R.I.P AZHOOD

まずは「AZKi 5th LIVE R.I.P AZHOOD」が開催された経緯から説明していきます。
本来、AZKi杯第5回大会は「AZKi 5th LiVE[three for the hood]」として、2020年5月16日に開催を予定されていました。新宿BLAZEという大きな会場での開催ということもあり、オーディエンスを入れた現地大会でのプレイングに定評のあるAZKi先生のデュエルには大きな期待が寄せられていました。
しかし、この大会は実現しませんでした。世界的なコロナ禍の情勢により、「AZKi 5th LiVE[three for the hood]」は中止を余儀なくされました。three for the hoodだけでなく、世界中でイベントが、人と人が会って何かを生み出していく機会が、デュエルが、消えていきました。
全人類の、というと主語を大きくしすぎですが、少なくともデュエリストたちの希望の灯が、消えようとしていました。少なくともそれは、誰かにとって生きる糧だった。
そんな時、私たちの前に現れたのが、喪われた「three for the hood」の代替大会の開催の一報でした。オンライン開催へと変更されたその大会に冠されていたのは「R.I.P AZHOOD」のタイトル。そしてハッシュタグは「開拓者全滅」。これは弔い合戦でした。間違えた、弔いデュエルでした。

これが本大会開催までの経緯、そしてこの置かれている状況すべてが本大会の「環境」です。
AZKi先生のプレイスタイルは、単純なカードパワーでの殴り合いではなく「今の環境下において、このカードにどんな役割を与えられるか」というのを常に考え、環境に合わせて柔軟にデッキを再構築していく型です。そのため時に環境を追い風とし、カードのポテンシャルを最大級に引き出すというのが一番の強みだと言えます。
そしてそのスタイルが最も色濃く表れていたのが、「R.I.P AZHOOD」で使用された「開拓者全滅」デッキではないかと思います。それでは具体的に試合内容を見ていきましょう。

「環境」を力に!

「さあ、始めましょう」と、デュエル開始の宣言。AZKiの先攻です。
AZKiが初手で召喚したカードは「ちいさな心が決めたこと」。
この時点でオーディエンスはざわつきます。「ちいさな心」は本来終盤戦で強く、通常初手に持ってくるカードではない。ではなぜ今回あえて開幕でこのカードを切ってきたのか。
答えは一つ。「ちいさな心が決めたこと」は、AZKi自身が初めて作詞・作曲したカードだからです。

AZKiの所持カードは他の作詞作曲家から提供されたものが多いのですが、この「ちいさな心が決めたこと」はAZKi自身の作詞によるものです。だからどうなのかと言うと、この曲の歌詞には他者からの提供曲では現れない、自身の率直な不安や迷い、そして「それでも先に進む」という強い意志が綴られているのです。

今をただ走って 季節を駆け巡って
見えない暗闇の中で
痛みだってあるよ 戸惑いだってあるよ
それでもここで生きていくと
決めたんだ 決めたから 前を向いて

ここで歌われている「先の見えない中で歩き続ける不安」、「それでも前を向き、歩き続ける決意」は、他の誰かの言葉ではないAZKi自身の描く「リアル」な言葉だからこそ、意味が込められています。
そしてこの「先の見えない不安」「歩き続ける決意」は、今置かれているこの現状にそのまま意味がかかってきます。コロナ禍の先の見えない暗闇の中、それでもこういった形でライブを開催していく、という「今この場」だからこその意味が発生するのです。
この「今この場だからこそ生じる意味」を引き出すのが、AZKiデッキの最大の強さだと言えるでしょう。

続く2枚目のカードは「虹を駆け抜けて」
これは「ちいさな心」のカードテキストにある「季節を駆け抜けて」の「駆け抜けて」を引き継いでいるので地味にシナジーがあります。ただそれ以上に注目したいのが、サビの部分。

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「とーどーかーなーいー!」の弾幕が発生しています。ニコ生開催という大会レギュレーションを最大に生かす、というよりも今大会のレギュレーションでどう立ち回ればいいのかを、この序盤面で開拓者たちに明確に示したというのが大きいでしょう。これによってゲームメイクの方向性がはっきり決まったわけです。

3枚目は「さよならヒーロー」
これも1枚目の歌詞「味方も英雄(ヒーロー)も現れなくて」からパスがつながっているほか、「でもまさかこんな結末とは 何もできず笑ってた」「暗中模索」あたりのカードテキストが環境に刺さっています。
そして何より、「さよならヒーロー / おはようニューヒーロー」の対比が、あったはずのAZhoodと、形を変えて実現したこのR.I.P AZhoodの構図に重なってくるわけです。

この最序盤3枚のセットアップによって、「今置かれているこの環境」そのものを「意味」に変え、火力に上乗せするという戦法が確立しました。

4枚目「フェリシア」は初期パックに封入されていたカードであり、甘酸っぱい青春ポップということもあって過度に強力な効果は付与されていない、所謂バニラカードです。盤面をあまり序盤から火力で焼き過ぎるとオーバーヒートしてしまうので、ここらで一息つくといったところでしょうか。とはいえ距離感を題材としたカードなので「ぎこちない距離 あやふやな視線」や「呼吸さえままならないのに」あたり、最新レギュレーションの「ソーシャルディスタンス」にほんのりかかっているのかな?という気もします。

そして5枚目、「猫ならばいける」

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率直に「可愛さ」で殴りに来ました。今回のレギュではVJが使えるので、早速活かしてきたわけですね。魔法カード「肉球スタンプ」の効果で火力がアップします。
そしてもう一つ特筆することとして、この大会のYouTubeでの無料配信パートはこの5ターン目まででした。もうお分かりですね?「猫ならばいける」の特殊効果「配信毎回全編見てね!」が綺麗に決まってくるわけです。これも配信大会であることを活かした戦術だと言えるでしょう。こうなったらもうチケット買わないわけにはいきません。全部手のひらの上です。特殊効果の発動により、開拓者はチケットを一枚手札に加えることになります。

覚醒!カードの真の力

さて、ここからはペースが加速し、「midnight song」「take me to heaven」「reflection」で一気にデッキの回転率を上げてきます。ダンスミュージック系のカードで揃えており、シナジーが高く安定感のある三連コンボが決まっています。三連コンボは強い。

音のない世界じゃこの体は きっと
ほんの少しだって生きちゃいられない
その手の先何があるの
僕ら願った世界じゃない
でも逃避行 届かなくても叫んで
駆けよう まだ君の方へ

このあたりの歌詞もまた、「世界から音楽が消えていく」「その中で必死にあがいている」今まさにこの世界で起きている現状に刺さってきます。特に「天国」の「音のない世界」は今後の布石にもなっているので非常に重要です。こういう単純な統一パに見えて実は重要な布石を仕込んでいるというのもAZKiデッキの恐ろしいところです。

そして、9枚目に来たのが、「のんびりと、」
このカードこそ、「開拓者全滅デッキ」の要となるキーカードです。

本来、「のんびりと、」は所謂「曜日デッキ」において、フィールド魔法「日曜日」を展開できることが強み(特に「透明」と組み合わせたデッキが有名ですね)なのですが、それ以外には特に強烈な効果のあるカードというわけではなく、単体では癒し枠のカードだという印象でした。今大会も日曜日の開催ではなかったので、そこまで警戒されてはいなかった。

しかし、今大会で「のんびりと、」は、化けました。

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「今日どこ行こうか 何しようか」
お馴染みのコーレス。そこで流れたのは、「AZHOOD!」の弾幕。

私たちは今、AZHOODにいる。あったかもしれないあの日を、それでも何とか辿り着いた今日を、さまざまな思いが去来しそのすべてが今ここで、実感へと変わる。R.I.P AZHOOD。AZHOODよ、安らかに眠れ。
AZHOODを墓地に送ることでアドバンス召喚された「のんびりと、」は、文字通りレベルが違いました。そしてアドバンス召喚に成功した場合、「のんびりと、」には特殊効果が付与されます。

あーなんだか 変わらない日々もどこかときめかしくて

いつまでも続いてくのだと どこか間違えながら

あーなんだか 変わりゆく日々もどこかときめかしくて
思い出は大切にポケットの中に
あぁ明日も きらめいていくから 不思議と笑えて
そんな、ありきたりが好きなので、
のんびりと、

ありきたりな、当たり前の日常を歌ったこの曲は、その当たり前が目の前で崩れ去った今、何よりも鋭く突き刺さる。特殊効果発動。このカードはフィールドから失われた「日常」の数だけ、火力が上昇する。
この情勢のもとで歌われる「のんびりと、」は、誰も予想だにしないほどの威力を秘めていました。おそらく、作詞作曲を手掛けたぽて氏すらも想定していなかったほどの力を。

「今ここ」で改めて意味を与えることで、カードに新たな命を吹き込み、誰も見たことのない可能性へと覚醒させる。ときに逆境すらも自らの力にかえるこのスタイルは、まさにAZKiのデュエリストとしての才能を象徴するものだと言えます。

鏡合わせのふたり

さらにAZKiの猛攻は止まりません。10枚目の召喚はまたも初期のカード「リアルメランコリー」

どこかの世界の君へ 私と似てる気持ちの君へ
エールを送るよ 君と私のために

あまり知られていないのですが、実はこの「リアルメランコリー」にはサーチ効果があります。「私と似てる気持ちの君へ」のエールが込められた「君と私のため」の歌、というわけで、この「君」に当てはまるカードをデッキからサーチし、手札に加えることができます。とはいえドンピシャで当てはまらないといけないので思いのほか範囲が狭く、そうそう実用性を発揮できるものでもないので安定性に欠け、通常は採用されないコンボルートです。
しかし今回、AZKiは新たなカードをデッキに組み込んでいました。

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11枚目、「mirror」。

このカードは今年3月に開催された「LAST V STANDiNG vol.2」というタッグデュエル大会にて限定配布されたカードの一般発売バージョンで、ジャケットがその時タッグを組んだエルセと背中合わせで対になるような装丁になっています。いわば「鏡合わせ」の構図になっているわけです。

そして今回AZKiはこの鏡合わせの構図を新旧の自分自身に対し適用したのです。これは完全に盲点だったのですが、「リアルメランコリー」のMVには鏡が登場します。

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鏡に映った自分自身なので、間違いなく「私と似てる気持ちの君」のサーチ判定に引っかかります。また、リアルメランコリーの本来の効果である「ネット社会において、流行り廃りに流されずに自分らしさ、アイデンティティーを持ち続ける」というのは、過去のAZKiに刺さるのはもちろんのこと、同じVtuber、singer、そしてデュエリストとして活動しているエルセにも意味がかかってくるので、効果対象として相互互換性があります。
そして旧衣装時代のリアルメランコリーを今の衣装で、今の衣装の時に出たmirrorを旧衣装で歌う構図も見事な「鏡合わせ」になっており、この「リアルメランコリー」→「mirror」のつなぎ、かつ速攻魔法「旧衣装チェンジ」発動までの一連の流れが完全にチェーンを組んだ確定コンボとなっています。「旧衣装mirrorフォース」の効果により相手の守備表示カードは全て破壊され、開拓者はすっかりノーガードになってしまいました。次に強力な攻撃が来ると受けきれません。絶体絶命です。

ここで一旦バトルフェイズは終了し、AZKiはMCフェイズに移行します。

当たり前にできていたことがかわって、当たり前じゃなくなってしまった
去年のAZ輪廻が、AZKi最後のライブだったかもしれない
だから一つ一つのライブに全力でぶつかりたいし、その時に思ったことも歌に込めたい
命つきるそのときまで歌っていたい
AZKiがここにいた、生きていたと証明したい

それでは聞いてください、「いのち」

いのちの価値と代償

「いのち」というカードについて、少し触れておきます。
間違いなく「強い」カードです。AZKiの所持カードどころか、現在のV環境全体で見ても、単発火力でならトップクラスの圧倒的な火力を誇っています。「AZKiといえば『いのち』」と、エースカードとして思い浮かべる人も多いでしょう。第1シーズンでの起用から今にいたるまで、一線級でAZKiデッキの主力として活躍しているパワーカードです。

ただひとつ、弱点を挙げるとするなら……「重すぎる」
「いのち」は、シンプルに強いカードです。ド直球に「死生観」を表し、そこにAZKiがストレートに感情を乗せることで、相手のエモーショナルにダイレクトアタックをしかけます。AZKi先生が感情を乗せた時の火力の伸び様はご周知のとおり、生半可な防御で受けきれるものではありません。クリティカルヒットすれば、たいていの相手はワンパンで粉砕します。
しかし、これはあくまで「クリティカルヒットすれば」の話です。「いのち」はシンプルに強いのですが、あまりにも”シンプルに強すぎる”がゆえに、非常に読まれ易いという弱点があります。「いのち」の強さは意味性の強さなので、意味が通せるような場面でないと出せないのです。「なんとなく、そろそろ『いのち』が来そうだな」という雰囲気が、相手にもバレてしまう。おまけに単独での意味性が強すぎるので、他のカードとのシナジーも悪く、コンボに組み込むことも難しいです。要するに召喚コストが非常に重く、かつ特定の盤面でしか出せないのです。
一応、素出しも可能です。カードパワー自体が非常に高いので、素の火力でもそこそこ入ります。しかし、ここで「いのち」のもう一つの弱点が表出してきます。「いのち」の持つ意味性が、よりによって「死生観」だという点です。

あまりにも真っすぐに、存在意義を、命の意味を問うてくる。
もし、この「いのち」が、読まれてしまったらどうなるか。
「はいはい、どうせ次「いのち」でしょ」と見透かされ、「エモ」だけで片付けられ、あっさりと受け流されるようになってしまったら。
そうなったら、この手はどこまでも「軽く」なってしまう。「いのち」が、軽くなってしまうのです。そうなったら文字通り命に関わります。闇のゲームでカードとつながっているAZKiの命まで燃え尽きてしまいます。嘘です。でも、軽々しく出していい手ではないというのは本当だと思います。

「いのち」は確かに強いカードですが、それに伴った「扱いづらさ」もあるカードだと言えます。通せれば強いです。しかし通すまでが大変なのです。
この「扱いづらさ」が一番表出した試合として思い浮かぶのが、前年に開催された「REPEAT THiS LiFE WiTH U」通称AZ輪廻での一場面です。

「バーチャルとは何か」「AZKiという存在は、一体何だろう」
Vtuberという命の意味を、魂の在り方を問い、そしてAZKiは一つの答えを出します。
「AZKiは、”このAZKi”の他には居ません」
「このAZKiでなくなったときは、きっとAZKiの"いのち"が終わるとき」

このMCを聞いた私は、次に来るのは「いのち」だと思いました。
しかし、違いました。実際に来たのは、新曲の「光」だった。

世界でまだ誰も聴いたことのない歌。どこの言語かも分からない言葉で紡がれる歌を聴きながら、私はようやく理解しました。あのMCの後そのまま「いのち」を歌っていたら、それは「エモ」くはなっただろうけど、でもそれはまるで予定調和で、それこそ誰かの書いた”出来のいい”シナリオのようでしかないのだと。
AZKiの言葉を思い返します。Vtuberは、人格か、職業か。……それとも。AZKiは誰かの操り人形なのか。「エモい」シナリオ通りに動くキャラクターなのか。

いいえ。AZKiは今ここに確かに生きて、今ここで歌を歌っています。
だからこそ、そのMCから先に進むためには今ここで初めて生まれ出るものでなければならなかった。今この瞬間にはじめて生を受けた、新しい命でなければならなかったんです。
だから、ライブでの披露はもとよりリリースもまだされていなかった、本当にまだ誰も聴いたことのない歌が必要だった。架空言語によって紡がれた、どんな意味にも縛られていない、生まれたばかりのまっさらな音楽。それが「光」でした。
そして、その誕生した歌を「祝福」するための曲(この曲についてはまた詳しく後述します)を経て、ようやく「いのち」に繋ぐことができたのです。
それくらい「いのち」を通すのは難しい。他のカードによるサポートを駆使し、徹底して「予定調和」を崩さなければ、おいそれとは切れないカードなのです。

話が長くなりましたが、「開拓者全滅」の話に戻ります。今話した内容を踏まえて、先程のMCを見てください。
AZKiにしては奇妙なほど素直に「いのち」を切ってきました。今回の「いのち」はアコースティック・バージョンで、かつアカペラでサビから入る変則的な形でひねりを加えてきてはいます。それにここまでの流れで開拓者はすっかり感情になっているので、これでも十分な火力は出ます。
しかし、妙な胸騒ぎがしました。火力は乗っているとはいえ、「いのち」を切ること自体は見えていました。AZKiが「いのち」を切っておいて、この程度で済ますはずがない。デュエリストとしての直感がそう告げています。
やがて、「いのち」が終わりました。

AZKiの切り札!不滅の”青《ブルー》”

息をしている だから生きている
自己証明を欲しがっているんだ

最後まで私のこと覚えててくれるの?
いつ死んでしまうだろう わかんない わかんないよ ねえ

君が忘れちゃったら私は居なくなるの
命のような夢を見てるよ

命の意味、レゾンデートル。
「君」が聴いていてくれるから、「私」は生きていられる。ここに生きて、歌い続けることができる。
「君」と「私」の関係性によって成り立つそれは、「命のような夢」
今を生きていくための、儚くも美しい共依存。


その全てが、前振りだったとしたら?


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「あなたのおかげで私が居る」
「聴いてくれたことに価値がある」
綺麗事に隠れた本心が建前の隙間をすり抜けた

一番欲しいのは誰かのエールか?
たったそれだけじゃ
食い繋ぎきれない

表裏一体の建て前と本音。商業アーティストという自己矛盾。

命のような夢を見てるよ
夢だけで私は生き続けられない

「いのち」が命になった瞬間、その意味性は反転し、生きていくうえで目をそらすことのできない「リアル」が立ち現れる。

リバースカード、オープン。「青い夢」

音楽を音楽としてやっていくうえで、決して避けては通れない「お金」の話。応援してくれるから続けられる。けれど、応援だけでは生きてはいけない。そしてそのどちらも正しいからこそ、答えのない問いの中で、永遠の葛藤が命を焦がす。

AZKiは「いのち」そのものを、「青い夢」召喚のための布石としたのです。
「いのち」と「青い夢」による1ターン床・コンボの完成。それこそが「開拓者全滅デッキ」のコア・コンセプトでした。

この構築を可能にしたのは、ひとつにはこの2枚のカードがどちらとも瀬名航氏の制作というところが大きいでしょう。しかしそれ以上にAZKiがこれまで過ごしてきた時間、まさに企業Vtuber、商業アーティストとしてこの世界に生き続けてきたという事実が、このカードにこれ以上ないほどの説得力を与えるのだと、私は思います。
「いのち」と「青い夢」が共に場に出ることで、「青い夢」の特殊効果「ステージに立つ者の覚悟」が発動。「いのち」の意味性を引き受けることで「いのち」の持つ火力が丸ごと「青い夢」に乗ってきます。そして「今ここ」において、「青い夢」はさらなる次元へと進化を遂げる。

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愛が君を救えるなら
音楽は要らないさ

「不要不急」「自粛」という”正論”に圧し潰され、音楽が、それを糧としていたものたちが……「死んでゆく」。音楽が止まった世界、またどこかで灯が消えてゆく。それでも生き残るために必死に足掻いて、藻掻いて、死に物ぐるいで辿り着いたこの場所。R.I.P AZHOOD。
AZHOODの墓標にこの歌を突き立てた時、「青い夢」が背負う”意味”は、「この世界そのもの」と一体化し、「環境」にこれ以上ないほど深くブッ刺さる「環境メタカード」へと覚醒します。
覚醒した「青い夢」の効果は「生き続ける覚悟」。この青い夢は開拓者がいる限り、破壊されない。

「いのち」がエースなら「青い夢」はジョーカー。間違いなくAZKiデッキ史上最強の「切り札」だと言えるでしょう。

蒼の奇跡!巡る世界の果て

ただ、一つだけ問題がありました。このコンボはあまりにも意味性の火力が強すぎるため、もはや後続のカードに繋ぐことができないのです。どんなカードを出しても、この2枚の前では食われてしまいます。また維持コストも大きいため、このまま動けなくなって詰む恐れもあります。
しかし、ご安心ください。AZKiはちゃんとこの状況を打開するカードをデッキに入れています。

痛いくらい気持ちがシンクロする時もあるけど

「いのち」のシンクロと、「青い夢」の”青”。この二つが合わさる時、深い海の底より、蒼き光が現れる。
シンクロ召喚!

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「世界は巡り、やがて君のものになる」、通称「国家」
このカードが先程少し触れた「祝福」を司るカードです。そして先に結論から言います。このカードはぶっ壊れです。AZKiデッキどころかV環境全体で見ても屈指の壊れカードです。「いのち」も「青い夢」も強いのですが、この2枚を運用するうえでの最大のキーカード、それが「国家」なのです。

このカードは、先程の「mirror」と同じくProjectBLUEのさめのぽきの制作です。そしてこのカードの効果テキストは極めてシンプル。
「命を祝福する」。それがこのカードの効果にして、壊れたる由縁です。テキストが短いカードは強いの法則。
このカードの第一の効果は、「生まれ出る者への祝福」

答えられないよ
生まれ落ちた意味、大層な理由

偽物なんて誰が否定できるの?
世界は巡り やがて君のものになるよ

新しく生まれた楽曲、そして、ライブの場でAZKiに新たな意味を込められ、改めて生まれ直す楽曲。その楽曲たちを、AZKiはいつもこの上ない祝福をもって送り出します。

このアルバムが今後どうなっていくか?はわからない。けれど生まれてきてくれたことへの最大限の祝福をしてあげたかった。
もし人格があるのなら、いつか時間が経ってから「あなたはあの時これだけの祝福を受けて生まれてきたんだよ」ということを伝えられるなにか?を創りたいという想いのもとに生まれた企画だった。

「誕生する命への、限りない祝福」、それこそがAZKiのアーティストとしての神髄です。AZKiに歌われることで、音楽は「祝福」を受けて誕生することができる。祝福を受けて生まれた音楽は「いのち」を持ち、ライブの場において必ず応えてくれる。そしてその力を象徴するのが、「国家」の第一の効果です。このカードが場に出て、AZKiの声で歌われるとき、フィールド上に存在する全てのカードは「生まれてきたこと」への、限りない祝福を授かります。

そして第二の効果

ハッピーエンドは
ふたりの言葉で伝えてみようか

世界は終わり エンドロールが流れて
色とりどりの人生が映されていく

君の旅路がゴールを迎えた時
とびきりの声で、祝福を歌うよ

それは、「終わりゆく命への祝福」
このカードは、いつか必ず訪れる「終わり」までを描き、その旅路の全てを祝福する。

このデッキの最初の一枚、「ちいさな心が決めたこと」のことは覚えているでしょうか。「ちいさな心」の場合は、AZKi自身の言葉だからこそ、物語化されたストーリーではなく、旅路のただなかで迷いながらも進んでいる「未完の、ありのままの今」を描くものでした。
「国家」はある意味、それと対照的なカードだと言えるでしょう。いつか訪れるハッピーエンドは、本人の口からではあまりにも白々しくなってしまう。この曲は、他の人から贈られたものだから、さめのぽきからAZKiへ贈られた心からの祝福だからこそ成り立つのです。

あるいはその贈り主は、さめのぽきだけではないのかもしれない。

あなたの元にこれだけたくさんの人が集まり、祝福をしてくれている。

「国家」第二の効果により、このカードが場に存在する限り、全ては円環の中に包み込まれ、祝福の内に浄化される。

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これからどんな道を歩むとしても
怖がらなくていい

「最後の瞬間、あなたは必ず祝福される」と、あらかじめ約束される。その旅路は必ず祝福され、痛みは解かれる。

この効果により、このカードが場に存在する限り、フィールド上の全てのカード効果を無効化し、全てを洗い流します。世界が巡る以上、どんな意味も内包し、浄化できます。無条件で盤面のリフレッシュができるのです。

つまり「国家」がある以上、どれだけ盤面を超火力で焼き払い、火力インフレを起こしても、安心して後続に繋ぐことができるわけです。「いのち」「青い夢」コンボの意味性コストの踏み倒し。それが「国家」の恐ろしい所です。
そして、憶えているでしょうか。「AZ輪廻」の時の曲順は「光」→「国家」→「いのち」でした。「国家」は”あらかじめ”祝福を授けるカードです。つまり「国家」さえデッキに入れておけば、先出しでも後出しでも「いのち」「青い夢」「国家」のコンボは必ず成立します。
この超火力コンボの起点にも抑えにもできる万能性こそ、「国家」の真に恐ろしい所なのです。「国家」がある以上、「いのち」「青い夢」の必殺コンボを止める術はありません。たぶんそのうち禁止カードになると思います。「世界は巡り、やがて君のものになる」とは、祈りでも願望でもありません。文字通りそのままの意味の、端的な事実であり、「結論」です。世界はAZKiのものになる。なった。ついでに開拓者も全員床になりました。

黒の衝撃!もうひとりのAZKi

もう開拓者のライフはとっくにゼロなのですが、恐ろしいことにまだデュエルは続きます。15曲目「eternity bright」、16曲目「intersection」はそれぞれコンセプトと世界観の異なるダンスミュージック。DM系全般に言えることですが、こういう曲は単発で出すより、まとめて出すほうが相乗効果で火力が伸びます。その点AZKiは単純に持ち弾が多いので強みを生かせますね。intersectionの歌い方めっちゃ好き。

そして17曲目。

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「error」と共に、AZKiのもう一つの人格「闇AZKi」…じゃなかった、「AZKi BLaCK」にチェンジします。通称黒餡。そのまま「I can't control myself」「ひかりのまち」と、黒染めコンボを展開します。

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VJ演出やコメントともバチバチに噛み合っています。黒餡デッキは火力の打点の高さが魅力なのですが、演出やコーレスとも合わせることでさらに火力が伸びます。いつか生演奏で聴きたいものです。

希望の力!過去と未来をつなぐ光

そして、いよいよ終盤戦。

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万能エンディングこと「フロンティアローカス」。このカードは配信フィールドに出た時、コメントが「ノシ」で埋まるため、「あー、いよいよ終わりかあ」と〆の雰囲気になる効果があります。日本人にとっての蛍の光、鍋における雑炊です。
「フロンティアローカス」は「ちいさな心が決めたこと」と並んで第二シーズン三種の神器と称されるうちの1枚です。「ちいさな心」が「今ここ」を司るカードなら、「フロンティアローカス」は「これまでとこれから」を司るカード。これまで辿ってきた軌跡を振り返り、これから歩む未来への約束を交わします。というのが基本の効果。そしてもちろんこのカードも、このデュエルの場において、新しい意味を与えられています。

辿り着いた未来の意味はわからなくても
この声だってこの音だって 今の君の存在証明

辿り着いた未来は、ここだった。
「three for the hood」ではなく、「R.I.P AZHOOD」だった
リアルライブではなく、オンラインの配信ライブだった。
思い描いていた未来じゃなかった、それでも。
今ここに、私たちはいる。存在している。この声、この音が、今の私たちの存在を証明している。私たちはここにいる。その事実は、誰にも奪えない。

この時だって この場所だって
未来の君の 存在理由

この声だって この音だって
次の世界に 続いてゆくんだ

そして「今」は「未来」へと繋がっていく。このライブがあるから、次のライブができる。今を生き抜いて、明日(いつか)また会える。

フロンティアローカスの効果により、「これまで」を受け入れ、そして同時に「これから」の未来に希望を託すことができる。この一年の辛かったこと、苦しかったこと、悲しかったこと、後悔も矛盾も「思い出」に変えて受け入れ、「未来」に進むための希望を与えてくれる。この抜群のリリーフ能力こそ「フロンティアローカス」の真価です。

そして「フロンティアローカス」は、過去と未来をつなげるカード。このカードが場に出た時、無条件で「旧衣装チェンジ」が発動可能になります。

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全てを受け入れ、未来への希望を胸に、いよいよデュエルはラストターンへと突入します。
AZKi開拓者全滅デッキのエンドカードは、「from A to Z」

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AZKiの「魂のカード」です。司るは文字通りAtoZ、「最初から最後まで」
これまで辿ってきた軌跡を振り返り、そこで出会った人、起こったことの全てを繋いで、一筋の物語へと紡ぎあげる。文字通り「最初から最後まで」、これまで歩んできた道のりの全てを力に変えて放つ、渾身のフィニッシュブローです。


最後の闘い《ラストデュエル》

勝負は決しました。開拓者は全員床になって全滅しています。未来へ進む希望も手にしました。
しかし、私たちには最後にもう一つだけ、やるべきことがありました。

この世界を 大好きでいたいよ
(今までもこれからもずっと)

この世界を、肯定する。それが私たちに託された、最後の使命でした。
世界は一変してしまった。音楽の価値も在り方も、変わってしまった。
それでも、私たちはこの世界に生きている。変わり続ける世界の中で、音楽を通じて心を通わせている。この想いも、体験も、確かに「ここ」にある。
だからこそ、私たちは、この世界を愛そう。
私たちの想いが重なる時、真のラストデュエルが始まりました。

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AZKiの声に、開拓者の声が重なる。「今」を生きる二つの心が重なる。最初から最後までを見届けた開拓者たちの手によって、「この世界」が私たちのストーリーの中へ織り込まれていく。AZKiと開拓者、そしてこれまで出会ってきた”全て”の力を結集した最終決戦です。

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こうして「AZKi 5th LIVE R.I.P AZHOOD」は、私たちのストーリーの、かけがえのない1ページとなりました。
そして、新しい物語が、ここからまた始まっていきます。

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R.I.P AZHOOD、ここに完結。


さらば開拓者!新たなる旅立ち!

速攻魔法発動!「亡者の呼び声」。開拓者を全て墓地に落とし、効果発動!新たにデッキからカードをドローし、その数だけ追加攻撃できる。まだAZKiのバトルフェイズは終了してないぜ!

というわけでまず1枚目、ドロー。「Fake.Fake.Fake.」

こんな異常だけの世界で存在意義探しているんだ

2枚目ドロー、「嘘嘘嘘嘘」

こんな世界 嘘嘘嘘嘘だ

……

この世界を好きでいたいというのは本当です。このライブも大事な軌跡の一部だというのも本心です。
だが、それはそれとして。フラストレーションが無いと言えば嘘になる。
「R.I.P AZHOOD」は今この情勢下で出来る最大限の映像・演出・パフォーマンス、そして「意味」の力を駆使し、今だからこそできる最上級のライブとして完成しました。そこには異論はありません。
ただ、それはそれ、これはこれ。AZKiの真骨頂と言えばやはり、リアルライブです。開拓者と同じ時間、同じ空間を共有する時にこそ、AZKiは真の力を発揮できるのです。その力を封じられた鬱憤が、今ここに炸裂します。

3枚目ドロー、「自己アレルギー」

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このカードはルーレットを回し、最大で4回まで追加攻撃可能という変わった効果が特徴的ですが、今回はもっとシンプルに殴りに来ました。「コール&レスポンス」です。

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開拓者たちよ、声上げていけよ!叫べ!お前たちの存在を見せつけるんだ!
そういう発破です。お前たちの真価はこんなもんじゃないだろ?コメントじゃなく、現場で叫びたいだろ?「その時」が来るまで、火を絶やすなよ。
存在証明をさせることで、開拓者たちの闘争本能に火を灯す。強烈な発破を浴び、墓地に落ちていた開拓者たちが復活してきました。

そして、アンコールドロー4枚目

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「フロンティアローカス」「ちいさな心が決めたこと」に並ぶ三種の神器の最後の一枚「without U」。司るは「魂を結ぶ力」。「AZKi」に「U」が合わさることで、DiVAの真名が完成する仕掛けです。

キミがいるから 一人じゃないから

「without U」は「AZKi」と「U」の魂を結ぶ絆のカード。
「AZKi」と「U」両者が場に存在する場合、AZKiとUの力を相互に倍増させ合う効果があります。
そして「U」が場から除外されたとき、特殊効果が発動します。特殊効果「within U」の発動により、「U」の魂はAZKiに内在し、AZKiの底力へと変わります。つまり「without U」が存在する限り、どんな情勢になろうともAZKiから「U」が失われることはありません。”without” だからこそ、逆説的に最も”U”の存在を強く映し出す。それが「without U」です。
さらに「within U」が発動した状態で「U」が場に戻った場合、そのターンのAZKiの火力はさらに倍増するというおまけつき。次の現場が楽しみですね。

そしてここでMCフェイズ。新規アルバムと新衣装の制作が発表され、開拓者の期待が最高に高まったところで、正真正銘のラストバトルへ。

最終ターン、運命のドロー。

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AZKiが引いたのは、「始まり」のカード「Creating world
司る力は「開拓」(覚醒能力はまた別にあります。それはまたの機会に)


私たちの歌は壊れない

⑴このカードは戦闘で破壊されない。
⑵このカードが場に存在する限り、AZKiは何度でも世界を開拓できる。

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再生の祈りと共に、ついに「R.I.P AZHOOD」は幕を閉じました。しかし、輪廻の中では「終わり」は「始まり」に繋がっています。「R.I.P AZHOOD」「開拓者全滅」は、次にまた会うための約束でもあったのです。その先にはきっと、新たな世界が広がっていることでしょう。

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以上が、「AZKi 5th LIVE R.I.P AZHOOD」及び「開拓者全滅デッキ」の総評になります。あまりに開催から時間を開けてしまったため、完全に出すタイミングを失い、塩漬けにしていたのですが、ありがたいことにAZKi 6th LIVE「Re:creating world」の開催に伴い再放送があったので、これ幸いと蔵出しした形になります。そしてこうなった以上、せっかくなので6th LIVEでのAZKiデッキについての解説も加えておこうと思います。6th LIVEもAZKi先生は最強デッキで臨んでいました。

ダーク・ヒーロー

まず特筆すべきは何といっても、初手でいきなりAZKi BLaCK「自己アレルギー」だったことでしょう。ここに込められたメッセージはもう言うまでもありませんね。

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声上げていけよ開拓者!開幕ボルテージMAXをキメたあとは「嘘嘘嘘嘘」「ERROR」と、黒餡が猛威を振るいます。次こそ現場でやらないと、AZKi先生のフラストレーションで世界がもちません。

それから今回意外な活躍を見せてくれたのが「さよならヒーロー」です。今大会は最新パックのリリース記念ということもあり、新カードをどう出してくるのかに注目が集まっていましたのですが、今回AZKiは「さよならヒーロー」の「お!は!よ! ニューヒーロー」からおニューのアルバムの新曲「ローテート・リピーテッド」につなぐ采配を見せました。このコンボは「さよならヒーロー」さえ出してしまえば、任意の”新しい”ものを何でも持ってくることができるため、かなり強力です。「さよならヒーロー」自体が場に出しやすいカードということもあって汎用性が非常に高く、今後のコンボ開拓に期待できます。
そして今回最新パック組の先鋒を飾った「ローテート・リピーテッド」は、「残酷な運命を変えるべく何度も人生を繰り返す少年少女」と、色々な意味でパンチ強めのテーマであり、ダウナーな内容と「さよならヒーロー」とのシナジーで若干ダークヒーローのような風味にもなっている気がします。その一方で言葉遊びを多用した軽やかな展開の起点にできたり、純テーマ構築でもなかなかトリッキーな効果を発揮してくれたりもしそうで、高いポテンシャルを秘めているのではないかと思います。

激突!新カードVS旧カード

新曲に関しては、正直まだ私の理解の解像度が足りていないのであまり深い話はできません。ただ、「止まない雨」はストレートな恋愛バラードということもあり、感情の乗りも良く、非常にライブ映えするカードだと思いました。「いのち」だと意味コストが重すぎて出しづらい場面でも安定して活躍できる、バラードカード第二の主力になってくるのではないかと思います。
演出映えの良い「petal dance」は花をモチーフとしており、AZKiデッキでは珍しい【植物族】カード。また「慈愛」「包容力」といった暖かみのある属性も、AZKiの強みを新たな切り口で引き出してくれていると感じました。他のカードやAZKi自身とのシナジーも高く、構築の幅をさらに広げる働きをしてくれそうです。

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「タイムカプセル」は文字通り、リリースからターンが経過すればするほどパワーが増すタイプのカードなので今後の成長に期待できるかと思います。また、クラブ系カードのアンセム「水星」の流れをくんでいるので、DMカードの多いAZKiデッキとの相性も抜群です。今回は挨拶代わりに早速「Take me to Heaven 」→「 Midnight Song」 → タイムカプセルの「踊らなくても死なないし ハウスの新譜もチェックはしないけど」のコンボを決めてきました。初陣の火力じゃねえぞ。
新曲全般に言えることですが、VJ演出との相性が非常に良いです。特に今回の会場「Z-aN」はエフェクト盛り盛りの場面でもラグやカクつきがなく、画質も安定して高かったので、今後の配信環境として期待大です。

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ここの伸ばした手のピントがぼけてるのとか、なんかいいですよね。

新パック組がバッチリ爪痕を残したところで、レギュラーカードも負けてはいません。順番は前後しますが、「止まない雨」に続く形で「mirror」が登場。おそらく水属性つながりです。言い忘れていたのですが、「mirror」はデッキから同種族カードをサーチし、手札に加える効果があります。嫌な予感がしたあなた、正解です。「mirror」は強カードに繋げられるわりに場に出すコストが比較的低めで、自身の展開手段も豊富であり、かなり便利なカード…というか地味に壊れ気味です。

封印されし力

さて。
新旧カードが一通り暴れまわったところで、MCフェイズに移ったAZKiは「もしもの話」を始めます。あったかもしれない、「もう一つの世界」の話です。その世界では、新宿BLAZEでの「three for the hood」を無事開催した後は、恵比寿リキッドルームでのライブを開催していたはずでした。LVSの先には池袋harevutaiでのSorAZライブがあり、そして6thライブの後には、東名阪ツアーの構想もありました。そんな世界が、あったはずだった。
でも、そうはならなかった。ならなかったんだよロック。じゃなかった、開拓者。だからこの話はここで――

終わりません。AZKiチームは、やりたいことができない中でも、決して諦めはしませんでした。配信ライブをはじめとした新しい試みに挑戦し続け、「10年後も人の心に残っているような音楽を届ける」という目標を見つけ、そしてそれを実現してきました。この闘いは、無駄ではなかったのです。
そしてAZKiと開拓者は、ひとつの約束を交わします。

もう一度、AZKiと一緒に世界を創ってください。創ってくれますか?


ライブタイトル「Re:Creating world」
ハッシュタグ「#もう一度AZKiと」
MCフェイズで展開された「もしもの話」「約束」
そして、今AZKiの手札にある、mirrorと同じ【BLUE】シリーズの一枚……「世界は巡り、やがて君のものになる」

この5枚が全て揃った時、特殊勝利条件「世界再創造」が完成、この時点でAZKiの勝利が確定します。

「国家エクゾディア」です。

だから「国家」はやばいって言ったじゃん。

ただ、ひとつ安心してほしいのですが、「世界再創造」は「国家」が来た時点で完成はしているのですが、まだ発動はしていません。あと一つ、特殊な「始動キー」が必要なのです。よってこのままデュエルは続行します。国家からは案の定「青い夢」「いのち」の10割コンボの召喚。そろそろ禁止制限しないとまずいと思います。
そしてこれまでだったら「いのち」でコンボは打ち止めでしたが、今回新たなコンボが開拓されていました。新カード「FEEL ALiVE」の起用です。

今年は「音楽を止めるな」という、界隈全域を舞台とした、各地から名うてのデュエリストたちが集うバトルロイヤル大会が開催されたのですが、その第二回大会のプロモカードがこの「FEEL ALiVE」でした。音止め2では大トリを務めた「いのち」の後、キツネDJから託されたこの「FEEL ALiVE」がサプライズで登場したときは会場の全デュエリストが沸き立つといった一幕もありました。この時の流れを汲んでいるので「FEEL ALiVE」は「いのち」を引き受け、さらに先に繋ぐことのできる数少ないカードの一つです。また「FEEL ALiVE」は命を活性化させる効果があるため、「いのち」の重さ自体をバネにして一気に床から天井まで跳ね上がることができます。これを天井効果といいます。嘘です。とはいえ、「いのち」最大のデメリットであった「重すぎ問題」解決の一手であることは確かだと思います。そして「FEEL ALiVE」自体はストレートにポジティブなカードなので、後続にもつなぎやすいです。このコンボが開拓されたおかげで、「いのち」からの展開の幅がぐっと広がってきたのではないかと思います。

降臨!神のカード

そして「FEEL ALiVE」からつないだカードが何かというと……

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なんとAZKi選手、ここへきて普通にインチキかましてきました。KOTOKO「Face of Fact」、通称「神のカード」と呼ばれる1枚です。
「Face of Fact」は、2002年に戯画より発売された伝説の遊戯(ゲーム)「BALDR FORCE」のOP、AZKiは同じく戯画の「ジンキ・リザレクション」とタイアップをしているので一応伏線はあったのですが、しかしAZKiがオフィシャル大会で使用するデッキは原則オリジナルカードのみのはず、それもI've Soundを仕込んでくるとは、完全に想定外でした。まさかデッキに入っているはずのない「神のカード」を地面からドローするとは……。しかし、「神」は常に最強の決闘者の手に舞い込むらしいので、これもきっとAZKiが最強デュエリストとなった証なのでしょう。
そして「Face of Fact」は神のカードなので、罠カードを無効化し、効果を発動することができます。AZKiは「Face of Fact」の効果発動!古のオタクの魂を生贄に捧げ、ゼロ年代美少女ゲームへの思い入れ分の火力で、相手プレイヤーにダイレクトアタックする。I've Sound インパクト!

そしてここへきて、予想外のコンボが発生します。AZKiが次に召喚したカード、「Eternity Bright」です。

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「Eternity Bright」はライナーノーツからも分かる通り、最初からI've Soundを意識して制作されたカードです。

そして「Face of Fact」と並んだ今、「Eternity Bright」の隠された特殊効果が発動します。このカードは自分フィールド上に【I've Sound】カテゴリーのカードが存在する場合、このカード自身も【I've Sound】カテゴリーとして扱われます。
つまり実質神のカード。神のカードによる2連撃。
今回の覚醒枠は間違いなく「Eternity Bright」でした。まさに「永遠の輝き」の名にふさわしい大活躍です。

受け継がれし光

ここからAZKiはがらっと雰囲気を変えてきます。「フェリシア」と「猫ならばいける」、kawaii系ナンバーのコンボがさく裂します。

そしてこの2枚のカードで、オーバーレイ・ネットワークを構築!
エクシーズ召喚!

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招来せよ、「発光体ソーラーサイクル」
MOSAIC.WAVより託された、「2020年のAKIBA-POP」です。

このカードが司るのは「継承」
11年周期で巡るソーラーサイクル(太陽活動周期)のように、音楽もまた周期的に巡る。人から人へ、世代から世代へと受け継がれていきます。
MOSAIC.WAVからAZKiへ、そしていつか、次の世代へ。

ぼくらの今が君を動かして
またいつか花開くよソーラーサイクル

そうして継承されていくことで、いつかの未来で、再び輝きます。それこそが、「音楽」の持つ最も根源的な力です。一瞬の閃光だからこそ、誰かに受け継がれ、未来へと続いていく永遠の光になるのです。

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AZKiが受け取り、そしていつか誰かに渡すこのナンバーは、「音楽」という希望の象徴。世界を変え、未来を切り拓いていく力そのもの。

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受け継がれし光をその手につかみ、「ライブは楽しい!」という原点の気持ちに立ち返ったAZKi。そしてこのデュエルもいよいよ、最終局面へと突入します。

終わりなき旅

ラストを飾るのは「運命の在処」

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AZKiデッキ全体に共通するテーマのひとつに「旅」があるかと思います。
この「運命の在処」も「旅」をテーマとしたカードの一つ。ただ、これまでのカードとは性質が異なるような印象を受けます。
たとえるなら、果てしない荒野の中。疲れ果てながらも歩き続け、ふと顔をあげると、何処までも広がる大地が目に映る。果てしなく続く道なき道を、あてもなく彷徨う旅人の歌。
これまでのAZKiの曲とはまた一風変わった壮大さと、歩み続ける足取りの力強さを感じます。そしてその力強さは、ほかならぬAZKi自身がこの「果てしない荒野」を、夢中で駆け抜けてきた年月がもたらしたものでしょう。

この歌を歌えるほどに、AZKiは「強く」なった。

傷ついたままの足で歩くなら その跡はいつか道標になる

AZKiが踏みしめてきた足跡が、この荒野を歩む全ての旅人たちに勇気を与えます。迷いも不安もいつかきっと、先に進むための力になる。

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私たちはこの果てしない道を、自分の足で一歩ずつ進んでいくしかない。そして挫けそうなとき、もう立ち上がれないほどに疲れてしまったとき、この曲は荒野を共に歩く友として、私たちに寄り添い、もう一度歩き出すための力をきっと授けてくれます。
終わりなき旅路を歩む、すべての旅人のための歌。
そしてその先にある、誰も知らない「明日」を信じるための、祈りの歌。

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自らをつき動かす確かな鼓動を感じながら、6th LIVEは幕を閉じました――。

世界を創造する力

魔法カード発動!「天使の呼び声」(「亡者の呼び声」は不気味すぎたせいかデッキから外されたようです)
お互いに手札が6枚となるように、デッキからカードをドローする!まだAZKiのバトルフェイズは以下略

はい。ここで終わるわけがありませんね。あの曲もあの曲もあの曲もまだ出てませんし。というか「Re:Creating world」を題しておいてあの曲をやらないわけがありません。というわけでセルフアンコールからAZKi再登場。

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「フロンティアローカス」「ちいさな心が決めたこと」「without U」
ついに三種の神器が勢ぞろいです。「i」と「U」が辿ってきた「これまで」の道のりを、遡るように巡っていきます。

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歌うんだよ!!!!!好き。感情爆裂疾風弾お姉さん。

そしてお知らせフェイズをはさみ、ついに「あの曲」が来ます。

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「始まり」のカード、「Creating world 2020ver」

そしてこのカードこそが、特殊勝利「世界再創造」の始動キーとなります。

Creating worldは「開拓」を司るカード、というのは、通常時の効果。
このカードが司る真の力、それは文字通りCreating world、創世の力です。
というより、この力は本来、AZKi自身に備わっていたものです。より正確に言うなら、「開拓者と共にいるときのAZKi」の力。

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AZKiと開拓者が同じ「場」にいるとき、AZKiは「世界を創造する力」を手にします。
そしてその力は、この1年間、封印されていました。
「世界再創造」デッキは、封印されしAZKiの世界創造の力を疑似的に再現したものになります。開拓者のいないこの世界を、もう一度「創りなおす」ための儀式です。

「世界再創造」の完成、及び「Creating world」の発動により、AZKiの創世の力は再び解き放たれます。
そしてその効果対象として指定されたのが――

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「from A to Z」、「最初から最後まで」です。

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カウントダウンが始まり、今まで起きたすべてのことを辿るかのように、時間が巻き戻っていきます。エントロピーが逆流し、宇宙の始まりへと時間が巻き戻るビッグクランチが発動します。
そして宇宙は原初の姿へ、何もなかったゼロの状態へと還りました。
「世界の終わり」です。


AZKiは、開拓者のみんながいれば、何度でも世界を創りなおせます
次の世界は、みんなでいっしょに創っていこうね

最強の決闘者は、その手の中でカードも、未来も、創造します。
AZKiの手の中には、一枚の白紙のカード。

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AZKiが最後に……いいえ、最初に召喚したのは「in this world」
「始まり」へと還ったAZKiは、もう一度「この世界」を観測します。
そしてその際、AZKiは「ここ」を、「開拓者のいる世界」として再定義したのです。

君のいない世界を創造する?
そんな世界は想像出来ない

そしてAZKiは、もう一度開拓者と共に、世界を再創造していきます。
新しい世界が、「ここ」から始まっていくのです。

君と生きるここでこの場所で
それが私の世界だ

音楽が人と人を繋ぐとき、そこに一人一人の「物語」が生まれる。そして紡がれた「無限の中に生まれる物語」が、世界を創造していく。

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この物語は、まだ始まったばかり。


次回予告

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レペゼンエンタス、帰還。

CM

ストラクチャーデッキ最新弾『Re:Creating world』はAZKiオフィシャルショップにて好評発売中!

みんなもルールとマナーを守って、楽しくデュエル!!

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