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トレイルデザイン-Appendix B

(2021/1/12)加筆

Book of The Trail Building

トレイルビルダーを目指す人やトレイルの整備に携わる人が読むべき本を厳選5冊紹介します。この5冊を押さえておけば間違いないでしょう。


Trail Construction and Maintenance Notebook 2007 Edition

CONTENTS
 Introduction(はじめに)
 Trail Planning(トレイルの計画)
 Trail Design(トレイルのデザイン)
 Natural Forces at Work(自然の作用)
 Surface Water Control(表流水のコントロール)
 Trail Corridor(トレイルの空間)
 Trail Foundation(トレイルの基礎)
 Tread(路面)
 Trails in Wet Areas(湿地のトレイル)
 Crossing Streams and River(渡渉)
 Additional Trail Elements(トレイルの追加要素)
 Signs(サイン)
 Reclaiming Trails(トレイルの復元)
 Tools(道具ついて)

初めてという方はまず、U.S.Forest Service から出ているこの『Trail Construction and Maintenance Notebook』を読むと良いでしょう。Kindle版も出ていますし、買わなくてもネット上で見ることもできますので、一番敷居が低い本です。また、今回の5冊の中では値段も内容量も一番お手軽で読みやすいです。さらに、この 2007 Edition は後に紹介する書籍のエッセンスも取り入れた最新バージョンとなっているので、とりあえずこれを読んでおけば、大体のことは学ぶことができます。

その代わり図や写真は少なく、文字が多いので、そういった面では分かりづらいかもしれません。


Appalachian Trail Design, Construction, and Maintenance (Second Edition)

CONTENTS
 The Appalachian Trail Experience(アパラチアントレイルの経験)
 Working as an Volunteer(ボランティアとして働く)
 Trail Design: Planing(トレイルの計画)
 Trail Design: Field Layout(トレイルのレイアウト)
 Trail Clearing and Excavation(トレイルのクリアリング)
 Trail Building: Tread Hardening and Rehabilitation(路面の締固めと補修)
 Stream Crossings and Bridges(徒渉と橋)
 Special Environments: Alpine Areas, Balds, Wetland, and Farmlands
  (特殊な環境:高山帯、裸地、湿地、牧場)
 Trail Maintenance(トレイルのメンテナンス)
 Trail Marking(トレイルのマーキング)
 Trail Signs(トレイルのサイン)
 Hand Tools(道具)
 Power Tools(電動工具)
 Rigging(リギング)

次にお手頃のなのがアパラチアントレイルの管理団体が出しているこちらの本です。値段も2番目にお手頃となっています。先に紹介した U.S.Forest Service の本よりは図が多く、もう少し実践的な内容となっています。また、ボランティアの管理に関する内容もありますので、よりマネジメント側の人にもオススメです。

ただし、発行が2000年と5冊の中では一番古く、体裁もちょっと古めかしい感じがします。


AMC's Complete Guide to Trail Building & Maintenance (Fourth Edition)

CONTENTS
 Planning a Trail Project
 Trails on Private Land
 Developing & Using Trail Maintenance Inventories
 Creating New Trails: Planning & Layout
 Determining The Costs of Trail Projects
 Safety & Preparation: Work Safe, Work Smart
 Trail Construction & Erosion Control
 Building Materials for Trail Reconstruction
 Bridges
 Trail Maintenance
 Ski Trail
 Kiosks & User Education

次もアパラチアン関連ですが、こちらは AMC(Appalachian Moutain Club)発行です。AMCは1876年に設立され、なんとあの「シエラクラブ」よりも長い歴史を誇る団体です。4th Edition ということで2008年発行。施工方法などの説明がさらに詳しくなっていますし、体裁も読みやすいです。

ちなみに2021年3月に 5th Edition が出るようなので、こちらが出てから検討した方が良いかもしれません。


Lightly On The Land
The SCA Trail Building and Maintenance Manual
Second Edition

CONTENTS
 Trails
 Conservation Crew Leadership
 Involving  Volunteers
 Camping with Work Crews
 Risk Management
 Tools
 Crosscut and Chain Saws
 Measuring Distances, Grades, and Heights
 Trails Survey, Design, and Estimating Work
 Trail Construction
 Trail Drainage
 Trail Maintenance
 Building with Rock
 Felling and Bucking
 Building with Timber
 Bridge Construction
 Environment Restoration
 Arid Land Restoration
 Rigging
 Knots

ここまでの本の中で、大きさも分厚さも一番ある本です。SCA(The Student Conservation Association)発行。それだけに内容も一番詳しく書かれている印象です。とくに Timber(丸太)の扱い方が他と比べて多いです。

唯一のネックが、ここまでの本と比べて値段が倍以上するというところでしょうか。


Trail Solutions
IMBA's Guide to Building Sweet Singletrack

CONTENTS
 Partnarships
 Philosophy of Successful Trails
 The Principles of Sustainable Trails
 The Trail Design Process
 Tool for Trailwork
 Trail Construction
 Trail Maintenance
 Building Challenging Trail

トレイルビルダーのバイブル的本です。基本的にマウンテンバイカー向けの内容ですが、基本的な考えや理念はどのようなトレイルでも共通だと思います。絵や写真が多く、さらに全ページカラーという豪華な作りとなっています。

難点としては、マウンテンバイク向けなので階段構などの施工方法は出てこないこと、そして何より高額という点です。本体価格は 40$ US ですが、アマゾンで購入すると送料など含めて ¥8,000- くらいしました。

また、2007年には新しく『Managing Mountain Biking: IMBA's Guide to Providing Great Riding』という本が出てきます。こちらは見たことがないので内容は分かりませんが、平野先生によると…

他の利害関係者との連携の重要性と方法,ボランティアを通じた貢献活動の組織とその運営、競合・対立の調整を可能にするトレイル設計、安全・リスクへの配慮とその手法等が詳細に整理されている。
(「アメリカの林地利用の調整における利用者組織の役割」平野,2008 より)

…とのこと。マネジメントに関するより詳しい内容が知りた方はこちらを読んでみても良いかもしれません。


オススメ

「全部読むのは大変!」という方に個人的なオススメを紹介します。

マウンテンバイク用のトレイルやコースを作りたいという方は『Trail Solutions』の一冊だけで十分だと思います。「でもちょっと高い!」という方はAmerican Trails に要約された 「Sustainable Trail Development」を見てみて下さい。

ハイカー向けのトレイルを作りたい方は、まず『Trail Construction and Maintenance Notebook』Web で見てみることをおすすめします。わざわざ購入する必要はありません。ここでトレイルの基本を押さえておきましょう。もし「文字ばっかりで読むのが面倒」ということでしたら、かなりお高いですが『Trail Solutions』は図が豊富で文字を読まなくても分かりやすいので、こちらを読んでみてください。そして、基本を理解したら『Lightly On The Land』で具体的な施工方法などを学ぶと良いでしょう。



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