トレイルデザイン-Rerouting
Tread Maintainanceでバームやスラフを取り除く必要があることが分かりました。では、これを怠るとどのような事が起こるのでしょうか?
Erosion Trail
Stage1 作り立てのアウトスローピングのトレイルです。この状態を維持するように努める必要があります。
Stage2 時間が経つとバーム等が溜まり、このような状態になります。この段階ではメンテナンスをすれば問題ありません。非常に地味で面白く無い作業ですが、とても重要です。
Stage3 メンテナンスを怠りバーム等の処理しなかったり、利用多寡の状況を放置すると侵食が進みます。すでに良くない状況ではありますが、適切にウォーターバーやチェックダムを導入すれば、まだ侵食を止めることができます。
Stage4 Stage3の状況を放置すれば、ほぼ間違いなくガリー侵食が進みます。ここまで来るともう手遅れで、元の状態に復元するのはほぼ無理と言って良いでしょう。
Rerouting
ではStage4まで進行してしまった場合はどのように対処すべきでしょうか。この場合、このトレイルを維持することは諦め、「リルーティング」(またリクレイミング"Reclaiming"、リロケーション"Relolation")つまり道を付け替えることを検討しましょう。
また、そもそもトレイルのデザインに問題がある場合、例えばRolling Contour TrailではなくFall Line Trailになってしまっている場合も同様にリルーティングを検討しなければなりません。
10 Tips for Rerouting a Trail
それはリルーティングの進め方を見ていきましょう。
①事前に打ち合わせる その土地の管理者(Land Manager)と打ち合わせて了承を得ます。植生を移すことや生態系への影響も考えます。
②利用者への周知 なぜ既存のトレイルをクローズするのか、なぜトレイルを付け替えるのか、それによってどのような効果があるのか、を利用者に周知しましょう。これを怠り、古いトレイルを利用され続けるとそもそも意味が無くなってしまいます。また人手が必要な場合はボランティも募ります。
③持続可能かつ、より楽しめるトレイルをデザインする 古いトレイルよりも持続可能であることはもとより、リルーティングしたことによって「つまらなくなった」と思われないようにデザインします。
④スムーズな切り替えになるように 新しいトレイルへの誘導が不自然にならないようにデザインします。直角に曲げてしまうと新しいトレイルに気づきづらいので、自然にカーブを描くようにします。
⑤古い路面をほぐす 踏み固められた路面は植生が回復しずらいので、耕します。最低でも2インチ(約5cm)は掘り起こします。
⑥古いトレイルの侵食防止 古いトレイルが侵食されないようにチェックダムを作ります。もし土壌が砂礫や細かい粒子の場合はチェックダムと一緒に麻の土嚢(Bulap bags)を置くと良いでしょう。土嚢の上部に”X”の切り込みを入れて、土嚢を湿らせた上で、周辺の灌木などを移植させます。
⑦植生の移植 新しいトレイル上の植物を古いトレイルに移植します。元々の植生に回復させることが理想的です。植物にショックを与えないように移植するテクニックも必要となります。
⑧覆い隠す まず、利用者が古いトレイルを通らせないことが大事ですが、さらに言うと、古いトレイルの存在にすら気づかないようすることが最終的なゴールと言えます。古いトレイルが目線に映らないように、落ち葉や枝などで覆い隠します。
⑨新しいトレイルへ誘導 古いトレイルに入らないよう、サインなどで新しいトレイルへ誘導させます。
⑩最後に:古いトレイルを塞ぐ 最後の仕事は古いトレイルの塞ぐことです。ロープなりサインで古いトレイルの入口と出口を塞ぎましょう。大きめの灌木を移植させたり、岩を配置するのも良いと思います。