トレイルデザイン-Appendix F
(2020/12/14)加筆
Funding Solutions
アメリカは、トレイルの維持管理にもボランティが盛んです。とはいえ、トレイルを作るのにも維持するのにもお金がかかります。国や州がお金をすべて出してくれれば良いですが、全土に渡り長大なトレイルを保有するアメリカです。当然そういうわけにはいきません。また昨今は、政治的な理由や地球の温暖化など環境の変化によりトレイルの管理にかかる予算が減ってきているそうです。
最近日本の各地でも「入山料・入域料」または「協力金」に関する議論や検討が行われていますが、「どうやってお金を捻出するか?」が大きな課題となっているのはアメリカも同じようです。
例えば、2020/12/3に行われた「American Trails」の Webinar 「Innovative Approaches for Sustainable Trails: Crawford Path Case Study」のなかで視聴者への”トレイルビルディングorメンテナンスをする上で一番の障壁は?”という質問でも”資金”という回答が57%と、一番高い結果となっていました。
What is your biggest obstacle in trail building/maitenance?
・Funding 57%
・Partners 7%
・Volunteers 16%
・NEPA (National Environmental Policy Act) 6%
・Other 13%
(American Trails、 Webinar 「Innovative Approaches for Sustainable Trails: Crawford Path Case Study」より)
そんな中、「American Trails」 に「Six Unique Trail Funding Solutions」という記事が出ていましたので紹介しましょう。この記事では、お金を集める6つの事例が紹介されています。
Trail Merters
6つのソリューションの中でも最も目を引くのは「Trail Merter」です。この”トレイルメーター”は、街中でよく見かけるあの”パーキングメーター”を使って気軽に寄付ができるという仕組みです。これを発明したのは" Yampa Valley Community Foundation"(コロラド州スチームボートスプリングス)です。
■Trail Meterに関する記事
■Trail Meterのニュース動画
目立つようにオレンジ色に塗ったパーキングメーターをトレイルの入り口に設置。クレジットカードを指すだけで、最小5ドルを寄付することができます(コインは利用不可)。2026年までに150万ドル集めることを目標としているそうです。
これならお釣りの問題やお金を盗まれることもないので、お金の管理が簡単そうです。利用者もコインがなくてもクレジットカードさえあれば良いので、とても合理的です。また、日本でも協力金を横領したという事件があったりするので、行政や団体職員といえでも信用できない世の中です。横領されにくいというのもポイントです。
気になるのは電源やネットワークはどうなっているのか?というところです。パーキングメーターの仕組みついてはよく分かりませんが、おそらく電源はバッテリーで、データは定期的にメーターから抜きに行くような形になっているのではないでしょうか?(誰か知っている方がいればコメントください)
これからは自治体や企業から支援に期待するのではなく、どうやってユーザーから直接支援をしてもらえるかがカギとなるのかもしれません。そういう観点から、トレイルの入り口で寄付を募るというのは良い方法だと思います。日本にこの手のパーキングメーターがあるのかどうかは分かりませんが、この方法なら各登山口に設置することも可能ではないでしょうか。
■「トレイルデザイン実践ガイド」TOPページ
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?