トレイルデザイン-Grade Reversals
(2020/11/4)加筆・修正、図入れ替え
微妙なアップダウン
アメリカでハイキングをしていて、「よく分からない微妙なアップダウンがよくあるなぁ」と思ったことはありませんか?重い荷物を背負った状態では、長いスイッチバックに加えて、ほんのちょっとしたアップダウンでもつらいものがあります。しかし、そんな「微妙なアップダウン」も水をコントロールするために意図的に作られた「Grade Reversals(グレードリバーサル)」かもしれません。
Figure 11(Trail Construction and Maintenance Notebook 2007より)
Grade Reversals
ハーフルールやアウトスロープで、なるべくトレイルに水が集中しないようにしました。とはいえ、ゼロにはできません。トレイルに流れる水をどこかで斜面に排出する必要があります。そのための仕組の一つが「グレードリバーサル」です。
トレイルにところどころ傾斜が逆になる部分を作っておくことで、水がトレイルに集中して侵食が起こることを防いで、斜面に排出することができます。そのため、トレイルをつくる際に、あらかじめグレードリバーサルができるようにデザインする必要があります。
もしくは、後からグレードリバーサルをつける場合もありますが、その時は「Rolling Grade Dips」と呼んだりしますが、仕組みや考えはほぼ同じです。
グレードリバーサル自体は大体3m〜5mくらい。6m〜15m間隔で設置すると良いそうです。
トレイルと登山道③
これら見ているとアメリカで、マウンテンバイクやトレイルランニングが流行る理由が分かる気がします。緩やかな傾斜とアップダウンのあるトレイルを走るのはいかにも気持ちが良さそうです。それと比べると、日本の登山道は直登や急な斜面が多いのでマウンテンバイクやトレイルランニングをするには不向きな感があります。「気持ち良さ」よりも「辛さ」の方が目立ってしまうのではないでしょうか?その代わりと言ってはなんですが日本には稜線というご褒美があります。山から山へ稜線を伝って縦走できるのが、日本の山の醍醐味の一つかもしれません。
山の楽しみかたはいろいろあります。ピークハントや百名山ハント、トレラン、マウンテンバイク、沢登、山スキーなどなど。しかし、日本の山の気候や風土や登山道の作られ方という観点から考えると、日本の山を楽しむための最適なスタイルはやはり「縦走登山」ということになるのではないでしょうか。
参考
Trail Construction and Maintenance Notebook 2007
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