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トレイルデザイン-Switchback

タイトルの写真はJMTにあるGlenPassです。下から見上げると「いったいこの壁のどこを登るんだ?」、「ほんとに登れるのか?」という気にさせられます。実際に登って行くとキレイにトラバースするトレイルが作られていて何てことはないのですが、繰り返されるスイッチバックに気が遠くなるとともに、トレイルを作るその技術に驚かされます。

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GlenPassのキレイに作られたトラバース

Switchback 

急な斜面をトラバースする時はどこかで折り返す必要があるわけですが、その際、緩やかに登りながらカーブしていく「クライミングターン」か、急角度に折り返す「スイッチバック」という方法があります。

大体15%〜45%(8.5度〜24度)の斜面ではスイッチバックにすることが望ましいでしょう。スイッチバックの設置は少し難易度が高いですが、上手く作ることができれば侵食を抑えることができます。

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Figure 70(Trail Construction and Maintenance Notebook 2007より)

Inslope

スイッチバック部分の排水方法に一つポイントがあります。それがインスロープです。トレイルは全体としてアウトスロープにすることが基本ですが、スイッチバックの折り返す部分の山側だけは、山側に傾斜をつけて排水するための導流溝をつけておきます(詳しくは図を参照)。そうすることでスイッチバックの侵食を抑えることができます。

また、スイッチバックの角の部分はなるべく平らにします。傾斜があっても最大でも5%以内にしましょう。

Rock Retaining Wall

スイッチバックの内側と谷側の2箇所に擁壁を設けます。石で作る場合、強度を出すためには高さ2:幅1の角度(約63度)で設置すると良いでしょう。

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Figure 71(Trail Construction and Maintenance Notebook 2007より)

Fewer long switchbacks

また、スイッチバックのトレイルを計画する時に重要なポイントがあります。それは、短い距離でスイッチバックをたくさん繰り返すより、なるべく距離を長くしてスイッチバックの数を減らすことです(図を参照)。

その方が、スイッチバックを作る数を減らすことができます。しかし、理由はそれだけではありません。ここでは人の心理を考える必要があります。短いスイッチバックを繰り返すと、多くのハイカーはショートカットしたくなってしまいます。ショートカットすることにより、余計なトレイルができてしまい、新たな侵食の原因ともなります。スイッチバックを減らし、トラバース部分を長くすることで、ショートカットをしない(する必要がない)トレイル、つまりサスティナブルなトレイルを作ることがでるのです。

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Figure 72(Trail Construction and Maintenance Notebook 2007より)


この辺りになってくると技術もそうですが、物理や工学的な知識が必要になってきます。さらに、トレイルを作る際には人の心理も踏まえて作らなければならないので、かなり高度な技術や知識、経験が求められます。残念ながら日本には専門的に登山道を作る人はほとんどいないのが現状です。

しかしながら、日本各地で試行錯誤しながら整備している方々(そのほとんどがボランティアや手弁当)が多くいます。その方々の知識や経験、ノウハウが共有されれば、より日本の気候や風土、利用方法に適した登山道をつくることができるのではないでしょうか。

参考

Trail Construction and Maintenance Notebook 2007


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