北アルプス雲ノ平の植生復元活動について知りたければこれを読んでみては?
山岳地帯における保全活動の事例の一つとして巻機山(1977年~)があげられます。当時しては先鋭的な、ボランティアや大学、行政が協力して行われた保全活動には、学ぶべきところが多くあると思います。
そして巻機山と同じくらい参考になると思われるのが、北アルプス雲ノ平の植生復元活動です。雲ノ平での植生復元の系譜は2006年から、雲ノ平山荘の伊藤さんと東京農業大学の下嶋さんから始まったそうです。そして2008年からは富山森林管理署の協力のもと各行政との連携も図られ、民間(雲ノ平山荘)・大学(東京農大学)・行政(林野庁、環境省、富山県、富山市)の三者の協力による復元活動が行われるようになりました。
巻機山と雲ノ平に共通しているのは、様々な立場の人たちが上手く連携し協力することができるシステムを築くことができたことではないでしょうか。巻機山では日本ナショナルトラスト協会、雲ノ平では富山森林管理署がコーディネーターの役割を果たしていたようです。
ということで雲ノ平の植生復元活動に関する資料を集めました。
北アルプス雲ノ平における登山道周辺に発生した裸地の空間分布の推移
著者:下嶋 聖, 伊藤 二朗, 原 慶太郎 発行日:2008年
国有林野における地理空間情報技術を援用した植生復元事業について〜北アルプス・雲ノ平を事例として〜
著者:下嶋 聖 発行日:2010年
北アルプス最奥地 雲ノ平植生復元活動について~大学・山小屋との新たな協力体制~
著者:桑原 優太,下嶋 聖 発行日:2010年
高標高地、遠隔地における森林整備等の課題整理
著者:千村 知博, 村中 健彦 発行日:2017年
北アルプス雲ノ平における10カ年実施した官民学協働による植生復元活動について
著者:伊藤 二朗, 下嶋 聖, 千村 知博 発行日:2017年
合わせてこちらも読んでみては?
中部森林管理局:雲ノ平植生復元
北アルプス最奥地にある雲ノ平( 標高2,400~2,700m)は、溶岩台地上に形成された雪田草原が広がり、そのため当該地には池塘が点在し、高山植物の宝庫となっていますが、過去の登山行為( 踏圧)や融雪期のグライドや雨水等による洗屈が重なり、植生が荒廃した箇所が登山道沿線で見受けられます。植生荒廃が進行する現状に危機感を抱いた山小屋が発端となり、産学官( 山小屋、大学、森林管理署等) による雲ノ平での植生復元を平成20年度より取り組み、山小屋は現地に適した施工方法の開発や実行、大学は他地域での植生復元の提示や実行検証、森林管理署は関係機関との調整を図るとともに、国有林野事業の業務に置付け、三者が連携しながら協働で植生復元活動を実施しています。
・基本方針
・平成26年度事業報告
・平成29年度検討委員会資料