トレイルデザイン-Check Dams
一般的に新しくトレイルを作ることよりも、トレイルを補修することの方が難しいです。例えば、流水によって侵食されてトレイルがV字やU字状になってしまったり(ガリー)、ショートカットやぬかるみ避けて歩くことにより複線化してしまったトレイルなど、それらを元の状態に戻すにはより緻密な計画と高度な技術が要求されます。そのため、最初にトレイル作る時点のプランニングが重要なのです。とはいえ、計画通りにはなるとは限りません、というかならないことの方が多いでしょう。そこで、トレイルを修復するための仕組みも必要となります。
Check Dams
チェックダムはトレイルを補修する場合によく用いられますし、河川工事でもよく出てくる用語です。日本で言うところの「砂防ダム」と言ったところでしょうか。登山道で言うと「土留」が近いと思います。
fig3_50(Wilderness and Backcountry Site Restoration Guideより)
チェックダムの役割は、主に①流れてくる水の勢いを弱めて侵食を防ぐこと、②水で流された土砂を溜めることにあります。ガリー状に侵食されてしまった箇所(トレイル上and外)や、ショートカットや複線化してしまった余計なトレイルに設置します。また、ウォーターバーなど排水先の侵食を防ぐために合わせて設置することもあります。
木や石で作るのが一般的ですが、近頃日本では「ヤシネット(ヤシ土嚢)」で作るという方法も知られるようになりました。
ウォーターバーと同様で、施工物が動かない様にしっかり固定しましょう。山側は2/3くらい地面に埋めることや、杭を打つ場合は地面に入り込む部分の方が長くする事が重要です。また、少なくとも30cmは法面に埋め込むことがオススメされています。
Figure 92(Trail Construction and Maintenance Notebook 2007より)
二次侵食
ここでも二次侵食には十分注意が必要です。よくある二次侵食としては次のようなものがあります。
①水がチェックダムの脇を通ってしまい、侵食が横に広がる
②チェックダムの水の落ちるところが削られる(洗掘)
③溢れた水が植生上に流れて、土砂が流出してしまう
その対応策としては、
チェックダムに水が落ちる箇所(Spillway、水通し)をつける。木で作る場合は真ん中あたりに切り込みが入れてあることが多いです。そして、その水が落ちる先に石などを配置して洗掘を防ぎます。また、複数のチェックダムを設置する時は、下のチェックダムの上限は上のチェックダムの下限になるようにします。
fig3_57(Wilderness and Backcountry Site Restoration Guideより)
これらはあくまでも一つのケースに過ぎないので、あくまでも現場に応じた設計や施工が必要になります。どれくらい水が流れるか?土砂はどれくらい溜まるのか?など現地の状況をよく見極めて設置することが大切です。
STANDARD TRAIL PLAN
(U.S.Forest service Standard Trail Plans and Specifications より)