歯医者で笑う。 2020.7.15
歯医者は大嫌いだ。できることなら行きたくないが、虫歯の痛みはもっと嫌いだから、渋々、ホントに渋々、尻込みしながら通うことになる。そもそも、歯医者で行うのはいわゆる治療ではない。小規模な工事と言った方がいい。口腔内は、さしずめ工事現場だ。
それが理由なのか、院内では緊張が解けない。そして、緊張をほぐそうとあれこれ考える。なぜか笑いたいモードが全開になり、ちょっとしたことが可笑しく感じたりする。さらに自分で仕掛けることもある。レントゲン撮影の際、「笑いましょうか?」と言って、爆笑されたことがある。つい先日は、背後の診察台にいるお婆ちゃんが、かましてくれた。
座った途端、「歯が折れた」と訴え、「あらそう?」と返す看護師さんに、お婆ちゃんは「歯も折れたけどね、足も折れたとよ」と畳み込み、僕は肩を奮わせて耐えなければならなかった。自分の工事中も、思い出しては噛み殺し、必死で気を散らして堪え続ける地獄。あんな無防備な状況で、頼むから笑わせないでくれ。嗚呼、いまから次の通院が怖い。