茶室憧憬。 2020.9.21
茶室のような空間に住みたいとずっと思っている。極小で、シンプルで、そぎ落とされた質素な美しさを備える住まい。ル・コルビジェのニースに近いカップマルタンの別荘、カバノンを知ったときは、洋の東西を問わず、突き詰めればそこなんだと合点がいった。
ここで言う茶室とは、あくまでも比喩であって、本当の茶室仕様の空間を指しているわけではない。例えば、そこには超高速のWi-Fiが飛んでいるし、机の上には一冊の薄いPC。水屋はコンパクトな厨房で、食事は小さなカウンター。シャワールームとトイレがひっそりと隠れていて、どうやら床は畳ではない。寝床は簡素なスライド式収納ベッドだろうか。
できるなら、衣食住すべてそうありたい。季節ごとの気に入った素材とデザインの一張羅を着て、地元の食材で四季折々の一汁一菜をわずかばかりの器でいただく。母屋と同サイズの納戸付きの車庫があり、釣り道具一式もそこに格納されている。坪庭は菜園。なにより壮大な借景が宝。ロケーションは高原の一角。などと無邪気な夢想は今夜も止まらず。
村の家の投げ入れ。詫び寂を現代に映すデザインを探したい。