赤紙到着。 2021.2.8
この正月で65歳になった。長いようで短いようで。短いようで長いようで。若い時は想像すらできなかった老境。だが、いざ我が身を置いてみると、そこにはまた新鮮な風景が広がっている。いい気なものだ。どんな変遷があったところで、世界の中心はいま、ここなのだ。
赤紙が来ると聞いていた。介護保険を受けることができる事実の知らせを、召集令状の葉書になぞらえる先輩方の洒落。そしてそれは本当にやって来た。誕生日から遠からぬ某日、封書が届いた。中には、赤ではなくて薄緑の「介護保険被保険者証」が入っていた。しげしげと眺めた。オレが介護?身体不如意で、どなたかのお世話になれる権利。いや許可?
ピンと来ないが、そうなのだ。苦笑がこぼれる。まあ、老化ほど個人差が際立つものはない。我が身を振り返っても、悩みになりそうな衰え知らずの食欲。ご婦人方の存在も気になって仕方がない。いまだ何にでも興味が募る。痛いところはない。老眼は少しだけ。ジョギングは6年目に入った。軽い筋トレは毎日。赤紙はしばらく埃を被らせておくことにする。