琥珀色

浜辺で琥珀を拾っていた時期がある、

一度目は、鉱物に詳しい方に教わった。

石炭の破片が漂着する場所には、小指の爪の半分ほどの琥珀も混ざっていることがあるのだ。講師料はラーメン一杯だった。

それからたまに、一人で探すようになった。三十分くらいやれば一個は見つかる。収穫物は洗って小瓶に貯めた。

中身が三分の一くらいになった時、私は結婚してその土地を離れた。

まだ手元にある小瓶を、たまに日に透かす。

価値は特にないけれど、柔らかな、本当の琥珀色が見える。

#短文バトル

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