短文バトル4「紙」

紙の端で、スパッと指を切ることがある。

だいたい、血はあまり出ない。
なのにやけにジワジワ痛む。

そして、なぜか「裏切られた」と毎回思う。

これが包丁なら「私が悪かった、気をつけなければ」と反省するのに。

いや、違う。私が悪かったのかもしれない。

「本を置く場所がない」と友達に愚痴る。
「これ要らないや」と、チラシをマンションの共用のゴミ箱にその場で捨てる。

紙を愛さなくなった人間への、これは罰なのだ。

紙の神に許しを乞い、私はばんそうこうを傷口に巻く。

#短文バトル

いいなと思ったら応援しよう!