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ジャズ行脚 13/47 @島根

山陰旅行2件目、島根県です。

島根といったら松江城、玉造温泉、出雲大社、足立美術館など名所盛りだくさんですよね。でも全部行きませんでした。というより、行けませんでした。
旅行といってもあくまで最優先事項はジャズ観賞で、その観賞も日中で確定していたので、移動時間も考慮すると今回はどうしても他の観光地を転々とする余裕がなかったのです。残念。

さらば青春の米子

・米子駅⇒益田駅

まずは特急列車で移動。
本来なら乗車して1本で到着できるのですが今回はちょっとだけクセがあって、途中にある「三保三隅駅~益田駅」の沿線の近くの斜面に亀裂があるだのなんだので、その区間での運行が取りやめになっていました(12月からは再開しているそうです)。
じゃあどう移動するのかと、米子⇒浜田を特急列車、浜田⇒益田を代行バスで乗り継ぐことになりました。代行バスはJRさんが手配してくださっていたので、米子⇒益田間の乗車券さえあれば追加料金は発生しない仕組みです。

恥ずかしながら代行輸送というものを人生であまり体験したことがない身で本当にバスが来るのか半信半疑になってしまい、不安と焦りで乗車中は目がギンギン、頻尿に悩む初老男性もビックリの道中2hでトイレも4回行きました。
浜田駅までの途中で鹿とぶつかった列車が前方にいたらしく10分ほど遅延になりましたが、それでも代行バスはちゃんと待機してくれていて、しかも浜田駅のバス停まで案内してくれる担当者さんが大勢いて、ホームに残ってる客がいないかどうかの見回りとか、スタッフ間の連携も緻密に行っており非常に手厚いサポートでした。
JR西日本の浜田駅駅員さん本当にありがとうございました。

浜田から1hほどバス移動して益田駅に到着。
モミジの並木道が本当に奇麗でした。
まずは駅前からジャズ会場のグラントワまで15分ほど徒歩移動。

ロゴに使えそう

グラントワ到着。
エントランスから入館するとすぐに奇麗な中庭が出迎えてくれます。館内は回廊になっていて、演奏会場のホールやレストラン、石見美術館などで構成されていました。
とりあえずここで当日券を購入。13:00~17:00のライブで購入した時点ではまだ11:30、開演まで待っているのもアレなので先に益田市を観光することに変更しました。

神々しい

・益田駅⇒さんさん牧場、蟠竜湖

幸いグラントワからバスが出ていたのでそのまま乗車し、緑ケ丘卸団地という停留所まで移動。
ここから10~15分ほど徒歩で南下し、さんさん牧場に到着。ここ半年近く実家の猫と触れ合う時間が取れず、無性に生き物が見たくなったのです。

ASKAツアーしてたっぽい

さんさん牧場は↓の写真場所から少し登った丘の上にあります。
アクセス方法としては今回のようにバス+徒歩で可能です。が、やはり徒歩移動が大変なのと、帰りのバス待ちが多少なりとも発生しますので、レンタカーを出せるのなら車で訪問するのが一番いいと思います。付近に大き目の駐車場がありますので。

場内にはヤギさん、馬さん、あとウサギもいた気がします。エサやり体験や乗馬もできます。可愛かった。

牧場を後にして今度は蟠竜湖(ばんりゅうこ)へ。
ここもまた徒歩15~20分ほどの移動を伴いますが広々としたエリアをほぼ独り占め状態で歩けたので割とワクワクしました。

ちなみに蟠竜湖へは駅前から直通バス(蟠竜湖線)も発着してますのでアクセス面は良し。ただし同じ蟠竜湖線でも便によっては途中から別の方面に向かってしまうバスもあるので、あらかじめ公式サイトの時刻表を確認しておくと安全です。

とりあえず空も撮っておこうの精神

蟠竜湖到着。
入り口には趣深いバス停と待合所があり、その先に湖が広がっていました。手前の池でコイがゆらゆら泳いでおりエサやり(1袋¥50)を楽しむことができます。貸しボートもあるので湖の遠方へ出かけることも可能。近くの商店ではガシャポンが大量にあり家族連れが盛り上がってましたね。

ここではなんと釣りも楽しめるのですが、釣り堀ではないので釣竿のレンタルサービスはございません。なのでフィッシングに来たい人は用具を全て自前で用意する必要があります。
それに気づいていなかった某成年男性は釣竿なしの釣りを楽しもうとスタッフに申し込みしそうになりました。危ねえあぶねえ。。
釣り場の区画がちゃんと定められているので、釣りしたい人は場所を確認してから楽しみましょうね(遊漁証を申し込む際に運営スタッフさんからも説明があります)。

一番好きなバス停かもしれない
バスが釣れるらしいよ バスだけに
ダメ!絶対!
島根ってカープファン多いのかな
境界

湖を楽しんだ後は再びバスに乗って益田駅北口エリアまで戻り、汁なし担々麺専門の店くにまつさんへ訪問。昼食をお世話になりました。
すぐ目の前にパチ屋がありまして、事前の腹ごしらえもしくは打った後の一息として最適な場所に感じました。周辺に短時間でさっと腹を満たせそうな食事処があまり多くなかったので、経営目線でよく考えられた立地…いえ何でもないです。

汁なし担々麺の大盛りを頼むと温泉卵とご飯がついてきました。
最初は担々麺のみ、後から温玉追加、麺が食べ終わったら最後にご飯を投下してお雑炊のように食べられます。米子から何も食っておらず、昼飯に最適な場所がいまいち探せてなかった中でこの店に出会えて救われました。美味しかったです。

水もめっちゃ美味かった

・グラントワ(ジャズ鑑賞)

さてライブでござる。15:00くらいにグラントワ帰着。

参加した7バンドのうち3~4バンドの鑑賞になりました。
全て島根県でご活動されているバンドでそれぞれ益田をはじめ松江、出雲、雲南、安来など、県内の拠点から大集結といった構図でした。主催のご説明曰く、このイベントは5年前から構想はされていて、今年初めて島根全域を取り囲む規模でのビッグバンドフェスになったみたいですよ。おめでとうございます。
ただ、益田以外から来訪したバンドが揃いもそろって会場までの距離が遠いことを愚痴ってたのが笑えました。

会場は前方から後方まで観客でビッシリ。あらかじめチケット買ってなかったらもしかしたらアウトになってた可能性あり。

キャップ🧢被ってSax吹いてる人あんま日本で見たことない

鑑賞した1バンドめは熱狂楽団TAPASCON(タパスコン)さんです。
何よりもまず、半数近くの方が季節外れのアロハシャツであることに目が留まりました。となるのも当然で、ラテン系のノリノリな曲を中心に演奏されているそうなのでそれだけ派手な服装の方が合ってますものね。
トリで演奏したSeptemberが最高にうまかったし、最高に盛り上がってました。ホーンセクションが左右に揺れ動くのに合わせてノッてしましました。男一人で微動してると変人に思われる可能性があるので普段は自重してしまいがちなのですが、押し負けた。さすがは熱狂楽団ですね。縁日とかでやぐらの壇上で演奏していただきたくなるような、陽気なバンドさんでした。

2バンドめはGroovin’ Lab.さんです。
インタビューで仰っていた、他のバンドが21時で練習終える中どこよりも長く22時まで頑張ってること、あと『今日が最も若い日』という素敵な名言(このバンドのご発言と記憶してますが間違ってたらすみません)。一生忘れない。まだ老いを感じない私ですらズキュンときたフレーズだったので会場の年配方は五臓六腑にブッ刺さり涙ちょちょぎれたのではないでしょうか。
という妄想はさておき、演奏曲のFat Mama’s Sambaが気になりました。
今のご時世どっかの団体にヤンヤ言われそうなほど切れ味のある題名。あとサンバの良い特徴と思うのですがジャズだけでなくウインドアンサンブル系にも合いそうな曲調。そしてGroovin’ Labさんの、曲名のインパクト以上に明るくエネルギッシュで元気をもらえる演奏。その中でもTsの奏でるテーマがSamba Temperadoを彷彿とさせるような美しさを感じました。
曲自体初めて聴いて自分の知らない世界を目の当たりにして、このジャズライブに来て良かったと喜びを得た瞬間でした。

文章長いのでここでアイキャッチ

3バンドめはバードジャズオーケストラさん。
結成してからは十数年ほどだと聞きましたが演奏と雰囲気からそれ以上やってるかのような香りと風格を感じました。
印象強く残ったのが1曲目に演奏いただいたBlue Frameです。
なんとなくビッグバンドのスタート曲はアップテンポというか割とノリノリ系で猛発進するケースが多い印象なのですが、Blue Frameはかなりゆったりした曲。それでもバラードのような静かな曲ではなく、心臓にドカンとジャブを食らうほど力強い音圧を感じるものでした。20世紀フォックス映画のオープニングBGMのような、幕開けと同時にこれから演奏始めてくよ~準備はいいですか~的なメッセージを届けるようなメロディで、この曲をエンジンというか皮切りに次の演奏曲(Take The 'A' Train)に流れ良く乗っていく感じ。
調べてみれば原信夫さんのバンドでも同じスタイルらしいのでおそらくオマージュだろうと推察しております。こういう入り方もあるのだなと良い勉強になりましたし、曲そのものも本当に素敵でした。
最後に演奏したFly Me to The Moonも感動しました。

4バンドめはオオトリを務めたSwing Phoenixさん、本演奏会の主催です。
結成54年のご長寿バンドで、漲る自信と落ち着きを感じました。
同郷のTAPASCONさんと違い高齢のメンバーが多いのでどのバンドよりも再雇用制度が整ってるだの自己紹介するあたりとか、チューニングを始めたと思ったらそのまま曲に突入したりとか、曲の途中にちょいちょい知られたフレーズ(正露丸CMのbgmとか、ジングルベルとか)を挟み込んで聴講者を楽しませたりとか、曲と曲の間でビッグバンドの結構面白いうんちくを語ったりとか、まさに歴戦を生き抜いてきたバンドの振る舞いでした。
当バンドで最も印象に残ったのはIt's All Right With Meです。トロンボーン隊が主旋律を演奏しソロもほぼ同楽器が牛耳る曲(もうTbのフィーチャリングと言ってよい思います)で、最初から最後までアップテンポで重量感のあるイケメンなナンバーです。各ソロも非常にかっこよかったですが最後のテーマ部分でキーが上がったときのハモリがめちゃくちゃ鳥肌立ちました。
本当にトロンボーンってすごい楽器ですよね。普段はSaxやTpの後ろで和音吹いている縁の下の力持ち的な印象ですが、主役として全面に出るとここまで華やかな楽器になるんですよね。特にこのIt's All Right With MeはTbを最大限に活かしてくれる曲だと思います。素晴らしかったです。

最後はなんと全バンド合同でのSaints(When The Saints Go Marching In:聖者の行進)の大合奏。ステージ上に奏者が入りきらず↓のように絵になってました。Swing Phoenixのリーダは空席に座りながら演奏してて笑いましたよ。もはやなんでもありですね。

🎷=演奏者

最後のSaintsは全方位から楽器の音色を浴びるのでとてつもない迫力を感じました。演奏が終わってグラントワからホテルに戻るまでの帰路でも余韻が残ったままでした。

ちなみに余談、Swing Phoenixさんがご長寿バンドであること触れましたが、最高齢者だと73歳の方がいらっしゃいました。自分なんてジャズどころかそもそも73まで生きてる見込みがないので、ステージに立ってゴリゴリ演奏してるなんて尊敬を越えて最早恐ろしいですね。
ただ、演奏側だろうが聴く側だろうがそれだけ長く楽しめるのがジャズの良さです。ジャズ行脚で訪れる度に、僭越ながら毎度そういう考察をして感傷に浸ってしまうのであります。
Swing Phoenixさんだけでなくすべてのバンドのメンバーにおかれまして、末永く島根をビッグバンドで盛り上げていただけるよう、遠方からではありますが心より応援しております。

世界一簡単なバードウォッチング

正直もう夕飯に行く体力がなくなっていたので道中のスーパーでお菓子セットを購入し、通りすがりの猫を愛でまくり一日終了。

かわいい
かわいい
かわいい

これ以上書くことはありません。
さらば益田。素敵な街でした。

翌日会社から電話来て萎えてたときの一枚

以上
(次回 ジャズ行脚 14/47 @青森 に続く)