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ジャズ行脚 21/47 @静岡
2月も後半に差し掛かった。
身内や友人に誕生月がいないので「この日までにプレゼント買わなきゃな」といった面倒くさい小タスクもなく、仕事も閑散期、つまり頭を使わずだらけ切って過ごせるのが俺の2月である。最近マイブームに格上げされた年始ボケをそのまま引き摺って気がつけばもう1ヶ月経とうとしている。
今月なんて パフォーマンスのわるい協力会社員をクビにしてくれって上司に頼んだ(けど断られた)こと以外、なんもしてない。
こう見えて私も演奏者の端くれなので隙を見つけては楽器の練習に打ち込んでおり、周りから「いつも週末何やってるの?」と聞かれれば一応回答できるだけのカードはあるものの、個人連の成果が客観的に形として現れるのは本番演奏なわけで、自分の中では1人でシコシコやるだけの鍛錬は”何かやってる”内には入らない。そういう意味でも「音楽」+「旅行」というウケのいいカテゴリで塗り固められたジャズ行脚は、世間体を保ってくれる唯一のコンテンツと言って過言でない。動機が意味不明なので共感はされないけど。
さて今回の旅先は静岡(沼津市)である。
静岡市も観光する予定が、退院直後もあってセルフドクターストップにより断念した。
No Healthy No Life!
・駅周辺散策
沼津駅からスタート。
一度北口に出てから南口に行く場合、駅舎の中は通れず車道側までぐるっと周る必要があるので少しだけめんどい。
気になったのはそれくらい。
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昼食。
駅北口にある『洋食 千楽』さん。
AM11時の開店後まもなく満席。人気店。
お店の名物を確認せずとりあえず最近食べてないものを!とカツ丼(並)…¥950を選んだら案外周りも同じのを選んでいて、幸いにもオノボリを露呈せずに済んだ。しかし、老若男女関係なく全員大盛りを注文していたのは驚いた。大食いを重んじる文化なのだろうか。
とにかく美味しい。日中行動する活力となった。
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仲見世商店街。
昼は喫茶店とショッピング、夜は居酒屋といった感じで四六時中賑やかになりそうな場所。
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アニメ世代でないが、たまたまテレビで知った主題歌Go Fightと、古き懐かし教科書の落書きでご縁を感じ、キン肉マンミュージアムも見学。
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沼津市立図書館も見学。
1〜3Fでエリアが分かれており1フロアだけで見てもかなりの広さ。閲覧席も充実。
通ぶりたいわけではないけど咄嗟に目についたジャズの書籍を手に取って30分読み下し、ライブ会場へ。
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・沼津市民文化会館(ジャズ鑑賞)
今回鑑賞したのは4バンド。
毎度長文になりがちなのを反省に、簡潔に記す。
・御殿場高校吹奏楽部
本ジャズフェス初登場らしい。めでたい。
数年前まで5名だったメンバが今は十数名(17って言ってた気がする)まで増員。超めでたい。
さらに17年ぶりの単独コンサート開催(2/24開催だそうです)。これは本当にめでたい。
高校生なので当然見た目はフレッシュさ全開なのだが、演奏技術と団結力においては玄人らしさを感じる素晴らしい演奏だった。部長さんは「なんとか形になった」と謙遜していたがそんな自己評価を大きく上回る音楽を披露していたと思う。個人的にはL-O-V-Eのボーカルを担当した部長さんの歌声が朗らかでポイント高かった。
学校からアウトレット近いの良いよね。
これからも応援してます。
・富士通ジャズオールスターズ
他社の名前をnoteで出すのはいかがなものかと迷ったが、バンド名に入っている時点でもはや隠しようがないので普通にご紹介。
富士通にお勤めの社員さん中心で構成されたビッグバンド。社外の方でも入団できるらしい。
企業名を冠するだけあってMCの語りには会社エピソードが多く、同社にまつわる昔話やバンドと仕事の裏話小ネタ等あり、なかなか興味深かった。
演奏曲はミドルテンポ中心の所謂”聴き心地よい”曲の目白押し。How High The Moonのようなスタンダードナンバーもあれば、ファンク系のShacky Ground(印象深い1曲。The Temptationsのジャズバージョンです)などジャンルの幅広さを活かして聴講者=俺を魅了していた。
ちなみにHow High The Moonの演奏前にMCから「目をつぶりながら聴いて思い浮かんだ人を教えて」と訴えかけられたが、目閉じたら寝落ちしそうだし、今日の夕飯何にしようか考え始めそうだったからやめた。万が一指名されて回答求められたら「太陽ですかね」と答えるつもりだった。ボケたいわけじゃなくて、それくらい華やかな演奏だったということです。
・沼津燦々ジャズオーケストラ
メンバの99%が黒服の中1人だけ奇抜な赤いタキシードの格好をした男性がいて『逆スイミーかよ』(※)と突っ込みたくなった。ちなみにこの方はコンマスさん(Tp)で、編曲担当も兼任。
アレンジそのものの良さだけでなく、編曲作業について訊かれたときの「技術よりも気力なんですよ」という回答が個人的にエクセレントと感じた。実際の難しさは知らないが、敷居の高そうなものを馴染みやすいものに押し下げる言葉というのは未経験の人のモチベアップや挑戦のための後押しになるし、状況は違うけど私も仕事でよく意識していることで強く共感できる。
あと、The Queen Bee。
原曲が完成し切っているのでアレンジを聴くことはそう多くなく、今回もソロのメロディを除けばいつもどおりだった。私も空で唄えちゃうくらい聴き倒してるし、演奏してきた。にも関わらず、なんかこの曲とこのTsソロ、毎回聴いて毎回感動すんだよね。なんでかな。
※逆スイミーが何のことか分からない方向け
・SPIRAL STEPS
初っ端からSwitch In Timeのお出ましで歓喜のあまり『YEAH!!』…という表情を浮かべた(パンクブーブー風)。
それとThe Way We Wereに感銘を受けた。トロンボーンがテーマを演奏していたのだが、まるでクラリネットのような澄み切った旋律、サックスのようなノビのある音色、そしてトランペットのような力強さが融合され、目を閉じて音だけ聴けばTbだとは気が付かない唯一無二の演奏。
最初のソロ部分(テーマ)における静かなバラードの雰囲気から全員参加による合奏で一気に壮大な音楽に進化していく。ある種管弦楽/クラシックを彷彿させる、This is オーケストラと呼ぶに相応しい演奏だった。自分がドラマの監督なら劇中のどこかで必ず一度使いたくなる、特に家族との再会のような心揺さぶる感動シーンにうってつけな、エモーショナルでイケメンな一曲だった。
1970年台放映の追憶という映画で使われている曲らしいのでぜひご鑑賞ください(注:V6の岡田くんが出てる方の追憶ではないです)。
・全体的に
会場の音響がめちゃよかった。
特にベースの指の弾きや弦と擦れたときのキュコキュコした生音がはっきり聴こえるほど。
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おわり
(次回 ジャズ行脚 22/47 @未定 に続く)