映画 ドキュメントサニーデイ・サービスを観て
映画の途中でトイレに立ったのは初めてだった。
人生は続いていくもの。
ラストカットから、そういったメッセージを受け取った。だから、途中でも席を立つ。
サニーデイサービスに出会ったのは10年以上前、大学1年の時。田舎から京都に進学した自分(京都でも住んでいたのはだいぶ田舎だったが)は、毎日のようにTSUTAYAに行って、音楽を貪るように視聴していた。週に1度、5枚で1,000円レンタル。まだサブスクのない頃。
何か雑誌等で見聞きしていたバンドであったサニーデイ。すごくダサいカビ臭そうなジャケットのCDを見つけた。それがサニーデイ・サービス「若者たち」だった。
言葉にならない想いや熱や焦りを投影したかったのか、何かにしがみつきたかったのだろう。
そんなことを思いながら、スクリーンを眺めていた。(確かに、眺めていた)
映画はコロナ禍の状況、緊急事態宣言で一度は中止になり再開したライブ映像、カンパニー松尾監督らしいロードムービー的カット(どうしても、夏にはテレキャノを思い出す)を挟みながら、バンドやメンバーの今までを追う。
監督は対象物を愛でる。その熱情と冷静なエンターテイナーとしての視点で対象物を追う。このドキュメントを前に我々は、対象物から立ちこめるストーリーを感じる。これは、バンドのドキュメントなのか?猫なのか?カレーなのか?日常なのか?
そう、僕らはいつでも、いろんなことに夢中になったり、飽きたりする。
自分の中のハイライトは、ベースの田中さんのインタビュー中の「やりたくないことが一緒の方が良い」という言葉だった。
ちょうど自分は離婚したばかりで、新たな関係を築こうと思っている相手もいた。(そして、再婚して、子供も産まれた)
何かにしがみつきたかったのかもしれない。
音楽や本や映画は答えはくれない。
ひとつの対象物を愛でる。
そこからしか愛は生まれない。
このバンド、この監督でしか表現出来ない愛だった。