【KODAWARI HOTEL】特別編 -NOT A HOTEL-
こんにちは。
建築写真家のゴトウリョウスケです。
“こだわり”を持ったホテルを紹介する”KODAWARI HOTEL”ですが、今回は特別編です。
僕は建築写真を撮っていることや、4月から某スーパーゼネコンへの就職を控えていることもあり、建築関連のビジネスにはかなり興味があるのですが、最近面白いこだわりをもったホテル事業を見つけたので色々と調べてみました。
それがNOT A HOTELです。
NOT A HOTELはその名の通り、いわゆる"ホテル"ではなく、"自宅"や"別荘"とも言い切れない、かなりユニークなポジションに立って新しいことに挑戦しています。
そのため、一言で説明し切るのは現時点では難しいですが、今後かなり発展していくと個人的に確信したので今回特別編として勝手にまとめて紹介してみたいと思います。
そしていつの日か実際にNOT A HOTELを訪れて、”KODAWARI HOTEL”として紹介できたら理想だな…とこのnoteを書きながら夢を膨らませています。
なお、執筆にあたっては公式のHP・各種SNS・Casa Brutusの特集等を主に参考にさせてもらいました。
NOT A HOTELとは?
という斬新なコンセプトで不動産を販売するスタートアップ企業。
購入したオーナーは物件を住宅(別荘)として利用できるだけでなく、使わない時は専用アプリからワンタップで(もしくは自動的に)切り替えを行うことで、物件をホテル化して貸し出すことができる。
さらにそれらの物件はオンラインで直接販売するという不動産のD2Cを実現させており、まさに「新しい暮らし」を提案するイノベーティブな事業を行っている。
物件は、那須、青島、福岡等に存在し、石垣、北軽井沢、みなかみ等も進行中。そしてどの物件も建築家こだわりの一点物。
また住宅のプロダクト化販売や、メンバーシップ会員権のNFT販売、モバイルハウスの展開等スピード感を持ってどんどん新しいことに挑戦している。
NOT A HOTELの戦略
この動画はオープンハウス公式YouTubeチャンネルで公開されているNOT A HOTEL代表の濱渦さんの対談動画。NOT A HOTELの変遷と濱渦さんの考えがよくわかるので、まずはこの動画を見てみてほしい。
戦略1「新しい暮らし」
NOT A HOTELは自宅・別荘・ホテルの間にポジションを取ることで「新しい暮らし」を提案。
戦略2「暮らしのDXを実現」
不動産のD2C販売、物件をアプリで一括コントロール、ホテルオペレーションのDX、建築物件の3DCG技術等、様々なDXを内製化することで一気通貫で導入。
戦略3「こだわりの建築美」
世界的建築家やデザイナー、新進気鋭のクリエイターとの協業によって、一つ一つの物件がこだわりの一点物に。
戦略4「支払い方法の自由化」
物件オーナーシップの分割販売や、NFTを利用した権利販売によって、不動産に新たなビジネスモデルを確立。
NOT A HOTELの仕組み
一般的な別荘オーナーの平均滞在時間の短さに注目。
活用したい分の所有権を購入可能。
物件によっては1泊あたりで換算すると2万円程度になることも。
オーナーは滞在時に余計な費用を払う必要はない。
さらにオーナー専用のクローゼットも備え付け。
手ぶらで別荘へ。
物件は法的にも不動産なので権利の減価償却、売却、相続など可能。
また、自分の利用枠を誰かにギフトとしてプレゼントもできる。
アプリから、滞在日を簡単に選べる。
それ以外の日は自動的にホテルとして運用。
物件の管理や収益の管理もアプリで完結。
ホテルが利用されていなくても収益金が受け取れる。
収入の変動がなく、一定の固定収入になるところが会員制のリゾートタイムシェアと大きく違う。
オーナー分の利用権利を使って全国の物件で相互利用可能。
全国のNOT A HOTELを使える会員権としても機能する。
オーナー専用のプライベートリビングやダイニングが存在。
VIPとして仲間を呼んでくつろげる空間。
全物件はIoTでスマートホーム化。
アプリ1つで全てが完結する。
一般のゲストもアプリで簡単に予約・支払いが完結。
オーナーになる前に物件を見てみたい人、気軽に宿泊してみたい人はまずはアプリのダウンロードを。
家・建築・不動産の行方
ということで、今回はNOT A HOTELについて調べた範囲で詳しくまとめてみました。
ここからは、建築ビジネスに興味のある僕の主観で今回調べたことから考えたことを羅列していきます。
「住」が自由に
今まで、人間の生活に必要な「衣食住」の内、「住」に関してはなかなか自由に選ぶことが難しかったと思います。
しかし、今回紹介したNOT A HOTELの事業や、全国のホテルを転々とできるサブスクサービスの発達、コロナ禍のワーケーション需要の高まりから生まれた複数地域居住という概念など、「住」に関しても自由度がどんどん高まっているようにも思えますし、それを支える仕組みがどんどん発展しています。
となると、その発展に伴って自宅・別荘・ホテルといった垣根はどんどん下がっていくのではないかと思うわけです。一つの自宅を保有するという需要はまだまだ減るわけではないとは思いますが、「住」の選択肢が増えていくことは間違いありません。その選択肢を支えるものが、正にデジタル技術によるDXです。
既存の住宅・建築・不動産に関わっていた業界も、既存の仕事をただデジタルに置き換えるだけでなく、デジタルだからこそやれる事業を見つけて発展させていかなければなりませんし、そこまでやらなければただのデジタル化に過ぎず、真のDXとは呼べないと思います。
不動産とNFT
不動産にはその特性上、登記・税・様々な権利といった”法的なもの”がついて回ります。そしてそれらの”法的なもの”はいわゆる面倒くさくて厄介だ、というのが共通認識だと思います。これらを解決する代替手段としてNFTが役割を果たす可能性は十分あると思います。
例1. NFTによる不動産の小口化
既存ではREIT等で存在している不動産の小口化ですが、不動産の権利をNFTのトークンとして小口化し、権利を保有する。
→小口化によって不動産投資の促進や、物件の共同所有が容易に。
例2. NFTによる取引費用の最小化
取引に関わる各種手数料が現状と比較して抑えられる。
また、不動産NFTをNFTマーケットで二次流通させることで容易に売却が可能。
→登記がNFTに置き換わる。
これらの例は、現在様々なプレイヤーが関わりつつ発展途中といった感じですが、まだまだNFTには課題が多いと思います。
それは日本における"規制"や"税制"のデザインが未発達だということです。
"規制"というと発展を妨げるようなイメージがありますが、正しい成長発展のためには"ルール"が必要不可欠です。国家として戦略的に規制や税制をデザインし、公正な競争を促すことで成長に繋げることが大切だと思うからです。
日本におけるNFTに関わる法律や税制度の整備は成長戦略として、自民党平将明衆議院議員を中心に推進されています。
NFTとその規制・税制度については興味があるので今後も追っていきたいと思います。
Casa BRUTUSの特集
最後になりますが、Casa BRUTUS 2023年2月号の別冊付録にて、NOT A HOTELの特集がされていました。かなりレアだと思うので書店などで見つけたら是非。