音楽素人のライブ後記 vol.16
羊文学
リリースワンマンツアー
「はばたき」
@LIQUIDROOM
2020.01.31
(1年2ヵ月ぶり2回目)
誰も手を挙げない。
シンガロングもない。
コール&レスポンスもない。
観客はただ、
音に揺れている。
そして時折、
大きな歓声が上がり、
指笛が飛び交う。
これが羊文学のライブだ。
(↓知らない人はまずこの曲↓)
今日のリキッドは、
バンド史上最大規模にも関わらず、
チケットは即完。
いま羊文学は、
本人達でさえ想像できないほどに、
中毒者が続出している。
羊文学の音楽軸は、
結成当初から変わっていない。
エモーショナルな歌詞。
ファジーなギター。
シンプルに主張するバッキング。
耳から離れないコードとリフ。
儚くも力強いボーカル。
とはいえ、
昨年7月にリリースした『きらめき』は、
とにかくガーリーでポップだった。
そして今回の『ざわめき』は一変、
ソリッドでロック。
次々と新たな強いエッセンスを加えて、
世界観を拡げ続けている。
そのタイミングで迎えた、
この日のワンマンライブ。
2時間絶えず移り変わる、
物語のような音像は、
成熟期への突入を予感させてくれた。
あえてライブのハイライトを挙げるなら、
中盤の「ソーダ水」だろう。
繊細なコーラスワークに、
包み込むようなドラムのリズムキープ。
全ての音が、
優しくフロアへと置かれていく。
会場の雰囲気が、
一気に柔らかくなったのを感じた。
そこからグルーブ感が格段に増した終盤は、
ただただ聴き惚れるばかり。
「1999」→「ロマンス」という最高の流れ。
そしてMCを挟み、
轟音の「Blue.2」へトリップ。
その残響に注がれる「夕凪」と「祈り」。
「祈り」のアウトロは、
鳥肌モノだった。
さらにアンコール。
『ざわめき』の先に待つ、
アグレッシブな新曲(タイトル不明)。
ボーカリスト塩塚モエカに溺れる、
「マフラー」。
心弾むサウンドが浮遊する、
「Step」。
Wアンコールは、
ふっと日常に戻してくれる、
「生活」。
ステージとフロアが溶け合い、
音楽だけがそこにある、
珠玉のエンディングだった。
羊文学のライブは、
余韻がなかなか消えない。
唯一無二の、
アンビバレントな世界観が、
心を掴んで離さないのだ。
そして『ざわめき』と共に吹き込まれた、
重厚なロックサウンド。
成熟を経て、
さらなる進化への気概も、
感じさせてくれた。
今後の活動がますます楽しみな、
羊文学。
気になった方は、
ぜひ聴き込んで、
ライブに足を運んでほしい。
非日常へと羽ばたける、
素敵な音楽があります。
SET LIST
(intro)
人間だった
雨
ドラマ
サイレン
うねり
ミルク
恋なんて
天気予報
踊らない
ソーダ水
優しさについて
コーリング
1999
ロマンス
Blue.2
夕凪
祈り
EC
(新曲)
マフラー
Step
WEC
生活