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ベストヒット下ネタソング

2024年11月20日に芸人、島田珠代の初の楽曲「島田珠代ベスト~パンティーテックス~」がリリースされ、現在TikTokを中心に老若男女問わず幅広いユーザーがダンス動画を投稿している。

この曲は島田珠代の持ちギャグを詰め込んだ歌詞が特徴の、下ネタ満載のおバカソングとなっており
ユーロビート調のアップテンポなテクノサウンドに乗せて「タマヨ パンティーテックス」「パンティーライナーで伊勢志摩へ〜」など独特の下ネタフレーズを繰り返すキャッチーでバカバカしい思わず笑ってしまうような一曲だ。

また、その少し前の10月2日には
ギャル雑誌「Happie nuts」のYouTubeチャンネル「nuts」にて

GINTA & ODAKEiによる楽曲「UCHIDA 1」の替え歌にあたるnuts Remixバージョンが公開され

ちゃおっす ぽいーん これ おっぱいでっかい まぁみのご挨拶〜」という、まぁみこと小田愛実のパートにあたる初動のリリックが話題を呼び
これまたTiktokで大バズり中である。

昨今、フェミニズムが性的な表現に潜む女性差別について論じられる機会が増え、コンプライアンスも年々厳しくなる中で
2024年においても、このような下ネタソングや「パンティー」「おっぱい」というフレーズが先行して楽曲が流行るという現象を見ると
やはりバカバカしさや下ネタというのは時代を超えて人に笑いと安堵を届けてくれるのだなとしみじみ思う。

この様な笑いとインパクトに振り切った歌詞の楽曲というのは、カラオケなどでも盛り上がるため重宝され
悲しい気持ちや暗い気分を吹き飛ばしたい時などにも最速で笑顔を届けてくれる有難い存在だ。


しかし、笑いがとれる下ネタソングというものには、ある程度の法則がある。

その法則を紐解くため、まずは少し過去の下ネタヒットソングを解説したい。


少し昔にヒットした下ネタソングと言えば
2010年12月にリリースした女性3人組ユニットあやまんJAPANによる「ぽいぽいぽいぽぽいぽいぽぴー」は記憶に残っている人も多いのではなかろうか

この曲は2000年に木村由姫がリリースした『LOVE&JOY』を原曲としたユーロビートサウンドに乗せて「ぽいぽいぽいぽぽいぽいぽぴー」という中毒性のあるフレーズを繰り返し

オーピーアイ、オーピーアイ、大きな声でおっぱいワッショイ」など、下ネタを詰め込んだ宴会ノリのハイテンションアッパーソングだ。

この曲は当時、着うたや着ボイスなどが累計80万ダウンロードを記録し
YouTubeのMVは2000万回再生を超えている


また、2019年5月にリリースされた
手島優(NYouTuber)による「ハミ乳パパラッチ」をご存知だろうか

この曲はオリコンミュージックストアのデイリーシングルダウンロードランキングで米津玄師や、あいみょん、菅田将暉といった錚々たるメンツを抑えて1位を獲得

こちらもユーロビートに乗せて「ハミ乳ハミ乳マジ卍」「三パイ締め〜それでは皆様 拝借」といった下ネタギャグが満載の曲となっている。

手島優は2008年から「セクシーオールシスターズ」というアイドルユニットに所属しており、この「ハミ乳パパラッチ」はユニットから独立してソロで勝ち取った初のヒット曲だ。

「セクシーオールシスターズ」は
爆乳戦隊パイレンジャー」からはじまり
爆乳三国志」「爆乳ヤンキー」「爆乳甲子園」など

数々のユニットを生み、いずれもセンターを手島優が務め爆乳をテーマにしたキャッチーでバカバカしいユーロビートソングを数多くリリースしてきた。

あまりにダイレクトなユニット名のためか
地上波ではゴッドタンでしか特集されなかったが

上記のような例から分析すると下ネタヒットソングの条件が浮かび上がってくる。


⚫︎ユーロビートやノリの良いクラブサウンド調である事が重要

⚫︎下ネタヒット曲は基本女性の歌い手から生まれる

⚫︎男が歌う下ネタやおやじがプロデュースしている下ネタソングはただのセクハラ

⚫︎バカバカしいはOK 生々しいはNG

下ネタとユーロビートは切っても切れぬ縁なのかもしれない

聞くところによればピンサロやセクキャバの店内では9割がた大音量でユーロビートが流れているらしいし
(おっさんの喘ぎ声をかき消すためと言われている)

やかましいメロディとバカバカしい歌詞というのは相性が良いのだろう。

また、女性ボーカルである点も欠かせない。

男性ボーカルの下ネタソングでヒットしたのは
アニメ「金色のガッシュベル」でパルコ・フォルゴレが歌う「チチをもげ!」くらいではないだろうか。

男性が下ネタを歌う場合、男性自身のシンボルを歌うにしろ女性の身体的特徴について歌うにしろ、セクハラ感が強くなってしまいとてもナイーブだ。

しかし、女性ボーカルであっても
行き過ぎたエロ表現や、おっさんプロデューサーの影がチラつく曲は現代では受け入られない。

秋元康がプロデュースした、おニャン子クラブの「セーラー服を脱がさないで」など
今では時代錯誤も甚だしく、歌詞に拒絶反応を覚える人も多いだろう。

下ネタソングは「バカバカしく」ある事が重要であり、「生々しさ」や「エロス」をリアルに感じさせる歌詞は笑えないのである。

また、最新下ネタヒットソングである「島田珠代ベスト~パンティーテックス~」も「パンティー」ネタと「おっぱい」ネタでほぼ構成されているように

下ネタヒットソングのフレーズに決まって使用されるのはこの2つなのだ

下着をテーマにした下ネタソングでは他に
爆乳ヤンキーの「ブラを探して…」などがある

あくまで小中学生が聴いて口ずさんでもセーフなラインが下ネタソングとして許容されるラインだとすれば
クレヨンしんちゃんの世界観で表現できるレベルにとどめておくのが肝であると思う。

時代と共に表現の規制が強まり、下ネタを巡る議論が続く中でも
人を笑顔にする力を持つこの下ネタソングというジャンルは、これからも無くならないでいてほしい文化だ。

笑いと音楽が持つ力が、どんな形で次の時代を彩るのか、これからも注目していきたい。

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江崎びす子
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