耐震を実現するための土台『耐震5原則』
『耐震5原則』
◆1.地盤
◆2.基礎
◆3.構造計画
◆4.施工
◆5.耐久性
耐震等級3や耐震リフォームの重要性をご存知の方は多いと思う
もちろん地震大国日本において耐震は非常に重要
でも耐震の効果を十分に発揮させるには上記の5原則が最低限必要
(この5原則は早川とツーバイマンヒロキさんが勝手に提唱しているもの)
https://youtu.be/7nyXdDx7p04
1.地盤
家を建てる大元となる地盤
地盤には「その土地特有の災害」という面と「その地盤固有の特性」という面があり、耐震を考える上ではどちらも考慮する必要がある
前者は強風・台風・積雪・洪水・内水氾濫・土砂災害・地震・交通工場振動など
それらは過去の災害の記録を見たり、ハザードマップや今昔マップ、国土地理院のHPなどを見ることによって知ることができる
後者はその地盤の硬さや地質、揺れやすさなど
それらは近隣のボーリングデータを見たり、建築する前に行うSWS試験、微動探査などを行うことで知ることができる
上記を知ることによって各災害によって家に作用する力に抵抗する構造としたり、被害を軽減する安全な基礎としたり
地盤の特性によっては家を堅く作ったり、振動を抑制するための制振を入れたり
といった対策が必要
それらを考えないままだと耐震も十分に発揮できない
https://youtu.be/xjOSsU7GOpM
2.基礎
家の基礎となる基礎
家は木造だったとしても基礎は鉄筋コンクリート造(RC造)
なので鉄筋コンクリート(RC)の構造としなければならない
RCの基本は梁で四角く囲うこと(布基礎)
あるいは梁で四角く囲ってスラブを載せること(べた基礎)
つまり木造住宅の基礎も四角(矩形)を組み合わせて作らないと
そもそもRCとして成り立たない
つまりどこかしらに無理な力が掛かったり
場合によっては支えられない部分が出てしまう
まずは梁(立上り)で四角を作ってそれを組合わせることが大前提
そしてRC構造の基準
鉄筋のかぶり厚さ、鉄筋の継手・定着長さ、鉄筋の径とピッチ、コンクリート強度、開口部の補強などは順守する必要がある
その上で構造計算して初めて、必要な断面サイズ、鉄筋量が決まってくる
もちろんそこには上記1の地盤の情報も必要
基礎は上からの力ももちろん支えるが
下の土からもものすごく大きな力を受ける
基礎を設計する上ではそのイメージも大切
また人通口は木造の梁を切るのと同じように危険なこと
だから簡単に切ってはいけないし、その分十分な補強が必要
基礎がしっかりしていなければ木造部分の耐震による力を受けきれない
3.構造計画
鉄骨造やRC造は当たり前に行われる構造計画
柱をどう配置するか
梁をどう架けるか
耐力壁線をどう配置するか
床・屋根(水平構面)をどう配置するか
基礎をどう区画するか
そしてそれらによって構成される構造区画をどう計画するか
これが木造住宅における主な構造計画
これをきちんと計画していないと各部材に無理な力がかかったり
不経済・施工性のよくない断面寸法となってしまったり
余計なところに余計な構造ができてしまったりする
これは構造計算を行うことでそれらが明るみになる
構造計算はいかに構造計画が適切にできているのかを映し出す
構造計画がきちんとできていることによって力の流れが合理的となり
耐震が十分に発揮される
4.施工
どれだけ緻密に構造計画をして構造計算をしたとしても
施工がきちんと行われていなければ耐震は確保できない
過去の地震でも耐力壁や金物の施工不良などによって倒壊した事例もある
たとえば合板やパーティクルボード、MDFなどの
面材耐力壁を使っていない会社や施工に慣れていない会社は
全ての釘を打ち込みすぎてしまったり
釘の打ち忘れや釘の間隔のミスを引き起こす
そうなってしまうと耐力壁の壁倍率が規定通りに確保できない
金物も図面通りの位置にマニュアル通りに施工されなければ
柱が引き抜けてしまったり梁が外れてしまったりする
ただし家は非常に大きな製造物
それを作るのは人間であり、何十人ものさまざまな職方が関わって作られる
使われる材料もさまざまなメーカーによって製造される
となればヒューマンエラーが起きてしまう可能性はいたるところにある
なので施工のバラツキをなくすようにパネル化された壁材を使ったり
第三者機関を入れて施工のチェックをする
(品確法の建設性能評価やインスペクションなど)
あるいは微動探査を行って耐震性能を数値化するなどして
ミスを防ぐようにしたり、性能を見える化したりすることで
耐震性を確保することができる
5.耐久性
上記をきちんとやってくれば、新築直後は十分な耐震性をもっている
ただし家は建った瞬間から劣化が始まる
紫外線・雨風・雪・温度差・湿気・害虫・交通振動・大小さまざまな地震等
それらによって家はどんどん劣化していく
特に外周部の劣化の影響は大きい
劣化をそのまま放置しておくと雨漏れによって構造体が湿ってしまい
腐食へとつながって、シロアリを呼ぶことにもつながってしまう
また大きな地震が発生すると内装・外装に被害があるだけでなく
耐力壁や金物にも損傷が発生し、耐震性が劣化してしまう恐れもある
そのため十分な耐久性を確保しておくことと定期的なメンテナンスが必要
繰り返し発生する可能性のある大きな地震に対しては
制振ダンパーを設置して小さい揺れを抑えることで耐力壁の劣化を抑えたり
地震前後の微動探査を行っておくことで耐震性が劣化しているかどうかも
図ることができる
きちんと計算され施工された耐震性を持続させるためには耐久性は必須
耐震性能を十分に確保するには上記の5原則が成立していることが大前提
これらを意識して木造住宅の設計をしていただきたい
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