魂は大樹の如く
思い出も朽ち、感情も果て、命の泉は枯れ、ただし肉体は未だ抗い、欲の醜く染まっていくこと、さて、耐え往けるだろうか?過去が身辺を舞いつづけ、未来が絶え間なく我が身を睨んでいる、魂を研磨することを怠け、だらけた身体と性では、細胞を浪費する以上の生は有り得ない。衆生を羨み、隠居したいと願う、遠く離れて、たったひとりになりたいと。
失ってしまった言葉たちを、見捨てるように使わなかった言葉たちを、取り戻したいと思うのはとても愚かで、まさに浅はかで、そして言葉は、かの如く従順ではない。
何も要らない。教育に、言葉に、国語に、読書に、とても感謝している。
すべて価値があった。意味もあった。どれほど憎く、苦しくても。ただし、捨ててゆくからこそ。抱えたままでは歩けない、身の回りに起こったあらゆる出来事はもちろん自分に作用したけれど、それと自分はまた別の存在であることを忘れてはならない、捨てゆけ。
思い出は朽ち、感情は果て、それでも魂が吠える。