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音楽的同位体裏命MVコンテストに参加

しました。

とりあえず観てください。

コンテストについて

 歌手グループ「V.W.P」の各メンバーの歌声をもとにした人工合成音声ソフトウェアシリーズ「音楽的同位体」の公式が主催したMV制作コンテストであり、理芽さんに対応する「裏命」を利用した楽曲「愛してあたし」を課題曲とする。

※締め切りは後に1/31まで延長された

経緯

 12/6に開催の事実を知る。大学とか忙しくなってきてたし、ちょっと迷ったが、理芽さんやGuianoさんに映像を見てもらえるのはたいへんな光栄であるし、この機を逃せばいままで3DCGやってきた意味がないと思ったので参加。
 即日、制作を開始。大学から帰ってきてから課題をやって寝るまでの間に作業を行った。12/29には〆切の延長が発表されたが、無視して1/1に完成させ、1/2に投稿した。すでに完成に向けたラストスパートに入っていたのでペースを崩すわけにはいかなかったのである。それに、いよいよ大学の課題その他がヤバくなってきたうえ、1月末にある期末考査の対策をしなければ大変なことになる身分だったというのも大きい。考査の結果については言及したくないので、しない。

作品について

 前半部においては、実写素材に3Dモデルのキャラクターを合成することにした。爽やかで、かつ幻想的、しかし少しの毒を含む、というこの曲の雰囲気を表現するのに、この手法が最適であると考えた。

 背景としてあの場を選んだのは、海の向こうにビル街が見える光景が意味不明で面白かったからである。

海の向こうにビル街があり、かなり意味がわからない

 背景はほとんどすべて静止画で、裏命の姿を合成したのち、編集ソフトで揺れやカメラの動きを追加している。省エネにもなるし、コンポジットもやりやすくなる。かなり時間のないなかでの制作であったし、後半との対比という意味でも、こちら側でカメラを激しく動かしすぎないほうがよいという考えがあった。

 撮影する時間帯は正午付近にした。世界が明るいと嬉しいよね。

あくまで楽しそうでなければならない! ドロドロした歌詞であってもポップに歌い上げるのはGuiano楽曲の大きな特徴の一つであるから

 さて次。後半部について云々する前に、なんでこんなことをしようと思ったのかということは多少触れておかなければなるまい。

「こんなこと」

 端的に言えば、現実が超現実を参照し、融合して新たな現実となるさまによって歌詞の内容を表象しようというのである(?)
 異なるものの対置、対比、対決だ。岡本太郎もそんなこと言ってただろ。
 また、サビに入ったところで曲調が大転換を迎えている以上、映像面でも、比較的落ち着いて静かな前半→激しく動きまくる後半、という転換が必要だったのだ。怪獣バトルがエレクトロニックダンスに相当する。

 言い訳おわり。
 ちなみに、怪獣パートではすべて、画面が左右反転している。

 裏命トラマンと怪獣の戦いの場となる街は、たのしい都市ジェネレータによって生成した。パラメータをいじくることで直観的に望む街を作り出すことができてたいへん便利である。怪獣の映像を作るたびに背景に困っていた私にとっては革命だ。もとはPLATEAUを利用するつもりだったが、国民に対する背信かと疑うレベルでデータが重かったのでやめた。

リアルな街並みは特撮の必須事項!

 髪飾りをギミックとして使うアイデアは制作のかなり初期から存在した。この形状で高速回転しなかったら嘘だろと思ったからである。結局、変身のときには髪飾りを取り外して掲げ、裏命チウム光線を放つときには高速回転させることにした。

 怪獣と殴り合うパートで、裏命と怪獣のサイズ比はカットによって微妙に変えている。怪獣が裏命の素人丸出しテレフォンパンチをダッキングでかわして前に出るカットでは裏命のほうが背が高いが、直後のカットでは怪獣のほうが背が高くなっている。アクションの作りやすさや見栄えを優先した結果である。本当はよくない。

裏命の素人丸出しテレフォンパンチ
勇ましく突進する怪獣! このあと裏命に思い切り引き倒される まぬけ

 なんかこのままだと全部のカットを説明して一万文字くらいの記事を書いてしまうので、ここでやめとく。そのうち追記するかも。

使用した機材・ソフトウェア

主なものを挙げる。実際のところこれ以外にもある。

機材

iPhone XS
型落ち。そろそろ充電の減り方が尋常じゃなくなってきた。背景素材の映像を撮るのに使用した。手ブレ補正機能がありがたい。

Nikon D3500
一眼レフ。SDカードの入れ忘れには気を付けるべきだと思う。背景素材を撮るのに使用した。冒頭の2カット以外はすべて写真素材のために使用。手ブレ補正機能がないので。ないよな?

ソフトウェア

Blender
統合型3DCGソフトウェア。オープンソース。大正義。2.79時代から使ってた。モデリングからレンダリング、コンポジットまでこれ一つ! 撮影してきた実写素材に3Dモデルを合成したり、構築したシーンを撮影したりして個々の素材を作成した。

fSpy
画像をもとに画角やカメラの配置を解析できるフリーソフト。blenderと連携して自動でいい感じにカメラを設定してくれる便利機能付き。これがないと目測とかでパース合わせる羽目になる。マジで便利。撮影してきた写真素材の解析に使用した。

Aviutl
日本の誇る伝説的動画編集ソフト。落ちる。とても落ちる。メモリの割り当てに失敗する。例外"0xc0000005"が発生する。ポロポン! blenderで出力した素材に手ブレや激しい揺れ、爆発の際の閃光を追加し、一本の動画としてまとめるのに使用した。

リファレンス

主なものを挙げる。実際のところこれ以外にもある。

ユーエンミー MV
ピロウトーク MV
忘れてしまえ MV

(川サキ)

 川サキ監督による理芽・花譜のMV。現実に存在する人間のさまを切り取ったような彼の映像は常に私のあこがれであり、私が神椿スタジオのファンになる最初のきっかけとなった。
 今回の映像においては前半の実写合成パートから、鏡の中に吸い込まれるまでの部分で主に参考とした。
 余談だが、この動画を公開した1時間後、川サキ監督による新作花譜MVが告知され、運命を感じた私は思わずフヒフヒッと笑ってしまった。

シン・ウルトラマン(樋口真嗣)

 裏命が変身する場面で参考にした。
 この映画での「禍威獣」の描写は着ぐるみ特撮のエッセンスをふんだんに含み、日本の3DCG怪獣映画としての一つの方向性を示した重要なものであると思う。日本もっと怪獣映画撮れ。ハリウッドに負けんな。

ゴジラVSガイガンレクス(上西琢也)

blenderを利用したほぼ個人製作みたいな怪獣映像作品。後半部、怪獣と裏命の殴り合いのシーン全般で参考にした。建物よりはるかに大きい怪獣たちをCGを用いてどのようなアングルで表現できるかということについて重大な知見を与えた。これの前身となった「GvsG」も含めて、CG怪獣映像勢に勇気を与えてくれる作品である!

ゴジラS.P<シンギュラポイント> 第13話:はじまりのふたり(高橋敦史)

後半の怪獣パートの一部カットで参考にした。ゴジラS.P、まじでおもろいのに配信がネトフリ限定だから布教しづらくて困る。異次元より来る怪獣たち、それに立ち向かう天才科学者たち、そして何より、トンデモコワモテロボット・ジェットジャガー(CV.釘宮理恵)の活躍をその目に焼き付けろ!

おわりに

 久々に〆切に追われつつ動画を作れて楽しかった。まだまだ課題の多く残る作品だが、ひとまず満足。
 個人的事情だが、もうすぐ19歳になる。私の18歳を振り返ってみると、上京するだけしてなんかぼんやりしていた。それでも、その最後を間近にしてこの動画を完成させられたことはひとつ、18歳の私が成したこととして数えておいていいだろう。

 〆切の直前、駆け込み的に大量の投稿があったようだ。その時期めっちゃ忙しかったのでまだ観れていないのが多い。どうやら百人以上の映像制作者がひしめく人外魔境と化しているらしいが、まあ、とりあえず、これから観て回りたい。

追記 (2023年3月6日)

 2023年3月6日、裏命MVコンテストの結果発表が行われた。

 結果は『入賞』であった。

超びっくりした

 頭から尻尾まで私の趣味だけで構成されたエゴの塊のような作品で、「ふざけるな」とのお叱りを受けることも覚悟していたものだから、こうして評価されたことがうれしい。
 これからもやりたいようにやっていこうと思う。

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