驚愕のシンクロニシティ:なんとPIWでもAI詩人の紹介が!
ここ数週間、三宅勇介に人工知能に関するインタビューを行っていた。その第一回分を今日公開したところなのだが、途中で英国に住むイラン人の詩人Abol Froushanから同じ話題に関するエッセイが届いた。
AbolはPoetry International Web (PIW)-Iran の編集者で、いわば僕の同僚、知り合ってもう十年近くになる。6月初旬に開かれたロッテルダム詩祭で一年ぶりに顔を合わせたとき、雑談のなかで人工知能(AI) の話が出た。というか僕が持ち出したのだけど、そのときの彼の発言がすごくシャープで深い知見に満ちていたのでびっくりした。聞けば本職はIT技術のコンサルタントで多国籍的なプロジェクトをいくつか走らせているという。そのことが印象に残っていたので、三宅インタビューの途中で彼にも同じ質問を投げかけてみたのだ。
「日本ではAI短歌などというものが作られていて、困ったことにこれが結構面白いのだけれど、AIに短歌や俳句などの定型詩は作れたとしても、自由詩は書けるのだろうか?」
帰ってきた彼の回答は思っていたとおり高い水準のものだった。そして想像以上に僕と三宅勇介のやり取りに合致していた。そこで日本語訳をいずれ三宅インタビュー記事の番外編として公開するつもりだが、それだけではもったいない内容なので、PIWの方でも掲載して、できればon-line forumのような形で誌上討論会を開いたら面白かろうと考えた。
編集長のLisa Kats(この人はNY育ちのアメリカ人だがもう長くイスラエルに住んでいる)に持ちかけたところ、なんと彼女自身がつい先月末にイスラエルのAI詩人をPIWで紹介したばかりだと云うではないか。ちょっと薄気味悪いほどの符合である。
その詩人とはEran Hadas、自らアルゴリズムを開発してAIの詩における可能性を実践的に検証している。AIに詩を書かせるというよりも、AIと一緒に書いてゆくと感じで、本人はそれを Augmented Reality ならぬ Augmented Poetryと称しているようだ。詳しくはぜひ下記のリンクからPIWの記事を読まんでいただきたい。
Lisaが即座にAbolと僕をEranにつないでくれて、先週から三人の間でメールベースの自己紹介やらお喋りやらが始まったところ。ロッテルダムの技術スタッフたちはまだ長い夏休みのなかなので、実際にOnline Forumを立ち上げるのは9月に入ってからになりそうだけど、始まったら jprとも連動させてゆきたい。
考えてみれば僕のデビュー詩集『笑うバグ』も、詩をコンピュータのバグに見立てたものだった。そこには「電子少年トロンは語る」なんていうAI詩人の走りのような作品も書いているし、最新詩集の『小説』にはWill Smithの映画「I, Robot」をパロディにした「iPoet」なんて詩も入っている。これもなにかの因縁だろうか。
http://www.poetryinternationalweb.net/pi/site/poet/item/28667/Eran-Hadas